今日から「TMAXの個性溢れる世界」を愛でるシリーズを、時々…書いてみたいと思います。


もし気が向きましたら…お付き合いのほどよろしくお願いしますm(_ _)m(^-^)/!


第1回目のテーマは「Belt Drive」。



Belt Driveの歴史😃💡BeltDriveの歴史は…Harley発


まずは、その歴史から…( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆


オートバイのベルトドライブの歴史は、1980年にHarley Davidsonの「FXBスタージス」というモデルが、ベルトドライブ機構を備えて登場したのがその始まりだと言われています。



採用されたのは、非常に頑丈なケブラー繊維をシリコンラバーでサンドイッチした構造の「コグベルト」と呼ばれるもので、


このコグベルトは、金属チェーンのように頻繁なメンテナンスを必要とせず実質的にメンテナンスフリー(1~2万㎞に1回程度の清掃と、日々の目視点検は必要)で、しかも極めて長寿命で、伸びず、衝撃吸収性にも優れた特性を持っている。

「新時代のチェーン」としてNASAが航空宇宙分野用に開発したモノが、そのベースとなっていたそうです。

実は航空宇宙技術の民生転用だったんですね。

それ以降、Harly Davidsonは、アドベンチャーモデルのパンアメリカ1250以外のすべてのマシンに、このベルトドライブ機構を採用するに至っているわけですが、

「ベルトドライブ」は、Harleyが元祖で、その普及は1980年のFXBスタージスから…ということが言えそうです。

ではなぜ…Harleyはこんなにもベルトドライブにのめり込んだのか(  -_・)?…というと、その背景には、アメリカならではのツーリング環境があるみたいですね。

広大なアメリカ大陸で、州間自動車道(インターステートハイウェイ)を使いながら、Bike旅しようと思えば、自然と…1度にかなりの長距離を走破することになる。


「500㎞…1000㎞走ったからって、いちいち路肩に止まって、チェーンの清掃/注油/張り調整などのチェーンメンテしてられない┐('~`;)┌」っていうのが、Harleyがベルトドライブを全面採用するに至った理由だったようです。

スケールが大きいというか、至極…納得の理由でした_(^^;)ゞ!




Belt Driveは貴重な体験🤔稀有な快適さを楽しもう


世の中、Belt Drive を体験できる機会は、とても限られています。世の中にBelt drive machineは、ほとんど存在しませんからね_(^^;)ゞ。


(ベルトドライブを採用したTMAX)

TMAXは、2012年に登場した4型TMAX530から、最終駆動に「ベルトドライブ」を採用。

(ベルトドライブを採用したTMAX)

現行車で言うとベルトドライブモデルは、「Harley各車」と「YAMAHA TMAX」と「DUCATI Xdiabel」ぐらいしかないんじゃないかなぁ…と思う。僕が知らないだけかも知れませんけどね(爆)_(^^;)ゞ。(Boltは生産終了)


(ハーレーは、アドベンチャーのパンアメリカ1250以外…すべてベルトドライブモデル)


(2016年にDUCATIが、Diabelの派生モデルのX Diabelを、同社初ベルトドライブモデルとしてリリース。現在も販売中)


「かつて…」を振り返ると、


2006年登場のBMW F800Sが、ベルトドライブ方式を採用していましたね。



ただ、2009年頃にはBMWのラインナップから姿を消してしまった。販売期間はたったの3年。


また、かつてHarley傘下だった時代のBUELLもベルトドライブを採用していましたね。



あとは、かつてのKAWASAKIのバルカン900クラシックもベルトドライブだったように思います。


皆さんは「かつてあれもベルトドライブだったね💡」って、何か「かつてのベルトドライブモデル」…他にも思い浮かびますでしょうか(・・?

現行販売モデルの中で、パッと思い浮かぶ範囲では、世界にベルトドライブ採用の現行車は、ハーレーとTMAXとXdiabelしか頭に浮かばない。

ハーレーとXdiabelは「クルーザー」。

「スポーツモデル」では、世界でTMAXしかベルトドライブモデルが無い…感じ。

正確なところは解らんけど(笑)_(^^;)ゞ。

まぁ、いずれにしても、スポーツモデルでベルトドライブ採用モデルは、世の中でとても貴重な存在であるのは確かです。

世の中、ほとんどのBikeがチェーンドライブ車なので、このベルトドライブならではのメンテナンス快適性を知らない人は本当に多いと思う。

ベルトドライブ車に乗ってらっしゃる方は、「実は…ものすごく希少なBikeに乗っている」っといえるかと思います😉✨️

楽しんでいきましょう( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆



Belt DriveのMerit😉✌️快適な世界が広がる



「ベルトドライブ」は、本当にMeritいっぱい。

代表的なMeritで言うと、まずは、500~1,000㎞毎の「煩わしいチェーン清掃/注油メンテからの解放」が挙げられます。これは本当に大きい。

「基本的にはメンテナンスフリー」。このベルトでメンテナンスと言えば、あまりにも汚れたら、1~2万㎞に1回ぐらいの頻度で中性洗剤でベルトを洗浄する…ぐらいですかね。

