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 坂口安吾の『信長 イノチガケ』です。

 この本には、「イノチガケ」 「島原の乱雑記」「鉄砲」「信長」の4篇の歴史小説が収められています。いずれも戦国時代、織田信長の生きた時代のおはなしです。
 なぜ坂口安吾は、信長の生きた時代の小説など書いたのだろう。第二次世界大戦の前、そして戦中、戦後と小説家という表現者の道を生業としてすごした坂口安吾のなかにあった「日本人とはなんなのだろう、、、」「戦いに明け暮れた過去の歴史と、昭和の時代の戦争の意味とはなんだったのか」そんな疑問を解くためにこれらの歴史小説を書いたのではないかと、小生には思えました。

 命がけでキリスト教の布教のためにヨーロッパからやってきた宣教師と、宣教師のあまりに潔い生き方を驚きとともに、敬いの念すら抱いた信長の姿

 キリスト教の教義を守り抜くため、島原で命を賭した戦いの末に散っていった3万7千人の農民の命

 鉄砲という伝来の武器を創意工夫を加えた戦術を編み出すことにより、天下をのぼりつめた信長

 幼きころに、タワケと蔑まれながらも、非情の実践者、超現実主義者としておのれを道を貫いた信長

 結局のところ、坂口安吾は信長の生き方が好きで、信長のなかに現代にも通ずる日本人の生き方をみいだしたのではないだろうか。
 もっとも長編である「信長」は一風変わった歴史小説のように描かれていますが、信長の精神が実にわかりやすく、そして強く描かれているのではないか。
 
 なんだか再び歴史小説を読み漁りたい衝動が湧いてきた、今回の本でした。