北の大地へ 稚内~釧路 恐怖のピヤシリ林道


滝つぼを眺めて、一服していると、地元の釣り客と思われる二人連れが、フライロッドを片手に渓流の奥へと進んでいった、、、、のは、良いのだが、小生は見てしまった。その釣り客が二人とも腰に熊よけの鈴をつけ、鈴音を響き渡らせていたのである。つ、つまり熊が出没する可能性は十分あるということだ。そいうえば、ピヤシリ林道はどこかが、今までの林道と違う。獣の気配がするのだ。
 ピヤシリ山の山頂に近づくと、勾配もきつくなり、慎重な運転となる。こんなところで転倒したりしても、ダーレも助けにきてはくれぬだろう。こんな山奥では携帯電話も繋がらない、、熊に遭遇して、絶叫しても、小生の最後の叫びを聞いてくれるのは獣ばかりだ、、、。おおっコワっ、、。
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 恐怖の感情も入り混じりながら、林道をドンドン進む。

 ピヤシリの山頂を超え、下りのダートに入って、ブラインドカーブを曲がると、、
出たーっ!と思ったら、キタキツネの子供の兄弟。
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 街中にいるキタキツネと違い毛並みもキレイだ。慌てて逃げる素振りもなく、一定の距離を保ちながら、こちらの様子に興味あるようだ。子キツネだけに、仕種がなんともかわいらしい。
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 ナンダ、ナンダ、、、って感じで、何度も振り返ります。

 こんな、子キツネがいるってことは、熊もおるんでないの、、、。
ますます、ヒグマ遭遇の恐怖が頭をもたげてくる。

 気を取り直して、進んでいくと、、路面の砂利が凄く深くなってきた。
 前後輪ともフラフラと滑りながら、ダートを下る。最初はトンでもなく恐ろしいと思ってビビッていたが、ニーグリップと、上半身の脱力、ハンドルタッチを柔らかくしておけば、リカバリーが効くと走りのコツがつかめてきた。
 いや~、バイクはとにもかくにも、ニーグリップが大切だと痛感。
 滑り始めのレスポンスをキチッとすれば、案外滑りながらの走行も楽しいもんだ、、いや、そうでもない。
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 下りの砂利ダートをズルズルと滑らせながら、直線ダートを走行して、ブラインドカーブを曲がると、いきなり、鹿が。
 鹿も驚いたでしょうが、小生もかなり驚きました。左右を木立に囲まれた幅員の狭いダートを鹿が逃げる。鹿は、小生との距離20mくらいを保ちながら、林道を進む。まるで、鹿に先導されているようだ。2分間くらい、鹿に林道を先導されながら走る。なんで森の中に逃げないんだろう?
 なんとも、不思議な感じだった。

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 長い長いピヤシリ林道でしたが、実に楽しめました。
 リス、子キツネ、鹿のほかにも、大型の猛禽類と思われる鳥や、得体のしれない四足の獣も何度か遭遇しました。
 ずいぶんと色々と驚かされた林道走行でしたが、山を後にして、下川国道239号線を東に向かい紋別方面と向い、オホーツク国道238号線に戻る。

 時刻は、すでに13時20分。林道でチンたらしていたせいで、ここからは、かなり飛ばして走る。
 興部、紋別、サロマ湖、網走と走る、走る。
 昼食も、時間が惜しいので、サイコーマートのおにぎりですませる。

 さっきから、気になるのはガソリンだ。
 この日は、日曜日だったせいもあり、ほとんどのガソリンスタンドが休みだ。うーん大丈夫か?
 日没も心配だ。たしか、今日の日没時間は18時20分のはずである。

 急げや急げ!目指すは、知床半島だ!
 が、しかし、知床半島の入り口の町、斜里に到着したのは、16時55分頃。
 えーい、男だ!
 羅臼岳が待っている。
 行け~

 ウトロの手前のところで、愛車を止め、冷静に状況を考えた。
 
 時刻は、すでに17時33分。
 羅臼の町までは30km。ということは、知床峠までは、15kmくらい。
 ガソリンの残量は、3本と4本を行ったりきたり。ということは、経験上、ガソリン残量は7~8ℓ。
 ガソリン残量から計算して、走行可能な距離は多めに見積もって180km。
 もし、もし、釧路の町までガソリンスタンドがなかったら、アウト。絶対ガス欠。

