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 著者の澤地久枝の満州での暮らしを綴った本『わたしが生きた「昭和」』(岩波文庫)です。

 著者は、この本のなかで、繰り返し国体のありようの、あやうさと無責任さを綴ります。国をたよりに生きた人々が、こんなに裏切られた、、、、と。
 敗戦後間近の日本に対して宣戦布告し、攻め込んできたロシア兵が婦女の強姦目的に町をうろつくあたりの表現は、戦争のもたらす、人間の思考能力を無にする恐ろしさを、実体験者として訴える悲痛さある。
 筆者は、戦争は頭で考えている以上に、もっと悲惨なんだ、人間が変わってしまうんだと訴え続ける。
 そして、そのことを訴え続けることが、戦争の実体験者の使命であると。

 第二次世界大戦を巨視して、戦争の始まった歴史を捉えることも大切なことであるが、著者のような実体験を知ることも、平和ボケした我々世代に必要なのだと痛感した1冊であった。