昨夜。
 30年ぶりの旧友たちとの会合、中学校の同窓会がありました。

 なにゆえか、小生は幹事に引っ張り込まれて裏方を担当。
 ナンやカンやと開催までの準備に相当の時間と労力を強いられましたが、努力のかいあって、現住所の判明した卒業生200名のうち120名ほどが参加表明してくれていたのでした。
 が、しかし、小生の初恋の女性はあえなく欠席の返事がきておりました。

 ううううっ、小生の永遠の初恋の女性、、、彼女が出席しない同窓会なんて、、、。
 欠席の返事が早々に戻ってきた後の小生は、幹事のひとりというよりは、同窓会開催業者モードで裏方を一手に引き受けることを決意したのでした。
 同窓会幹事会と称して、月に1回の頻度で集まっている12名ほどの45才の同い年男女。
 『○○さん(小生の初恋の女性)の出席がかなわないと知った以上、今回の同窓会に私的感情は一切もちこまないのであるっ。徹底して諸君ら幹事、ならびに列席者のために尽力してやるっ!』と集っている他の幹事の前で、声高々に宣言したのが年明け早々だったでしょうか。

 初恋の女性と、生まれて初めてデートした地、鎌倉。
 ふたりで歩いた由比ガ浜。
 ふたりで見た夕暮れ。
 17歳の小僧だった小生の鼻孔を刺激する彼女の香り。
 すべて遠い思い出である。
 月日が流れ、最後に会ったのが22歳くらいのころ。あれから20数年、、、、年賀状は毎年やってくるが、いまだ直接お会いしたことはなかった。
 折り返しを過ぎた小生の人生、、、、もう、彼女と会うことは永遠に叶わないのか。

 まっ、そんな失望と、旧友に会えるという希望の混じった感情のままの同窓会のスタートでした。

 いやはや、来るわ来るわ、45歳の面々。
 一撃で顔と名前の一致する人もいれば、当時の面影ゼロのやつまで様々でしたね。
 美貌と優しい性格で、当時はかなりモテる部類に入っていた女性が完膚なきまでにオバサンとなっていたり、いったいお前に何が起きてそこまで太ったのかと聞きたくなるようなヤツとか。
 中には、ついこの間まで刑務所に入っていた、、、なんていうやつまで出現。当時悪かったヤツというのは、キッチリとその雰囲気を保ったまま生きているもんですな。遠方の九州や大阪から駆けつけてくれた同級生までいて、それなりの盛り上がりを見せました。
 教鞭をとられていた恩師は、来年には60歳ということで、まもなく引退されるのだとか。
 いやはや、みんな歳をとったもんだ。

 ホテルの宴会場の食事には一切手をつけずに、ビールとワインばかり飲んどりました~♪
 
 無事に、盛り上がりを見せたまま、ドラブルなく1次会を終了。
 宴会の進行担当の責務を果たすべく、片付けやホテルとの清算などの残務をして、小生はやや遅れて2次会会場へ到着。
 すると、予想を上回る出席率。
 120名中95名がそのまま2次会会場へ流れたのだとか。
 大広間でただ、ただ酒飲んでるだけ~♪
 小生は1次会ではバタバタしているだけだったので、ゆっくりといろんな奴と旧交を深める。
 開成高校に進学して大学教授をしている奴。
 授業中に鼻くそ食って寝ているような奴だったのに、その後国立大学の医学部に進学して著名な生物博士になっている奴。
 『おまえは昔、ああだった、こうだった、、、』なんて話がそこかしこから聞こえてきました。
 中には酔っぱらって、隣に座した女の同級生の手を握り続けている奴とか、だんだんとムチャクチャな野郎が出現してくるようになりました。
 
 小生は中学の剣道部だったころの仲間と、なんやかんやと楽しく時間を過ごしてました。
 仲間と写真を撮影してみたり、いやはや盛り上がっておりました。

 すると、ひとりの女性幹事が小生に向かって手招きをしている姿が目に入る。
 なにやら、意味深な笑顔。
 中年女と浮気なんかしないからなっ!
 45歳の女の垂れた乳なんぞ揉んでも何も楽しくないのだ。
 と思って席を立ち、彼女の手招きする入口に向かうと、、、、

 おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ、
 なんと、初恋の女性が目の前に。
 なんでも、小生の願いが叶うようにと、こっそりと前日に彼女の自宅に電話して、遅くなってもいいから2次会に参加しないかと誘ってくれていたらしい。
 直立不動の小生。
 すぐさま手配していたカメラマンに、記念写真を撮れと依頼。

 飲み屋の2階でふたりだけのツーショット。
 ううううっ、泣ける。
 毎年配達されてくる年賀状で彼女が当時の面影のままであることは知っていましたが、、ホントにかつてのままのように感じました。
 入口で長い時間立ち尽くして彼女を独占するわけもいかず、すぐに他の宴席へ招かれて行きました。

 いやはや、もう、どうにも、、、ねえ。
 それにしても、彼女に電話をして出席を促してくれた同級生に感謝至極なのであった。
 入口で立ち話と記念に写真を撮影しただけだったので、彼女が暇そうにしているころ合いをみて、もういちどゆっくりとお話しました。
 かつてのこと。子供のことなどなど、、、、。
 ちょっと言葉に詰まる瞬間がありましたが、感無量。
 もう思い残すことは何もありません。

 宴会がお開きとなり、どこへ行くあてもない酔っ払いの45歳が90人超。
 小生は、幹事の連中と3次会につきあわなければらならず、自宅のある隣の駅に移動することになったが、彼女はそのまま帰宅するとのことで、歩みを同じくして駅に向かう。
 気を利かせた他の同窓生が、小生たちとはぐれるようにと歩みを遅くしてくれて、ふたりきりで歩いた駅までの道のり。 
 そう、こんなふうに28年前の由比ヶ浜を歩いたのだった。
 やがて駅に到着し、ホームに降り立つと列車がくるまでにあと15分。

 時間よ、止まれっ!
 なんてことを年甲斐もなく願ったわけでもないが、頭のなかは完全に17歳だったころの自分になっていた。
 まもなく電車がやってくる。
 小生に残された時間は、となりの駅まで電車に揺れる3分間。
 ウルトラマンかっ!

 っと、そこへ、仲の良かったHという名の同窓生がホームに続く階段を下りてくる。
 バカヤローっ
 いいときに出てくるんじゃねーっ!
 
 Hの野郎は、『なーんだ、帰る方向が同じだね、、』なんて呟いてる。
 バカモンっ!
 ちょっとは気を利かせろってんだよっ!
 今度Hに会ったら絞め殺してやろうと心に決める。

 電車に乗り込み、あえなく小生が降りる隣駅に到着。
 『じゃあね、、、』とつぶやく彼女。
 最後にそっと握手をして、わが青春の想いは春の夜空に舞っていったのであった。

 実名で行こう!
 浜田~っ、お前のせいで、最後がトンだことになったんだつーの。
 なんで、オマエの前で、最後の別れの握手しなきゃならないんだっ!
 今度会ったらホントに絞め殺してやるからなっ!

 駅の改札を出ると、他の幹事が小生を待っていてくれた。
 どうやら、わざと別の車両に乗り込んでくれていたようだったのだ。
 そう、その気づかいこそ大人なのである。
 ん~また浜田に腹がたってきた。

 彼女とふたりで撮影した写真は、冥土の土産に持っていこうと心に誓う、春の夜なのだった。