
日本海軍の生んだ名機零戦を操り、数々の空中戦を戦い、そして特攻を命じられながらも存命のまま終戦をむかえた海軍パイロットの手記である。
予科練への入隊から実戦をへて、神風特攻隊として米国艦船への特攻攻撃をすべく待機していたフィリピンの帝国海軍基地で終戦を迎えた帝国海軍航空隊パイロット。
戦争における悲壮感や悲惨さがそこに描かれいるわけではない。
手記を残したパイロットの方も語っているが、パイロットは厳しい訓練を耐え抜いてきた、いわばエリートとも言えるので、食事がなくて飢えたとかいう経験はほとんどなかったそうだ。訓練後に冷たい牛乳が飲み放題だったとの記載もありました。
ただ、それはいつか遠くない未来に、ほとんどパイロットが国のために命を落とすという暗黙の了解のようなものがあったそうである。
登場するパイロットの今泉さんの語り口は、おそらくとても軽快だったのではないだろうか。
飛行技術に関する話や、零戦の優劣を語る内容は、とてもイキイキと感じられる。
戦争の話に不謹慎な、、、という捉え方の読者もあろうが、小生には、我が命の続くことをあきらめた男たちの清々しさのようなものを感じた。
へえ~そうなのか、、と初めてしったこともあった。
それは、戦闘機に搭載されている機銃には3種類の弾薬が込められいたということだ。
弾には鉄鋼弾(鉄のかたまりで、機体に穴をあける)、曳光弾(火薬が発光しながら飛ぶ。これで弾道を確認する)、焼夷弾((中に入って入って発火する)を混ぜていれるのだそうだ。
よく、記録映画などで、発射した弾が光っているのは、空気抵抗か何かで熱を帯びて光っているかとおもっていましたが、弾道の確認のための曳光弾なんてのがあったのですね。
戦闘機の操縦に関する技術的なことも言及してあり、じつに興味深く読めました。
完末にある最後の文章が心に響く。
『若さというのはそこに道があれば無心で走るという特性がある。だからこそ戦争への道を走らせてはならない。民族の財産である若者の純粋な心を国家の武器にかえてはならないのである。
そして、あの悲劇を二度とくりかえさないために「大人」たちが深い反省とゆるぎない反戦の意識をもち、それも子供たちにおしえ、未来にむけて誓わなければならないのである。』