ちょっと形の変わったこの栞、実はこの形は本とかかわりの深いある物の形を模しています。これを見た
だけでそれが何か、あなたは分かりますか。また、描かれているこの風景、日本国旗が風になびくヨーロ
ッパ風のこの建物、一体どこの国の何の建物か。その秘密はすべて裏面を見るとわかります。
何と、これは活版印刷に用いられる活字の形のしおりでした。右側の下の方にみられる溝のような
くぼみはネッキと呼ばれ、活字の種類や字並びなどが容易に識別できるようにつけられた部分です。
東京築地活版印刷製造所は、1872年(明治5年)創業、明治・大正・昭和の66年間にわたってわが
国の印刷文化に尽くし、印刷業界で老舗(しにせ)といわれた会社です。この栞の左側には、「弊社
の製品は第5回内国勧業博覧会教育館内に陳列致し置き候(そうろう)」と書かれています。
内国勧業博覧会は1903年(明治36年)3月1日から7月31日まで大阪の天王寺今宮で開かれました。
『日本の博覧会』によると、会場敷地32万㎡に農業、林業、水産、公表、機械、教育、美術、通運、
動物、水族の10館が建ち、入場者数は内国勧業博覧会始まって以来の記録をつくったそうです。
ということは、この栞、今から117年前につくられたもののようです。
1枚の栞が100年以上前にタイムスリップしてその時代を見せてくれる、これが栞収集の大きな楽しみの
一つです。

