↑赤点の位置で男性は発見されたと推測する。捜索隊はほとんど岡山側を捜索しており、まさかここで、と思ったに違いない。ここは高谷(こうたに)と呼ばれる沢の難所だ。
 
*この文章は関係者のツイート、またニュース記事の情報を元に記しています。
 
〇時系列
 
9/3
・6時台、歯科医師の男性(以下男性)が家族に「津山にあるマッコウという山に行ってくる」と告げ出かける。
・8:12、お夏の墓登山口から登山開始(参照)。  
・10:45、ケータイの紛失地点に到着。ログはここまで。また、ログがあちこちにとんでいるが、GPSの着信の不具合によるものだと思われる(男性がケータイをもってウロウロした可能性は薄いのでは)。
・19:45、家族が警察に連絡。
・22:00ごろ、津山市阿波の登山口(お夏の墓登山口)に車を発見。
 
9/4
・不明。
 
9/5
・彼の子供によるツイートによると、お父さんのストックを発見(15:59)、ケータイを発見(17:16)。この時点でケータイの電池は残り3パーセントだった。そして画面には「おーい、ここにいるよ」とのメッセージ。これはスマホのAI機能の自動表示によるもので、男性が打ったものではないと思われる。
 
9/6
・7時ごろ、警察と消防など約30人態勢で行われた。
・スマホ、ストックがあった場所を重点的に捜索したが、雨の影響で午後1時頃に打ち切られた。
 
9/7
・8:00、警察と消防など約20名態勢で捜索。
・15時ごろ、ボランティアの男性が歯科医師の男性を発見。見つかったのは山頂から北東に約2キロの場所にある滝つぼだということ。別の情報では、男性が発見されたのは、佐治町の余戸公民館から南に約1.3キロの山中とのこと。
 

9/8

・14:25、死亡が確認された。

 

〇所感

 

 不可解な点が多い遭難事故だと感じた。

 

①スマホとストックがなぜ落ちているのか。

 

 赤点がストック、緑色がケータイが落ちていた場所である。これを発見したのは、遭難してから2日後の9月5日。登山道から微妙にずれているのが気になる。男性が目印に置いていたとも考えられるが、ストックはいいとしておそらく一台しかもっていないケータイを目印代わりに置くとは考えにくい。

 落としたと考えると、スマホから見て北西の沢を登った可能性がある。ただこの辺はかなりのヤブのようなので、三原山の山頂までたどり着けなかったと思われる(そもそもたどり着いていたら無事に帰還していただろう)。

 

②どうして往路を、または近い道を歩いたのにお夏の墓登山口に帰れなかったのか。

 

 男性から見つかった場所からするに、彼は往路の登山道を下ったか、それに近い場所を通ったはずである。しかし彼は帰ることができなかった。なぜか。このとき彼はスマホを持っておらず、おそらく地図も持っていなかったかもしれない。マイナーな山域ゆえ、初めて訪れた可能性がある。そのため、一般ルートを歩けなかった。さらに、その前に台風7号がきており、登山道が不明瞭になっていた可能性もある。

 

③なぜ急斜面が多い難所の高谷(こうたに)に入ってしまったのか。

 

 男性が見つかった沢は高谷と呼ばれており、ここは以前に山友達3人が入っている(参照)。この日いった3人とも山の経験、体力ともにあり、彼らだからこそいけた山だった。一般的なノーマルルートしかやらない人はまず踏み入れない沢である。

 見つけたのは単独か、もしくは少人数の手慣れたハイカーだと思う。捜索隊もこの沢のことはなんとなく気になっていただろうが、候補としてはかなり下の方だったに違いない。

 おそらく男性は登山をした3日のうちか、4日にこの沢に入ったような気がする。水がなくなり、沢の水を求めるがあまり、危険な山域に突入してしまった。

 

④男性はどういうルートで発見現場まで行ったのか。

 

 これはかなり難しいところだが、個人的にはこんな赤線を辿って行ったような気がする。私はマッコウの山頂には立ったことがなく、鳥取県側の余戸谷を遡行し、三原台(P888)までいったことがある(参照)。西には一般ルートがあったが、はっきりしてなく草が茂っている。東には往路があったが、そちらには進まなかった。もしかしたら暗いうちにこの辺を下っていた可能性もある。

 高谷はかなりの急斜面なので、源頭から飛び降りた可能性は薄い。ある程度尾根を下って、下りれるような斜面を探した。それでなんとか入渓したが、上り返すことができなくなってしまった。仕方なく下って行ったが、滝があり、どうすることもできなくなってしまった。

 

 

↑男性が見つかったと思われる滝(山友達の承諾あり)。

 

 マッコウの北側の沢しかいったことがないが、2017年当時、僕は山アプリを使ってなく、山の先輩からガーミンを借りてこの山にいった。沢はよかったが、三原台は猛烈なブッシュで360度草ボーボーで不安にかられたのを覚えている。地図とコンパスがあっても無事に帰れるか不安でしょうがなかった。

 レポートを見るに、山頂周辺や岡山側も見晴らしが悪いところが多い。男性は夏の茂った草をかき分けながら汗だくで進んだに違いない。

 

 

↑余戸谷から抜け出したはいいが、目の前に広がったブッシュに呆然とする(2017年)。

 

 

↑その後はしばらく草をかきわけるヤブコギ。汗だくだった。

 

 

↑東側に登山道が見えて安堵した。