「アイツら売れ路線走ったじゃん?
だから俺,もう興味ないんだよね~.
だってリアルじゃないでしょ??」













・・・ぶちんむかっ(私の切れた音ね,)












「はぁ?!

確かにそんな人たちもいるかもしれないけど,

音楽ってそういうもんじゃないでしょ?!

いい音はどんなポジションでもいいもんでしょうが!!

やばい音楽聴いたことないでしょ?!
心打たれたことないでしょ??


メジャーになるのがリアルじゃなくって,


マイナーなアングラの
引っ張り出して


”そんなリアルな俺”


演じてるあんたのほうが
リアルじゃねーよ!!」




って言い返しはしなかったけれど思った.


かっこ悪(笑)









いいものは,いい.




みんなで
いい音楽,いい音,


愛していきましょうねドキドキ





こんなこと思いながら,
爆音で年末の論文に追われてる
私のほうが

よっぽどリアルだっつうの!!





「ジュリア~」


そういって,
毎日,眠る前に電話をくれる.


幸人と離れて3日がたった.
明日はクリスマスイブ.


その声を聞くだけで
一人でも,眠ることができる.
帰る前よりも,違う環境になって,
疲れていた幸人が
電話でも,穏やかになっているのが
嬉しかった.




2人で過ごす予定だったクリスマスイブ.
学校が終わってから
結局いつもの4人で過ごすことになった.

優衣は途中
祐介君のバイトを待って帰るけれど.

あれから優衣は
たまにヒゲちゃんと会ってるみたいだった.
相変わらず苦しんでいたけれど,
納得いくまでぶつかることにしたみたい.




みんなで,いる時の早い時間に
幸人からの電話.


「樹里ちゃん?」




「メリークリスマス!!」




「うん.
一緒に過ごせなくてごめんね.」

幸人の電話の後からは
CORN HEAD & KEN-UのHANASANAIが
流れている.


「ううん.大丈夫だよ?
いつものみんなで集まってたとこ.」




「そっか.
俺,樹里ちゃんのこと,
ちゃんとしようと思って.」









・・・耳を,疑った.






「結構長い間まってましたよ(笑)
でも,ありがとう.」


そう答えた.
返事がどうであれ,
考えてくれたことが嬉しかった.



「今は,友達と居るみたいだから
楽しんでよ.
また,寝る前にでも連絡して.」




「うん!!!」



そう言って電話を切った.





「樹里の幸人君との電話
声激あまぁ~!!!」
そう茶化した美奈に



いつもだったら,
そこで否定する私がしなかったから,



「どうしたの?」


優衣が不思議そうに聞いてきた.




「幸人がね,幸人が,
私の関係ちゃんとするって!!」




「マジ?!」
美奈が叫んだ.



「やったじゃん!!!
ハチ公パワーの勝利だね!!!」

優衣が抱きついてきた.




「うん.」



胸が苦しくなった.
一人になって,
思い出してくれるのが私だって事が嬉しかった.



当たり前にしないって
こんな些細なことさえ嬉しいんだって実感した.


「サンタさんっているんだよ.
きっと樹里の頑張り見ててくれたんだね.」
そう真理奈が優しく言ってくれた.



「まだ,どっちのちゃんとかわからないけど,
すっごく嬉しい!!!」





サンタさん




お願い.





プレゼントなんか
いらないから






ずっと,









ずっと,









私を
幸人のそばに
おいてください.




そう,みんなで
2本目のシャンパンを
あける時に願いをこめた.







眠る前に,
電話をかけたけれど,
でなかったから,
メールをした.













「幸人帰ってから,
お母さんも大丈夫そうだし,
幸人も落ち着いたみたいでよかったニコニコ
帰ってからも,
楽しみなことたくさんだねにひひ
幸人なら,きっと
どんな仕事もマチガイないよべーっだ!グッド!
明日も早いから寝ますぐぅぐぅ
おやすみなさいドキドキ」





そう送った.







夜中のメール.