ベルトは、チェーンと違ってほとんど伸びないので「頻繁な張り調整も不要」というのもMeritとして大きいですね。

また、「ドライブベルトはドライブチェーンと比べて極めてLifeが長い」。Harleyのドライブベルトは10万㎞が交換目安と言われていますし、TMAXのドライブベルトもそれぐらいモチそうです。

スポーツモデルでは「バネ下軽量化」Meritも大きいですね。

また、チェーンと違ってドライブベルトは、遊びがほとんどなく、伸縮もほぼしませんから、アクセル操作に対する「後輪反応のリニアさ」も大きなMeritのような気がします。

さらに「駆動静粛性の高さ」もベルトドライブのMeritとしてよく挙げられます。

いろいろMeritがいっぱいある中で、やっぱりいちばん大きいのは「メンテナンスフリー🆓さ」ですね。本当に…本当に…ラクです(笑)_(^^;)ゞ!


そのDemeritは?もちろんデメリットもある


逆にデメリットは、代表的なところで5つ。



1つめは、設計のハードルが高く実現難

2つめは、異物噛み込みリスク

3つめは、調整に繊細さが求められる

4つめは、アンチスクワット効果が弱い

5つめは、スプロケ丁数変更カスタム不可


デメリットは、たぶん…こんなところだろうと個人的には思っています。



なぜ採用が少ないのか?それには理由が…


「ベルトドライブ」は、メンテナンス頻度が少なく、定期的な注油も必要ない…快適で優れた駆動機構で、もっと多くのBikeに採用されても良いはずなのに、なんでこんなに採用モデルが少ないんでしょ(・・?

それは…

Harlyのようなリアサスのストローク量(スイングアームの変動幅)の少ないモデルでは、ベルトドライブ採用に設計上のハードルがそんなに高くないものの、


スポーツモデルのように、リアサスのストローク量(スイングアーム変動幅)が大きい…多くのスポーツモデルでは、ドライブベルトを採用する為の「条件」をクリアできないからだと思われます。

その条件とは「ドライブベルトは、上下ベルトのテンション(張り具合)を常に均一に保たないといけない」というもの。

コグベルトは、チェーンと比べ、テンションが緩むと「歯飛び」しやすいですからね。

下の図を見ていただきたいです。


左から、ドライブスプロケ、スイングアームピボット、ドリブンスプロケとあります。

この3つが、一直線上に揃っていれば、上下のベルトテンションは均一…ということが言えますが、

スイングアームが上がると、上側ベルトのテンションが緩み、下側ベルトのテンションが高まるのが想像に難くないと思います。

スイングアームが下がれば、その逆です。

つまり、スイングアームが上下に変動すると、上下ベルトテンションバランスが崩れてしまう。

なので、スポーツモデルのようにスイングアームが激しく上下に動くモデルは、上下ドライブベルトのテンションを均一に保つのが難しい…と言われていますね。

これが、BMW F800Sがわずか3年で姿を消してしまった要因なんじゃないかな🤔?と個人的には思っています。

一方でHARLEY-DAVIDSON のように、リアサスの可動域が狭く、車両性格からリアスイングアームがあまり上下に動かないようなマシンの場合は…


ドライブベルト採用のハードルが低くなると言われていますね。


ここら辺が、ベルトドライブ採用例の少ない理由でしょうね。たぶん。

僕が知っている限り、現行モデル/過去モデルを含めて考えても、ベルトドライブ採用車両のほとんどが、リアスイングアーム変動幅が狭いクルーザーモデル(Xdiabelを含む)で、

スポーツモデルでのベルトドライブ採用例は、かつてのBMW F800SとBUELLとTMAX530/560しかない。

そのBMW F800Sもたった3年で姿を消し、その後継モデルとなるF900Rはチェーンドライブに戻されてました。

BUELLも、とっくにベルトドライブから身をひいている。(BUELLの場合は、HARLEY-DAVIDSONと袂を別つたことが大きいかもですが…)



