3月16日
私のふたりいる妹のうち、上の妹にはふたつ違いの娘がふたりいます。その姪っ子たちは、同じ日に生まれました。計画出産ではない、まったくの自然分娩です。3月16日。上の妹は婿養子をもらって実家で私の実の両親と一緒に暮らしていたので、その姪っ子たちもいつもおじいちゃん、おばあちゃんと一緒でした。6年前、この画像の翌年、仲良し姉妹のお誕生日は、おばあちゃんの命日になりました。前日の夜まで一緒に食事をとっていたおばあちゃんが緊急入院して25時間後、自分たちの誕生日に逝ってしまうという忘れられない経験をした姉妹。母は臓器をみっつも癌に冒され、それも末期だったのに、周囲も自分自身さえもも気づいていなかったという医学的に奇跡としかいいようのない症例でした。看取ってくださったお医者さまが「僕もこんなふうに死にたいです」としみじみと語られたそうです。出産以外で病院のお世話になったことがない、と豪語していて、健康だけが自慢だった母。死に至る病に侵されていることも知らず、救急車で運ばれた病院の集中治療室のベッドの上でお医者様に「せんせ、イケメンやなあ」などと軽口を叩き、車椅子で駆けつけた父に「なにしてんのん、検査だけやから、はよ帰り!」と言い切り、急な報せに慌てて鎌倉の自宅を出る間際の私に、妹が間に合わない可能性もあるからと携帯で声を聴かせようとすると「あんた忙しいねんからわざわざ来んでええよ!」と言ってくれた母。文字通り、奇跡のひとでした。その母と同居していた姪っ子ふたりのうち、妹のほうは、私の母校でもある大学を卒業後、多くの才能に恵まれていたにもかかわらず就職の道を選ばずに、議員である母親のサポートをするために家事一切を引き受けて、おじいちゃんの介護をし、おばあちゃんの食事もずっと作り続けていました。その姪っ子は昨年11月に結婚しました。愛と笑顔と幸せに包まれた本当に素晴らしい挙式、披露宴でした。結婚式場で、披露宴会場で、あれほど朗らかな明るい花嫁はいないと誰しもが思った美しい姪っ子の姿。 母はきっと、「蘭、綺麗やで。せやけど痩せすぎや!」といつもの毒舌混じりに微笑んで見つめていたに違いありません。3月16日、愛おしさと切なさとさまざまな想いが溢れて涙が止まらない日。今年も実家には帰れなかったけれど、きっと母は「忙しいねんからわざわざ来んでええよ」と言ってくれていると願っています。