前回は、家族形態が単身世帯から核家族、さらには大家族へと揺り戻される可能性について書いた。
今回は、その延長線上にある働き方と給与の変化について考えてみたい。
これまで日本の労働環境は大きく変化してきた。
働く主体は、世帯主だけが働く時代から共働きへ。
働き方は、ブルーカラー中心からホワイトカラー中心へ。
仕事は一つの組織に依存する形から、副業や複数の収入源を持つ形へ。
雇用も終身雇用から有期雇用へと変化してきた。
では、この流れは今後どうなるのだろうか。
まず共働きについては、大きな方向性は変わらないと考えている。
ただし、介護や子育ての負担が増える中で、夫婦ともにフルタイムで働き続けることが難しくなる世帯も増えるだろう。
その結果、一方が主たる収入を担い、もう一方が柔軟な働き方を選択する家庭も増えていくのではないかと思う。
次に仕事の内容である。
AIの発展によって、ルール化できる仕事は急速に効率化される。
これは単純作業だけではない。
事務処理、経理業務、法務業務、診断補助など、これまで高度専門職と考えられていた分野にも及ぶ。
もちろん職業そのものがなくなるわけではない。
しかし、定型的な業務の価値は低下し、人間に求められるのは例外対応や判断、責任を伴う業務へと変化していく。
結果として、ホワイトカラーの中でも高度な判断を行う層と、それ以外の層との格差が広がるだろう。
一方で、現場での対応が求められる仕事は相対的に価値が高まる。
介護、建設、設備保守、物流、農業など、人が現場で判断しなければならない仕事である。
私は長期的にはブルーカラーの価値が見直されると考えている。
企業側にも変化が起きる。
大企業はAIとヒューマノイドを活用し、さらなる効率化を進める。
その結果、高度人材には高い報酬を支払う一方で、それ以外の業務は削減されていく。
一方、中小零細企業はコミュニティを基盤とした事業運営へ向かう。
顧客との関係性や信頼が競争力になるためだ。
ただし、このモデルは利益率が高いとは限らない。
人と人との関係を維持するには時間も人件費も必要だからである。
そのため、一人当たりの給与水準には限界がある可能性が高い。
では、給与はどうなるのか。
私の考えでは、肉体労働か知的労働かという区分ではなく、「代替される側」と「代替できない側」で二極化が進む。
大企業でAIを活用しながら高度な判断を行う人材。
コミュニティの中で強い信頼関係を築ける人材。
そして現場でしか対応できない仕事を担う人材。
こうした人々の価値は高まるだろう。
反対に、ルール化できる仕事だけを行う人材は厳しい状況に置かれる可能性が高い。
これからの給与を決めるのは学歴でも資格でもない。
AIに代替される側なのか、それともAIでは代替できない側なのか。
つまり、事業を展開する中で、代替できる仕事とそうでない仕事を見極めながら
投資や教育を選別していく必要性が顕著になるのである。