
父・林富士夫は、日本帝国海軍の特攻部隊、神雷部隊に所属していた。
生きて帰らぬ特攻出撃へ、隊員から出撃者を選び、その名を黒板に書き出した分隊長であった父。
部下たちを見送り、生き残った自ら。
生き残った辛さに苛まれ、1年365日のすべてを慰霊の日と心に刻んで過ごしたその後の日々。
戦後、あたり前のようにあった普通の家族が背負っていた、もう一つの物語。
上記の文は、書籍カバーの裏表紙に書かれていた文言です。
特攻で命を国に捧げた人、生き残った人、そしてその家族。
人間は、人間どうしがいかなる理由においても殺し合いをすべきではないと。
戦争状態になるということは、人間としての倫理を忘れた状態だと。
特攻兵士として生き延びた林富士夫さんの生き方が粛々と語られる本中に、兵士が勇ましく見えるとか、戦争の火蓋をきらざるをえなかった日本の窮状などは見えてきません。
ただ、ただ、命をかけて戦わざるをえなかった当時の日本人の悲しみだけが、心に重くのしかかってくるような気がしました。
この本に漂う、厳粛さはなんだろうか。
そう、自分に問いかけた本でした。