
信長の時代にポルトガルから日本へやってきたらしい外人(作者は不明らしい)の手紙の翻訳で構成された本である。
信長の性格や行動指針を実に論理的に捉えている。冷徹、残虐といった一般論で語られる信長の性格を、崇高な実践者のそれとし、残虐行為の奥にひそんだ孤独と苦悩を見出して語られている。異人が書いたこの手紙には、信長を大殿(シニヨーレ)と呼び、賞賛の言葉が多く語られている。何万という人を殺した比叡山焼き討ちについても、先手をうった素晴らしき判断だと記されている。また、信長がいつも簡素ないでたちで日常を送っていたことや、コメカミのあたりをヒクヒクさせて、イラついた表情を見せていたことなどが語られるさまは、日誌のように記されているせいもあるが、読み手の前にイラついた信長がいるような気にさせる。
非情なまでに論理的に「事を成した」信長。
きっと、恐ろしいほどに憂鬱なまなざしをしていたのでは、なかろうか。
500年前に生きていた信長のアタマの中が、少しだけ解ったような気がした。
おススメ度。100点。