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 吉村昭が鬼籍に入られる直前に書き上げられた短編ばかりを文庫にした『死顔』です。

 作品には、自分の死を予感してか、兄弟の死や吉村昭の小説によく描かれている、象徴的な風景の語り口が印象てきでした。

 もっとも印象的なのは、吉村昭の妻で小説家の津村節子によるあとがきでしょうか。
 吉村昭が死の直前、病院のベッドでビールとコーヒーを欲し、介添えしていた津村節子が希望通りにすると、点滴の管と、首に挿入されているカテーテルを引き抜き、『もう、死ぬ』と言って絶命したのだという。
 なんとも清々しい死ではないか。
 自らの最後の欲望を達し、自らの手で延命治療を終わりにし、死を迎える。


 吉村昭のすべての小説を読むことにした。