 むむむっ、これでは、熊胆でひと儲けどころか、ガス欠でひと気のない路上で立ち往生し、熊に食われるのではないか、、、、。
 しばし考え、勇気ある撤退の道を選択した。

 知床には絶対に行きたい。 
 そうだ!本日宿泊予定の釧路のホテルを連泊し、旭川方面を巡るのをやめてしまおう。
 明日また、釧路のホテルから出撃し、道東めぐりに変更しよう。
 まずは、釧路のロイヤルインに電話し、連泊可能かの確認をとる。幸運なことに連泊可能とのこと。
 つづいて、旭川のホテルにキャンセルの旨を連絡。
 やはり、戦うには物資その他の後方支援の調達は重要である。
 
 『みなの者~!引け~!引け~!』
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 写真は、Uターンを決意した知床国道の路上です。
 明るそうに見えますが、かなり陽が傾いておりました。

 斜里の街まで戻ると、大きなガソリンスタンドがまだ営業していた。
 ホッと息をなでおろし、スタンドのオッサンに聞くと、
 この場所からは、釧路まで120kmほど、2時間は要すという。
 羅臼側に行ったら、日曜日の夜に営業しているガソリンスタンドは皆無とのことだった。

 どうやら、勇気ある撤退は正解だったようだ。
 
 しかし、ここからがオットろしかった。
 斜里のガソリンスタンドで給油をして、しばらくすると完全な日没となった。
 釧路へ向かう国道391号線は、漆黒の闇だった。
 バックミラーに写るのは、完全な闇。本当に真っ黒だ。

 バイクを停車させると、月と星以外に光るものは、何もなかった。
 さらに、音もしない。
 本気で怖くなってきた。

 ごく希に通る自動車は、時速100km以上の速度で飛ばしまくっている。
 漆黒の闇を走行すると、はるかに車のほうが速いことを学習した。
 バイクで闇を走るのは、90kmぐらいが限界だ。
 街灯などまったくない国道391号線を野上峠などの山道をひた走る。
 暗いよ、怖いよ、ほんとに怖いよ。
 疲れたよ、手首が痛いよ。
 『あ~どうして、オレはいつもこうなるんだ~』
 映画「ダイハード」のジョンマクレーン警部補のようにヘルメットの中でつぶやいた。

 道沿いに「只今の気温15℃」と表示されている。
 寒い。グリップヒーターのスイッチをオンにする。
 
 なんだか、さっきから、バックミラーに女の影が映るような、、、、。
 ヒエ~っ。

 そのうちにバイクと自分が一心同体のような、へんな感じになってきた。
 思うように、バイクを操っているような、そうでもないような、、、。
 この感じは、高知から剣山林道をへて、千葉の自宅まで一気に走った1030kmの時に東名高速の名古屋を過ぎたあたりから感じた浮遊感と同じである。
 危険だ!この自由な感じ。もっと安全マージンを高くとろうと、ギヤを落として減速した。

 釧路の街まで10kmの地点に到着して、ようやく、人の住んでいる灯りが見えてきた。
 神様、ありがとうございました。 
 無事に人里まで降りてまいりました。

 21時10分。ホテルにチェックイン。
 シャワーを浴び、夕食をとるために繁華街に繰り出すと、夏祭りが開催されていたようで、どこも満席でいっぱいだ。行きたかった炉端焼店「ひょうたん」も当然のようにお休み。

 えーい、どうせ、明日も釧路の街に戻ってくるのだ。
 今日は、何でも腹に入ればよいと『白木屋』で晩飯にありつく。

 白木屋では、もう箸さえ重たく感じる始末。
 もう、ヘロヘロでした。

 22時30分には、気絶状態で夢の中へ、、、、、、

 本日の走行 805km