TMAXのSpecialPoint世界で唯一の構造



それでは、なぜ?…TMAXは2012年~足元まで12年にも渡ってベルトドライブを続けられているのか?ですよね。

それは「YAMAHAの設計力」の賜物としか言いようがないんですけど、世界のベルトドライブモデルの中で、TMAXは唯一無二の構造をもつ。

TMAX以外のすべてのベルトドライブ採用車両は、ドライブスプロケ⏩️スイングアームピボット⏩️ドリブンスプロケという並び順なんですよね。

[BMW F800S]
[HARLEY-DAVIDSON ]
[BUELL]

この並び順だと、スイングアームが上下に変動する度に、上下ベルトのテンションが大きく変動してしまう。

それに対して、TMAXはこの問題を克服する…おそらく世界で唯一無二と思われる独創的構造を採り入れている。

それが、ドライブスプロケとスイングアームピボットの同軸化です。

僕のTMAX530のドライブスプロケを取り除いてみます。

ドライブスプロケを回すシャフトが、スイングアームピボットを貫通している様子が判りますでしょうか(・・?


グリスをぬぐい取ると…分かりやすいかも。


☝️これによって、スイングアームが上下しても、上下ベルトテンションが変わりにくいようにしているんです。


おそらく、これ…世界唯一無二の構造だと思う。

極めて…独創的で個性的。

BMWでも解決できなかった問題を、これで見事クリアしているんですよね。

本当にYAMAHAの設計陣恐るべし😆⤴️です。

これによって、スイングアームが激しく動くスポーツモデルでありながら、ベルトドライブの快適性を我々 TMAX RIDERS は享受できている。


TMAXは、ベルトドライブ採用だけでなく、特殊なリアサス構造、特殊径ホィール、水平対向3気筒と呼びたくなる特殊な360度クランクエンジン、そしてその特殊な搭載位置、前後50:50に近づけられた重量配分、特殊なアルミダイキャストフレーム等々…


本当に、愛でずにはいられない…個性豊かな独創的なマシン。

日本人は没個性とよく言われるけど、こんなに独創的なマシンを本当に良く開発したなぁ…と感嘆せざる得ません。

これだけ独創の塊のようなマシンな訳なんですけど、それらは、すべて「走り」のため。すべてに目的と意味があるはずです。


TMAXがベルトドライブ採用を採用した目的は、おそらく、「メンテナンスフリー化を狙ったツアラーとしての快適性引き上げ」と、そして何より、情熱をもって取り組まれた「バネ下重量の軽量化」の為なんだと思う。

なんせTMAXは、バネ下重量軽減の為に、スイングアームのアルミ化はもちろんの事、ホィール軽量化の徹底追求、はては採用タイヤの軽量化までタイヤメーカーに求めている。

ものすごい熱量の情熱を…バネ下重量軽減に費やしているんですよね。そしてそのバネ下重量軽減追求は、

ベルトの細身化、タイヤの軽量化要求、新技術によるさらなるホィールの軽量化…

と、2012年のベルトドライブ採用TMAX530が登場して以来、最新型まで匍匐前進のようにずっと続いている。

TMAXのバネ下重量軽減への徹底追求姿勢は、本当に凄いんです。

こういうディテールを知り、そのほとばしる情熱の熱さに触れると、ますますTMAXが好きになってしまうんですよね。

こういう…カタログスペックに表れにくいところの磨き込みに、TMAXは、多大な情熱とコストを注ぎ込んで作られている。

Tmax560は確かに、カタログのパッと見では「ちょっとなぁ…🤔」というぐらい高価ですけど、こういうSpecialなところを知っていくと、「TMAXは高過ぎる…」という印象は大きく後退し、「これは突き詰められて創られたSpecialなBikeなんだ」という心証に変わっていくことになると思う_(^^;)ゞ。



最後にまとめると…ベルトドライブの良さは…



ベルトドライブのメリット(^-^)/!


最終駆動をチェーンではなく、ベルトドライブ化するMeritは、代表的なところで5つ。


1つめは、メンテナンスフリー化


2つめは、長寿命化


3つめは、バネ下重量の軽量化


4つめは、応答性向上


5つめは、静粛性




❌ベルトドライブのデメリット_(^^;)ゞ💧


1つめは、設計のハードルが高く実現難


2つめは、異物噛み込みリスク


3つめは、調整に繊細さが求められる


4つめは、アンチスクワット効果が弱い


5つめは、スプロケ丁数変更カスタム不可


だいたい纏めると、こんな感じでしょうか?




ふだん何気なく眺めている…愛車のベルトドライブ機構を、ぜひ(^^)人(^^)一緒に愛でれたら…と思います。



ちょっとしばし休憩をはさんで、このシリーズ…次は「TMAXのアルミフレーム」をテーマにしたいと思います。



こういうシャーシ周りへの飽くなき情熱が、「ハンドリングのYAMAHA」…YAMAHA車の熱い部分ですからね。