「何があっても,
一緒にいるって
そばにいるって
決めたから...」



そう,前が見えなくなるほど
泣きながら向かった
明け方の幸人の家.




玄関で朝を迎える覚悟をしていったけれど,
幸人は家に上げてくれた.








「どうして
そんなに一人で抱え込むの??
私,あなたに気を使わせるために
一緒に居るんじゃないんだよ?」






もう,悲しくて
悔しくて
しょうがなかった.













「頼れないことも
あるんだよ...」






そう言った幸人の顔は
本当につらそうで,
見ているこっちが苦しかった.







いつも友達の笑い声と
音楽にあふれていたこの部屋が,
今では大好きな音楽さえ
幸人に寄り添う存在では
なくなっていた.






あえない間,
ずっと眠れなくて,,,


もっと話していたいのに
幸人がいる.



その安心感だけで,
私は眠りについた.






夜中に目が覚めて,
幸人が隣に寝ている.
その事実に安心しながらも,















「どうしてこんな風になっちゃったんだろ?
いつからすれ違っちゃったんだろ?」








そう思って,
幸人を起こさないように
声を殺して泣いた.








「このまま朝が来なければいいのに...」








Soul Headのこのままがよぎった.















一番そばにいた存在が
今ではこんなに遠い....







涙だけがあふれてくる.
どうしようもなく.



私はただ.
そばにいたいだけなのに.
仕事なんて関係なく,
ただ幸人と笑っていたいだけなのに.










明日は,研究も学校も忘れて,
ギリギリまでそばにいよう.




そう決めたけれど,
幸人が朝から出かけることになって



眠いふりなんか通じなくて
幸人の家を後にした.




信号待ちしていた私に,





「樹里ちゃんまたね.」








そう,手を振る幸人が痛かった.




サングラスで涙を隠して,
結局私は
一番向かいたくない
学校へと
足をすすめた.








学校も,
本格的に忙しくなってきた.
徹夜をするのは
珍しいことでもない.




幸人との生活は
時間が取れないながらも
うまく行っていた.



「俺ね,いつか
タトゥーいれたいんだ.」


「何をいれるの?」


「それは秘密.
普段見えないような場所に
内緒でいれたいんだよね.」


そう,話してた.
2pacのポスターを見ながら
どんな柄にするんだろ?
いつかそれが見れる日まで
一緒に居るのかな?
なんて考えてた.




マッキーの店ではうまくいってるみたいだった.
ただ,やっぱり
本当の仕事探さなきゃっていう
焦りが幸人の中で
大きくなっているようだった.


マッキーやケントさんと
一緒に遊ぶこともあったし
相変わらずみんなは
私を妹のようにかわいがってくれた.






優衣も結局祐介君に戻り,
ぶつかりながらも
何とか暮らしてるみたいだった.




私はこうやって,
毎日を過ごしていく
つもりだった.





留美ちゃんの家に遊びに行ったり,
イベントにいったりしてて,
徹夜も続き,
気付かないうちに,
その週は幸人とは
電話だけになっていた.








でも,やっぱり
あえない日も
幸人のおやすみの電話で
私はバランスをとっていたんだと思う.




留美ちゃんの家から帰るのが遅くなって
幸人の家に泊まろうと連絡したけれど,
返事がなかったけど,忙しかったのかと思って
気にせず帰った.





だけど,次の日も
連絡はなくって.




こんな時の不安って
一緒に居なくても
すぐに伝わる.





電話がない....



その事実だけで
私は眠れない夜を毎日過ごしていた.



メールをしても
連絡はない.









そんなすれ違いを
繰り返して,

私は会いに行こうと決めた.


苦しんでいる幸人を
知らない顔をしたくない.




「久しぶりに泊まりに行っていい!?」


2件のメールに着信.




明け方になって返事は来た.





「ごめん,
最近つらいことが多すぎる...
俺も,どうしたらいいのか
わからない.

今日は寝るから.」




突き放されたような気がして.
その短いメールに
幸人のつらさが手に取るようで..




「今から行くから.
家に上げてくれなくてもいい.
姿だけ見せてくれればいいから.」







そう,メールを送った.




「樹里ちゃん?
本当に大丈夫だから.」







「いいの.
私のわがまま.
行かせて.」




幸人がとめるのも聞かず,



たくさんの料理を抱えて,





真冬の明け方寒空の中
私は幸人の家へと向かった....
実家に帰ると,気持ちが落ち着いた.

ママの笑顔に,
妹のさりげない気遣いに.


一人暮らしだと,
どうしても気持ちや考え方が
小さくなってしまう.


「幸人に謝らなきゃ.」

そう,思った.


笑顔でお帰りって,言ってあげればよかった.



こんな気持ちで
年をまたぐのはやめよう.


来年も,
たくさんいい思い出作りたいから.




最高の一年にしてくれたのは
他でもない幸人だったから.


「ジュリア~」


今年の一年も,
この言葉から始まった.


「幸人?
あけまして,おめでとう.
今年も,一杯,よろしくね.」



「こちらこそ.
今,みんな帰ったよ.
ケントもマッキーも来たし.
樹里ちゃんにも
来て欲しかったけどね.」



「そっか.」




やっぱり,幸人の声を聞くと落ち着く.



結局すぐに,
幸人の元に,帰りたくなってしまった.




「すぐかえるから,
待っててね.」




初めて私がそう返した.




家族とゆっくりして
一人暮らしの家へと戻った.



正月休みも2日ほどしかなく
もちろん学校に行ってから.



その日はけんかしたこともあって
早い時間に仕事終わって
マッキーの店へと呼んでくれた.



「どうぞ.」



閉店した店の中で,
マッキーがカクテルを出してくれて


AK-69の
MY LOVEがかかるなか
待っていた.





「大晦日,
樹里ちゃんも来れたらよかったのにって
ケントと話してたんだよ.」

ってマッキーが話してくれて,



私はあの日,呼ばれる存在だったんだって
少し,ほっとした.



そっか,
この期間で,
私は幸人の大切な人になれたんだ.



出逢って話した日から
あっという間だった.


その約束の日に
私はその場にいなかったけれど,
いる予定だったことが
嬉しかった.




そのまま4人で幸人の家に戻って,
朝まで楽しく過ごした.



また,始めていこう.
そう思った.



「ジュリア,今年もよろしくね.」



そう,眠る前にかけてくれた一言で
私はゆっくり眠ることができた.