※注意
このお話は都市伝説の類いのお話です。噂によると、そのビデオを見ていなくても、その話を聞くだけでも実際に霊的体験をされるかもしれません。このお話は、外薗昌也さんが30数年前に実際にご自身が体験された不可解なことを雑誌用に大幅に脚色して書いた商業用のお話ですが、オリジナルの話を聞いた作者のアシスタントがおかしくなり精神に異常をきたしたようで、作者と担当が病院に連れていったのは本当のことらしいです。このお話による苦情は一切受け付けられません。自己判断と自己責任でお願いします。この時点で『嫌な予感』を感じられた人は読むのを中止してください。また霊感の有る無しに関わらず、心臓の弱い方や病気の方は読まないでください。
〈お兄ちゃん〉と呼ばれている方、〈お兄ちゃん〉と呼ばれたい方は絶対に読まないでください。彼女が来ますーーーーー。
それを観た者の所には必ず妹が現れるという怪ビデオ・・・《赤い妹》
「お化けが見たい?」
『ええ』
『一回でいいから見てみたいんですよーーーーーお化け』
「・・・・・・」
『大学のサークル内で怖い話をするのが流行っててー』
『でもお化けはおろか金縛りの経験なくて話すネタないんで困ってんすよねーははは』
『てっとり早くお化け見れる方法なんてないですよね~~~~』
「あるぜ」
『え?店長今なんてーーーーー?」
「お化け見る方法あるって言ったんだよ」
『マジっすか?』
「お前妹いたよなぁ」
「なら確実に見れると思うぜ!」
『妹?』
「タイトルは《赤い妹》」
「事故で亡くなった妹を題材にしたシュールな内容の自主製作映画だ」
「ストーリーは意味不明、撮影も編集もボロボロ」
「役者もスタッフもド素人の映画がなぜ配給されたかというと・・・」
「観た人間のところに妹がやってくるらしいんだ!」
『・・・・・・!!』
「文化祭で上映を観た学生の中でいろいろあったらしいんだな」
「精神に異常をきたした奴や自殺者まで出たとかなんとか・・・」
「その騒ぎを新しいJホラーを探していた配給会社が聞きつけてビデオ化したんだな」
「貸し出したお客さんにもいろいろあって封印してたんだが・・・」
「物が物だけに処分できなくて困ってたんだが・・・・・・」
「逃げるな!てめーにやるって言ってんだよ!」
『うがあっ』
「妹がいる人間の所には100パーセント出るらしいんだよ~~~~~~」
『ああああああ~~ッ』
「確実に怖い体験ができるんだぜ~」
『けっこうです!』
「遠慮するなよ~」
『させてくださ~~い』
「実はオレそのビデオ観てねーんだ」
「あとで内容を細かくレポートにして出してくれや」
『押しつけられちまった~』
『よけいな事言わなきゃよかった~』
『あのドSめ~(怒)』
『・・・にしても』
妹がいる人間の所には出てくるってどういう意味なんだろ・・・
内容とどんな関係があるのか?
ハッ
『ーーーーーってあぶねーー』
『ちょっと観る気になってるーッ』
『映画オタクの悪い習性がーーーーー』
『もーー寝よ寝よ』
『寝て明日どうするか考えよう!』
・・・・・・・・・・・・
ガーーガシャン(ビデオを入れる)
『ちくしょう』
『気になって眠れん・・・!ちきしょう』
『怖いもの見たさって奴・・・結局店長の思惑通りになっちゃってるし・・・』
どーせひとりよがりで退屈な自主製作映画だろ・・・・・・
頭5分観て雰囲気がわかったら寝よ!
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
わっ・・・
荒削りだけど・・・
悪くないじゃん・・・
その映画にセリフはなく・・・
物語らしい物語もなく、ただ監督と思われる姉の視点からーーー
若くして死んでしまった妹への想いが切々とこめられた映像詩と呼ばれる類いの映画だった
・・・・・・
・・・・・・
ガキュン、ガーーッガチャン(ビデオを出した)
『全然怖くないじゃん』
『切なくていい映画じゃん』
『店長にかつがれたなこりゃ』
監督、清水かなえ・・・
やはり女の人か・・・
しかしオレも妹いるからわかるなーーーーー
急に田舎の妹に逢いたくなったなーーー
バンッ
『!!』
ドンドンドンドン
ドンドン
ドンドンドンドンドンドン
ドンドンドンドン
『おいおいこんな時間に誰だよーー』
『サークルの誰か酔っぱらって押しかけてきやがったかーーーッ』
ドンドンドン
『叩くのやめてください』
『どちら様ですかーーー?』
「・・・しよ・・・」
『え?』
「〈あたし〉よ」
「お兄ちゃん・・・」
『・・・!?』
「お兄ちゃん」
「〈あたし〉よ・・・妹の克美よ・・・!」
〔妹がやってくるらしいんだ。妹がいる人間の所には100パーセント出るらしいんだよ〕
『克美・・・』
『克美・・・・・・なのか?』
そんなバカな
ずっと田舎暮らしで東京なんか来たことないのに
なんでオレのアパートにやってくるんだ
しかもこんな時間にーーーーー!!