「樹里ちゃんへ,



初めてあったときから,
ダメな所ばっかりで,
迷惑ばっかりかけてたのに
一緒に居てくれて
こんな俺を支えてくれて

本当に本当にありがとう.

感謝してます.

俺の気持ちは
会って直接話したいから

帰ってくるまで,
待っててね.」




そう,返事が来た.
そのメールをみて,

私は泣いた.



会った時から,
待ち続けたこのメールを.







何があってもこの人と,
一緒に居よう.

そう決めた.


離れないでいよう.



そう,それは

むしろ



“覚悟”


に近かった.






「母親が,倒れたって...」

よく話に出てきた,
幸人のお母さん.
きっと素敵な人なんだろうって思ってた.
この時間じゃ向かうこともできない.

「幸人,大丈夫?」


「とりあえず,明日の朝イチ向かうから...」


大丈夫なわけなかった.
大好きだった仕事をやめたその日に
母親が倒れた連絡.


あまりの切なさに,
幸人を抱きしめることしかできなかった.


「ちょっとコンビニ行ってくるね.」
外の空気も吸いたいんだろうって思った.


タバコが切れていたことを思い出して.
電話で頼もうとしたら,
部屋から聞こえてきた着うた.




JAMOSAのFly Away



今までみんな同じ着信音だったのに.



誰にもいえない思いも
素直に何度も打ち明けるよ
変り行く時の中でも
二人変らずに.....




また涙があふれた.


こんな風に思ってくれてたんだ.
そのことが嬉しすぎた.



ちょっと落ち着いたみたいで,
その後はいつもの幸人だった.



「明日,とりあえず帰るから.」


「うん.」


「樹里ちゃん,待っててね.」



「もちろんだよ.
お母さん大丈夫だといいね.」



そんなありきたりなことしか言えなかった.

次の日の朝早く,
幸人は実家へ向かった.


学校に行っても,
研究も手につかなくて,
心配で仕方なかった.
きっと自分のことでいっぱいのはずなのに・・・




「母親,大丈夫だったよ.
心配かけてごめんねあせる
いったん,帰るからニコニコ」



そうお昼ごろメールが来た
携帯を抱きしめた.




よかった......
それしか出てこなかった.



次の日には幸人はいったん帰ってきた.
お店最後の日.
昼間は引き継ぎなんかして
夜には帰ってきて,
しばらく会えなくなるから
外でデートをした.



街のイルミネーションが綺麗で,
ここに幸人と居れること
幸せに思った.


すれ違う友達は
私の事,彼女って思ってくれるかな?
なんて考えたりして.
SLYのコートなんかもう,着なくていいくらいに
暖かかった.


こんな事コースケに聞かれたら
やっぱりハチ公だって笑われる.




明日からしばらく実家に帰る.
仕事の事も考えずにゆっくりするのは
いい機会だと思った.


そして,初めてこんなに離れる.
それは,きっと私の考えもまとめてくれる
いい時間だと思った.



珍しく酔った幸人と
色んな話をした.


それでも,やっぱり
アパレルをしたい.
音楽のある中で仕事がしたい.
幸人はそう,考えてるみたいだった.



「大丈夫だよ.
これから何でも,できるってことじゃん!!」



「樹里ちゃんさ,
俺が実家にもう戻るって言ったら,
付いてくる???」







「それは...
内緒.」









なんで,








何で









私は素直にうんっていえなかったんだろう?




何でこんな時まで,
学校のこととか将来とか
考えちゃうんだろう?

現実的過ぎる自分に嫌気がさした.
きっと,ついてくるって返事しても,
そんなことないのに.

きっとその一言で
少しでも幸人を救ってあげられたのに.




どこでも付いてくよって


どうして素直に
いえないんだろう?





「じゃあ,俺はこっちにいよう.」





酔った幸人でよかった.
気にしてなくて,良かった.




しばらく会えない.
その事実は
私をビックリするくらい弱く,
寂しくさせた...