Notices(通知)

改正法では、意思表示の効力発生時期について、隔地者に対するものであるかどうかを区別することなく、到達主義が採用されます(改正法971項)。任意規定です。

また、意思表示の相手方が、正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨害した場合には、その意思表示は、通常到達すべきであったときに到達したものとみなされます(改正法972項)。

日本法がその準拠法と定められている場合、改正法施行日以後に通知が発せられた意思表示について、通知についての改正法が適用されます(附則62項)。

 

No Assignment/Successor and Assigns(債権譲渡禁止特約/承継人及び譲受人)

 改正法は、債権譲渡に関して、債権者と債務者との間で債権の譲渡を禁止し、又はこれを制限する意思表示をしたときであっても、債権の譲渡はその効力を妨げられない(改正法4662項)。特約があることを知っていたか(悪意)、または重大な過失によって知らなかった当該債権の譲受人に対して債務の履行を拒絶することができる(改正法4663項)。さらに、改正法は、異議をとどめない承諾による抗弁権切断の制度を廃止しています(改正法468条)。

併存的債務引受については、これまでの取り扱いと同様に、債権者と引受人との契約による場合(改正法4702項)と、引受人と債務者とが契約し、債権者が引受人に対して承諾したとき(改正法4703項)に、併存的債務引受が成立する。そして、併存的債務引受が成立すると、債権者に対する債務者の債務と引受人の債務が連帯保証となるという効果があります(改正法4701項)。

免責的債務引受については、債権者と引受人とが契約し、債権者が債務者に対し通知することによって、免責的債務引受が成立すると定めています(改正法4722項)。なお、従前の判例とは異なり、債務者の意思に反しないことは、免責的債務引受の成立要件とはされていません。また、債務者と引受人とが契約し、債権者が承諾する場合にも免責的債務引受が成立する(改正法4723項)。

改正法には、契約当事者の地位の譲渡について、契約の相手方の承諾があれば、契約上の地位を第三者に移転できる旨を定めています(改正法539条の2)。

 

Governing Law and Dispute Resolution(準拠法及び紛争解決機関)

 日本においては、「法の適用に関する通則法」に「法律行為の成立及び効力は、当事者が当該法律行為の当時に選択した地の法による。」(同法7条)。よって、日本の裁判所に国際契約に係る訴訟を提起する場合には、当事者が、当該契約に関して合意した準拠法をそのまま適用することが認められます。

契約書中に準拠法を合意しておかなかった場合には、上記「法の適用に関する通則法」は、当該法律行為の当時において当該法律行為に最も密接な関係がある地の法による等と定められているので(同法81項から3項)、どの国の法律が適用されるのか、契約締結時においては決まっていないことになります。

したがって、当事者の合意による準拠法の選択が許される場合には、準拠法の定めは、国際取引契約における法的リスクを軽減しますので、それを合意しておくべきです。

 

Force Majeure(不可抗力)

当事者双方の帰責事由によらない債務の履行不能について、債権者からの契約の解除(改正法54211号)及び反対給付の履行拒絶(改正法533条、536条)を認めています。

改正法は、当事者の契約上の合意内容から逸脱することを「帰責事由」ととらえるので、具体的な不可抗力自由及びこれに準ずる一般的包括的事象が発生した場合の債権債務の処理方法を不可抗力条項として合意しておくことが有効です。