第8回中性子捕捉療法学会学術大会が開催される。

開催の詳細は下記Webにて。現在演題受付中

http://jsnct08.jp/

今年も私と仲間たちで一つ演題を出そうと考えている。
内容としては口腔外科におけるBNCT応用推進について、
あるいはBNCT応用時の歯科的諸問題とその解決法などについてを考えている。

(文:窪田敏之)
私の専門は歯科なので、BNCTで一番近い領域は口腔外科という事になる。実際BNCTは非常に凄い治療法で、かなり広い範囲のがんに効く可能性が高い。

しかし実際にこれを推進しようとすると、色々と問題がある。なにしろがんは今でも致命的な経過を取る事の多い危険な病気だ。このため迂闊にBNCTを適用しようとすると他の治療法の妨げになってしまうかもしれない。

そこで、BNCTの普及を推進するには、その領域で既に深い経験を持つ専門医にやっていただくしか無いのだと思う。

私としてはBNCTの理論的な枠組みやその実現方法、改良すべき点等は概ね理解できたと思うが、実践してゆくためには、やはり実際にがんで困っている患者さんを一人、二人とBNCTでお助けすることから始めなくてはならないはずだ。

そこで、ここ暫くは自分の専門領域に最も近い口腔外科に集中しようと考えた。幸い私の友人には口腔外科の友人がたくさんいる。彼らと連携して進めてゆきたいと考えている。

もちろん、今後他科の先生がBNCTを推進してゆきたい場合に、喜んでお手伝いさせていただく事は言うまでもない。

まず第一歩としてFacebook上に専門ページを設置した。ご興味のある方はご覧ください。

http://on.fb.me/kSZKm8

(文:窪田敏之)
がんの新しい治療法です。薬を注射した後、中性子ビームを照射するとがんが消えてしまいます。

特に一番の利点は「切らなくても効果がある」という所です。がんの一番怖いところは「浸潤性」です。これはがん細胞は正常な組織に「浸潤」つまり染み込んでいってしまい、細胞レベルで混ざってしまうのです。

このため外科的にがんを取り除こうとすると、正常な体を切り取ることになります。結局これが一番がんで困ったところです。

血液のがんが意外に回復が良いのが化学療法によって切らずに治すからだ、という意味合いもあります。しかし、残念ながら現在の抗がん剤はまだ単独では固形の組織癌を細胞レベルで取り除くほどの力はありません。

特に顔面や手足などでは、癌の手術のあと体の機能だけではなく外見上も大きく損傷されてしまい、患者さんのQOLがかなり低下します。つまりかなり「お気の毒」な状態になってしまうのです。

ところがBNCTはちょうど血液がんの化学療法のようにがん細胞だけを狙い打ちにする治療法ですので、奏功した場合には組織を切る必要はありません。顔の半分がなくなってしまったり、手や足を切断するといった悲劇も回避できる可能性があるのです。

BNCTは個性の強い治療法ではありますが、外科・化学療法・免疫療法・放射線療法等との併用もできます。BNCTを手に入れることによって患者さんも医師も強力な切り札が一枚増えることになります。

(文:窪田敏之)