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 吉村昭の記録小説 『零式戦闘機』(新潮文庫)です。

 吉村昭というと、15年くらい前に『仮釈放』という題名の、不倫した妻を刺殺した男をテーマにした本を読んだことがあったけな、、、。あの頃は独身だったので、不倫を犯した妻と情夫への憎しみなんてのは、いまひとつピンとこなかったが、妻帯者となった身で読み返してみると、また違った想いも小生のなかに湧き上がってくるだろうな、、、、

 そして、今回の『零式戦闘機』です。
 太平洋戦争について、零戦の開発誕生から特攻機として人間爆弾にいたるまでの戦史を通して描かれています。
 日本が生んだ名機『零戦』について書かれた他の本をいくつか手にとったことがありますが、軍事オタクみたいな本だったり、航空力学などのむつかしいことが力説されていたりで、小生には理解不能なことが多くありました。しかし、この本は、航空知識などを専門としない筆者が、史実と徹底的な取材にもとづいて書かれたものなので、航空知識などまったくない小生にも、理解しやすいものでした。
 零戦の名の由来は、開発の完了した皇紀2600年を記念して末尾の0をとって『零式艦上戦闘機十一型』であることなど、当時の日本人の感性を理解させてくれる緻密取材と簡潔な文章力に、すっかりひきこまれてしまった。
 
 読後にはとんでもなく長い本を読んだような満足感があるが、実際はそれほど長い文章でもない。やはり、筆者吉村昭氏の描く、知への渇望とも言える魂の生み出した無駄のない表現が、小生に感慨を与えてくれるのだろうと思えた。

 吉村昭、しばらく読み進めるべし。

 そういえば、社会人チームに所属しているときの主将は、零戦の動力を開発した中島飛行機(いまの富士重工)の創始者の孫だった。
 中島さん、元気かな~?