「そうだよ克美だよ」
「早く部屋に入れてよ~」
『え?』
「え?じゃなくて~」
「入れろっ!!」
『え?』
急に高圧的になった・・・・・・
「・・・・・・」
「入れろっ」
ドンドン
ドンドンドンドンドン
「入れろっ」
『うわっ』
ドンドンドンドンドンドンドンドン
「入れろおっ」
『わっ』
なんなんだ?
『夜遅いんだ』
『ドア叩くな、大声出すなっ』
一体こいつは何なんだ?
ガチャっ
『やめ・・・』
『・・・ろ?』
『?!??』
ドアの外にいたのは・・・
妹だった
「お兄ちゃん」
顔も声も服装も俺の妹・・・
だけど妹じゃあない!だってーーーーー
「寒いよぉ早く中にいれてよぉ~」
赤いのだ
『あ・・・』
『・・・あ』
頭のてっぺんからつま先まで全身が赤い!!
赤い手がドアのうちに入ってきた
『わーーーッ』
ガチャン
ボトッ
『え?』
『~~~~~~!!!」
「返して・・・」
「返してよ・・・」
「私の手・・・」
「返して・・・返して・・・」
「かえして・・・」
「かえ・・・て・・・」
「私の手・・・」
「・・・手・・・」
「・・・か」
「て・・・」
・・・・・・・・・・・・
気配が消えた・・・
『は~~~~っ』
なんだ今のは?
夢でもみてたのか?
手が残ってる・・・
『夢じゃなかったのか・・・』
『本当に来てたのか・・・』
『バカな・・・!』
『本当に克美だったのか』
『とにかく家に連絡をーーーーー!』
『メール着信!?』
メール着信1件
佐竹克美
『か・・ーーーーー』
『克美からメールが・・・!』
『写メがついてる・・・』
ピッ
・・・・・・!!
「お客さんこんなへんぴな所で降りてだいじょーぶかぁ?バスとか通んねーぞー」
『大丈夫です慣れてる道だから』
「お客さんこの土地の者けーならだいじょーぶだなー」
バタン
スタスタスタ
『克美が送ってきた写メ・・・』
『ここか・・・』
子供の頃よく遊んだ神社・・・
ここにいるのか?克美・・・
実家に連絡したら妹は昨日から家に帰ってないらしい・・・
妹の携帯に何度も連絡したが反応無し・・・
両親には何も話さなかった・・・
だって・・・
どう説明すればいい?
赤い妹がやってきて手を置いていった
そしてその手をバッグに詰めて東京からやってきたなんてーーーーー
どう説明すればいいんだ!!
これは現実なのか?
夢なのか?
もう頭がどうにかなりそうだ
『!』
ブラーンブラーン
『あぁ・・・あ』
『あああ・・・あッ』
『ぎゃあああっ』
『ぎゃああああ』
百鬼夜行
観た者を不幸にする《赤い妹》
その噂話と伝説
闇の検証
[神社の藪で首吊った妹(某サイトでは名前出てるらしい)んだけど、妹の自殺見ちゃった兄はそのまま精神病院らしい。精神病んだお兄さんは妹の手首持ち歩いてたとかマジキチだな。キモい。あと他の都市伝説スレにもあったけど赤い妹の呪いは本物]
[なぜ赤いのかはイミフだけど柳田国男の《遠野物語集》に赤い子供が出てくる話があるんだけど、そーゆー信仰のある東北の精霊信仰のナンチャラと関連があるとかなんとかマジ怖えんだけど。事件が起きたのも神社の赤い鳥居がなぜ赤いかとか。とにかく《赤い妹》はガチです]
ドン
ドンドンドン
[知ってる。ホラーヲタの間じゃ結構有名でそのビデオが地下に流されて拡散かよ。誰かtubeにうpしたらしいよ!怖いの見るのが大好きなキチガイ多いけど、《赤い妹》は危険すぐるwwwww。バカは観たいとかいう野郎もいるかもだけど忠告しとくけど・・・]
ドン
[妹がいる奴は絶対に見るなよ!不幸になるのが嫌ならな。俺は見ないけどなwwwwwww。赤い妹はすぐにやって来るって。ドンドンドンドンドンドンってな感じで]
ドン
ドンドン
「ちくしょうっ」
ドンドンドンドンドンドン
「観なきゃよかった!!」
ドンドンドンドンドンドンドンドン
「こんなもん観なきゃよかった!!!」
彼の足元には《赤い妹》のパッケージがあった
ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン
END