ぼっちさん、ALSと同居する

ぼっちさん、ALSと同居する

兄弟姉妹なし配偶者なし子供なし
両親はそろって認知症
そんなアラフィフ独居女のもとへとやってきたのは
神経難病ALSでありました

特急や新幹線で長距離移動することがある。

付添人はいない。

悩むのが座席選びだ。

通路側にするか窓席にするか。

 

一般的に推奨されるのは通路側だ、

トイレやデッキに行きやすい、足がつりそうになったら伸ばせる等の理由からだ。

けれども実際は窓席や真ん中席の人がトイレに行き来するたびにテーブルをたたみ、杖を片付け、両足を縮めなくてはならない。時には私の足を跨ぐ時に蹴っていく(しかも「すみません」の一言もない)

ストレスが溜まるので、今はドアに近い窓席を取るようにしている。

 

長距離移動の日には容量多めの尿パッドを下着に当てていく。

「立って歩ける人」用の尿パッドは長時間用でも非常に薄型で、外見からは分からない。

そして乗り継ぎ駅で余裕をもってパット交換できるよう、接続の列車は1本遅いものにする。

タイパ重視の時代には合わないけれど、乗り継ぎ駅で30分から1時間程度の休憩を入れると体も休められ、翌日以降に疲労感が残らない。
(同伴者がいない場合は自分でそれなりに荷物を持つ。肩や腕に持続的に負担がかかると呼吸器にもジワジワと負担がかかる)
ところが最近、窓席でも快適な旅ができなくなってきた。

まずはこういうケースだ。

 

互いの乗車券を確認しあって穏便に解決する場合はいいのだけれど。

窓席に座っている私をどかそうと、杖を蹴ってきた外国人までいた。

たとえ私があらゆる言語に精通していたとしても、こういう人間は会話が成立しない。

気弱な弱い私はひったくるようにして杖を奪い返し、無言で睨みつけて杖を突きつけることしかできなかった……。

 

次のようなケースもある。

 

通路側は父親、真ん中席が幼児を膝に乗せた母親で、「◯◯ちゃん、窓の外を見たいよね~」「ああ富士山が見えないよね~」と聞こえよがしに圧をかけてくる。

それでも知らん顔をして私が外を眺めていると、肘掛けごしに「◯◯ちゃん、富士山だよ~」と私を押し潰してくる。

父親が同行しているならどちらかが荷物の番をして、子どもをデッキに連れていけばいいだろうに。

デッキからの方がよほどよく見えるぞ。

 

この母親は分かっていないのだろう。

私は昔から子供が大嫌いだということを。

誰もいない場所で転んで泣いている子供を見れば助けようと思うけれど、それ以外では「お子様」への配慮など一切してやらないのである。

精神年齢5歳レベルの50代をなめンなよ。

 

それに私だって窓の外の風景は見たいのである。

毎回「これが最後の一人旅になるかもしれない」と思いながら列車や新幹線に乗っているのだ。

ただ「子連れ様」の意識高い系な母親には、私の事情を話したって理解してもらえるはずもないだろう。

 

気が弱い私としては、こういう親御さんには当たらず触らずにしておきたい。

私はカバンから運転免許証と病気快癒御守を出して窓に向けて置き、「お姉ちゃんがずっと見たがっていた富士山だよ。生きている間に連れてこれなかったけれど、今日はとても良く見えるよ。きっと富士山がお姉ちゃんを待っていてくれたんだよ」と架空のストーリーを作り上げて、やや大きめの独り言を言い続けるしかなかった。

隣の席のママさんはしばらくして子どもを連れてデッキに行った。

 

今月も取材や通院で長距離移動の予定がある。

どうかストレスのない旅ができますように。

 

この杖とスニーカーで旅をするもの、今年の秋で終わりだろう。

右手の進行で杖が握りづらくなり、左の下垂足で足首にオルトップ(補助具)を付けることになったため、杖も履物も変更するのだ。

 

 

 

 

ん?

新しい靴、担当の福祉会社で頼むより楽天の公式ショップで買った方が安いじゃん。

ポイントも入るし。

でもこれまでもこれからもお世話になるのは、担当の福祉用品会社だしなあ。