本年6月からいわゆるパワハラ防止法が中小企業にも適用となりました。

私も企業様から「パワハラ防止法について話してほしい」とご要望を受け勉強会や講演会を行っています。

そのようなさなか、先月、防衛省からのご依頼をいただき、ハラスメントについての講演会をさせていただきました。

 

2019年5月成立のパワハラ防止法、中小企業は今年の4月1日から実施・義務化されます。準備はできていますか?法律に違反した企業は①厚生労働大臣による企業名の公表などの処分・②パワハラ被害者からの損害賠償請求がなされる可能性があります。昨今の求職者は職場環境に敏感です。「ブラック企業」のレッテルはインターネットの口コミサイトを駆け巡るでしょう。また、顧客に対するマイナスイメージにより売上や利益への影響は避けられません。

 

①    職場におけるパワハラの防止や相談・解決についての実施が義務づけられた

→就業規則の変更、相談窓口の設置

②    どのような言動が職場のパワハラになるのかが定義された

③    国がこれからハラスメント対策を施策として行うこととなった

④    ハラスメントを会社に相談したことによって会社がその労働者に対し不利益な取り扱いをすることが禁止された

⑤    パワハラ問題の解決に個別労働紛争解決制度による調停が利用できるようになった

 

そもそもパワハラとは一体なんでしょう?その境界線は極めて曖昧にも思えますが、いろいろと書籍を読んだ結果分かりやすく伝えるとしたら「一方的」かどうかということにつきると思います。

普段から部下と双方向にコミュニケーションをとっていればパワハラは防げます。

職場内でコミュニケーションをどのようにとるかといった練習会を開くだけでも効果は上がってくると思います。

そのような環境であれば、部下を叱っても、部下は仕事のために叱ってくれている、注意してくれていると受け止めるでしょう。

コロナ禍でコミュニケーションを取ることが難しくなっている昨今、パワハラリスクは高まっています。

 

弁護士や裁判官の考え方は前後関係がどうなっているかも重視します。

人間なら誰しもイラッとして一瞬パワハラに当たるような暴言を吐いてしまうこともあるでしょう。

しかし、その前に良好な関係を築いていればパワハラに当たらないと裁判所が認定することもありますし、その後にきちんと謝っていれば被害が最小に食い止めることもできます。

講演会でもお話ししましたが、謝罪をすればパワハラを認めてしまうことになることを恐れるかもしれませんが、そうではありません。謝罪をすればそもそもパワハラを訴えることを止めることができます、また精神的な損害を最小限にすることができるかと思います。

 

パワハラに当たる言動でも受け止める人によってパワハラに当たらないかもしれませんし、パワハラに当たると考えるかもしれません。

裁判所や労基署では客観的に判断します。講演会では「置き換えして考えてみましょう」とお話ししております。

例えば新人だとすれば、ほかの同じような新人に置き換えて、当該言動を受けた場合、パワハラに当たるかどうか検証します。逆に、ほかの上司なら同じように叱るかどうか置き換えて考えてみます。

 

 

そのほか・・・

①    職場以外の場所でもあり得ます。

 →「業務を遂行する場所」かどうかが基準。懇親会や忘年会、通勤途中でも当たり得ます。

②    部下からの上司への逆パワハラもパワハラにあたります。

 →部下の方が業務上必要な知識・経験をもっており、その部下の協力がなければ仕事が進まない場合、部下が集団ボイコットをする場合はパワハラにあたります。単純に、部下への「マネジメント不足」として片付けてはなりません。

③    ミスは否定しても、人格を否定しないこと

 →「このようなミスをしないように」という注意にとどめ、「このようなミスをするなどおまえはアホだ」とは言わないように。

④    派遣社員に対するパワハラも今回の法改正の対象にあたります

⑤    「業務上必要な注意かどうか」「平均的な労働者の感じ方」がパワハラかどうかの分かれ道

 →上司は、①業務指導と懲罰を混同しない・②コーチングのアプローチの二つを意識すること。②とは、一方的に考えを押しつけるのではなく、なぜできないのかを一緒に考えて深く掘り下げたりアドバイスをし、本人に改善策を自ら見いださせるといった「プロセス」です。こういったアプローチやプロセスとは、別の言葉で言えば「コミュニケーション」です。

 そして、こういった「プロセス」「コミュニケーション」は時間がかかることで余裕がないとできることではありません。残業が多く、年休もとりにくい会社はそのような余裕がないためパワハラが起こります。

 

御社は大丈夫?パワハラの起こりやすい職場は?

・社内での会話や雑談が少ない

・上司や部下との間に高い壁がある

・失敗が許されない職場の雰囲気

・残業が多い、年休がとりにくい

・人事異動が少ない、メンバーが固定化

・社外との交流が少ない

・成果主義で社内競争が激しい

 

厚生労働大臣指針のパワハラ6類型

①    身体的な攻撃(暴行・傷害)

②    精神的な攻撃(脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言)

③    人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)

④    過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)

⑤    過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)

⑥    個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)