今日は、
クリント・イーストウッド監督作品『父親たちの星条旗』を観ました。
日本兵とアメリカ兵が硫黄島で繰り広げた死闘と、戦場に星条旗を立てる写真の被写体となった兵士たちのその後が語られています。
この写真のことですね。↓
この写真に写ってしまったがために、レイニー、ドク、アイラの3人の海兵隊員はその後の人生を狂わされてしまいます。
写真には6人写っているのですが、3人以外は硫黄島の戦闘で亡くなりました。
写真に写っているメンバーは国に返されることが分かり、留まって仲間と共に戦いたかったアイラはレイニーに自分は写っていないことにしろと詰め寄ります。
でも結局バレて、レイニー、ドク共々アイラもアメリカに強制送還。
アメリカに着いた彼らを見て、国民は大興奮です。あらゆる新聞に載ったあの写真は、国民に『戦勝』の希望を持たせたのでした。
どこへ言っても英雄扱いされる彼らですが、その胸中は複雑でした。
花火の音と光、列車の轟音、雷の轟き。そういったものを見たり聞いたりする度に、硫黄島での記憶が呼び起こされます。
激しい戦闘の末撃たれて死んでいった仲間や行方知れずになった仲間の姿がフラッシュバックし、旗を立てる手伝いをしただけの自分たちが英雄としてもてはやされているという状況に疑問を感じずにはいられません。
それから、写真に写っている6人目の兵士の名を巡って…。
ドクの息子が当時を知る人や記録などから父親ドクが見た『硫黄島の戦い』を辿る、という形式で物語が進んでいきます。
ドクの息子が大人になった「現在」と、ドクたちが戦時国債のキャンペーンボーイにされた「過去」と、硫黄島での戦闘があった「過去のもう少し過去」の3つが主な舞台です。この3つの時が違和感なく混ぜられていて、構成がうまいなーと思いました!さすがです。
一番印象に残った演出は、ドクがちょっと目を離した隙に行方不明になってしまった親友イギーを地下で発見するシーン。イギーの亡骸もそれを見たときのドクの表情も写りません。最初にイギーを見つけた人が「ひでえことしやがる…」って言ってたので、たぶん日本兵によって地下壕に引きずり込まれて拷問を受けて亡くなったんだと思うのですが、そういう事柄を映像で全部表現しようとしないところがいいなーと。
イギーの最期について調べてみたのですが、本当にひどかったそう。ドクことジョン・ブラッドリーさんは後にこう語っています。
「あのことを心から締め出すために、ずっと努力している。(中略)日本人は彼を地下に引きずり込んで拷問した。彼の爪が、彼の舌が…ひどいもんだった。すべて忘れたいよ」
イギーの亡骸を発見した人によれば、イギーには人が想像し得るすべての残虐行為が行われていたそうです。
「彼の両手は折れていて、ちょうど壊れた人形のようだったよ。銃剣で何度も突き刺されてもいた。後頭部は粉々に破壊されていた」
イギーは洞窟の中で3日間拷問を受け、その間に目をえぐられたり、耳を切り取られたり、歯を粉砕されたりしていたようです。他にもありましたが酷すぎて書けません。
ジョンさんは晩年日本に来たがらなかったらしいですが、当然だと思いました。親友がそんなにむごたらしく殺されたのに、日本に来たいってほうが頭どうかしてます…。
それから、衛生兵ってやっぱりすごく勇敢なんだと思いました。自分が被弾しても、「メディーーーーック!!!!」の叫びが上がれば地べたを這ってでも助けに行く。信じられません。
俳優ネタになりますが、『プライベート・ライアン』の凄腕狙撃手ジャクソン役のバリー・ペッパーと『バンド・オブ・ブラザース』の兄貴な将校コンプトン役のニール・マクドノーさんが共演されていてすごく嬉しかったり…。夢ですよ夢。『父親たちの星条旗』は前にも観たことがあったのですが、BoBも知らなかったしそもそも俳優さん自体そんなに意識してなかったので全く気が付きませんでした。二人の会話シーンとか超ウハウハでした。ありがとうございます。
ドク役のライアン・フィリップさんは、撮影当時三十路超え。ドクってやっとこさ20歳超えたような若者だと思うんですけど、ライアンさんめちゃめちゃ童顔ですね…。全く違和感無しでした。
イギー役はジェイミー・ベルだったんですね、少し若いです。最近だと『崖っぷちの男』に出てましたよね!
「硫黄島プロジェクト」では日本側から『硫黄島からの手紙』・アメリカ側から『父親たちの星条旗』が製作されましたが、それならやっぱり2本まとめて観たいもんです。『硫黄島からの~』はテレビでもやってましたが、『父親たちの~』はまだ地上波放送してないんですよね。そのうち2週連続放送とかしてほしいですー!
それでは!
4月14日追記!
記事を読み返していて気付いたのですが、「メディック」ってのは陸軍の呼び方でした。海兵隊である彼らは「コーマン」("corpsman")って呼んでます。何で間違えて書いたんだろう…。すいませんでしたー!