サンデーサラブレッドクラブ全頭斬り2024 81-91 | Thoroughbred World

サンデーサラブレッドクラブ全頭斬り2024 81-91

81.スイの23(オルフェーヴル)★★★

 

ドレフォンの半妹として輸入された母はドレフォンのイメージ通りダートの1200mに条件を変えて圧勝で勝ち上がり。連勝で2勝目も決めたように素質はありました。とはいえ、本領発揮は母になってから…、ここからが本番ですね。

母系のイメージ通り初仔から骨格のしっかりとした造りで中サイズ以上。初年度からオルフェーヴルをつけても大きく育つと判断しての配合がうまくいったのではないでしょうか。

測尺のバランスが素晴らしく、整った体型ですが硬さは感じられず肩の可動域も十分動いています。

父も母系も前進気勢が強く、距離は若干短めになるでしょうが、当たり負けしない体幹の強さを武器にタフで逞しい存在になってくれるのではないでしょうか。

 

【ツアーチェック】

さみしがりやで大人しめの性格。オルフェーヴルらしさが欲しいと思っていたのでちょっと案外かな。(★4→★3)

 

 

82.ラテラスの23(ルーラーシップ)★★★

 

祖母の産駒、母の産駒ともにここまで活躍馬を輩出できておらず、今年のサンデーサラブレッドクラブの中ではかなり地味な存在。でありながら、大人気の高野厩舎というのは、血統以外で光る何かがあるということでしょうか。

血統のイメージよりはやや小柄な馬体ではありますが、膝下が長く、キ甲も抜けていないので、まだまだ成長途上という印象。ここからグッと筋肉がついてくることも想像できます。若干外弧歩様気味ではあるものの、横から見ると可動域が素晴らしく、中距離馬としての活躍の下地は十分。あとはどこまで成長できるかでしょう。

 

 

83.シーオブザムーンの23(ルーラーシップ)★★

 

大当たりは少ないものの、高い勝ち上がり率と安定感があったムーンフェイズの母系。母のシーオブザムーンは新馬勝ちしたものの、金成厩舎ということもあってか、地味なジョッキーとローカルを回るようなやや寂しいキャリアではありました。

本馬はその母の初仔となりますが、母の募集時同様ちょっと小ぶりで成長が遅めであることは否めません。

現状では体高と胸囲が足りず馬体重も正直軽すぎ。成長は見込みたいところではありますが、トモ高というわけでもないので、すぐに追いついてくるというイメージがわきません。

歩様も小さいわりにやや硬めなので、それも含めてちょっとどうかなと思います。

 

 

84.ギエムの23(サトノダイヤモンド)★★★★

 

牡馬で3600万円の募集価格は今年のサンデーサラブレッドクラブのなかではかなり安い部類に入ります。兄のショウナンバシットがリステッドを勝った直後にも関わらず、この価格ですからいかにノーザンファームがサトノダイヤモンドを見切っているかがよくわかります。

とはいえ、決して馬が悪いわけではありませんので、今年は逆に狙い目なのかもと思わせますね。本馬は5月生まれを感じさせない完成度の高さでやや大きすぎる懸念があるぐらい順調に成長しています。背中も脚も長く、サトノダイヤモンドらしさを十分に感じられる馬体。歩様もスムーズで、可動域も十分あります。薄っぺらく緩いところはありつつも鍛えていく中で整ってくるのではないかと思える骨格の良さがありますね。

 

 

85.チリーシルバーの23(ミッキーアイル)★★★

 

初年度未勝利、3歳のストロングタイズは未だデビューできず体質の弱さを感じる一族。マリブムーンの肌にミッキーアイルでこれまでの募集馬たちとはだいぶベクトルが違う形となりました。牡馬に生まれたことでかなりダート色の強い馬体。ともするとちょっと硬い印象を持ちがちのカップリングです。

大柄で腹袋のしっかりした馬体。4月生まれを感じぬほど発達したトモの容積が魅力的でこれならば十分走ってもおかしくないと思えます。気になるのは距離は持たない配合っぽいのに、ちょっと緩いところ。ギュッと締まっていた方がイメージは良かったかな。

 

 

86.アッラサルーテの23(リオンディーズ)★★

 

産駒の安定感が魅力のラタフィアの牝系。重賞勝ち馬やリステッド勝ち馬も輩出していますし、当たりの場合の爆発力も兼ね備えています。ただ、リオンディーズの仔は母父長めの距離のタイプが良さそうです。仔出しが良く、これで4年連続。兄は見るからに竹馬で柔軟性がないですが、この馬もちょっと立ち気味ではありますね。

繋ぎが硬い分やはり歩様も硬めに見えます。馬体のボリューム感はいいですし、脚元以外は悪くないのですがどうしても気になります。

 

 

87.インダクティの23(リオンディーズ)★★★

 

重賞勝ち馬のインダストリアの全妹にあたります。リオンディーズの重賞勝ち馬自体がかなり少ないので、全幅の信頼は置けないですが、サンデーに出てくるインダクティは安定感がありますので、大きな心配もいらないかと思います。

馬体は容積十分のトモが魅力。やや背中が短めなマイラー体型で、踏込もいい意味で前肢に硬さがあり加速力に優れたタイプになりそうです。

ただ、兄は中サイズ以上でトモがちょっと薄めなぐらいのスラっとした体型だったので、あまり似ていないですし、もう少し成長が早いといいかなと思います。特に母が高齢になってきているので、このまま成長しないパターンもよぎるかな…と。

 

 

88.イヴニングコールの23(American Pharoah)★★★

 

Tapit肌にAmerican Pharoahという豪華血統。当然募集価格は跳ね上がりますね。母系は優秀とはいえ、母が不出走の馬でこれだけのビッグ待遇は珍しい気もします。普通に考えるとダート馬ですが、一応リフレイムと同配合になりますね。

馬体は膝下が長く、筋肉量はそれほど多くない体型。とはいえ、この血統ですから、成長とともに筋肉質な体つきになっていくでしょう。歩かせるとちょっと歩幅が小さくて硬い印象は否めませんので、脚の長さと相まって不器用なタイプにならないかは若干心配です。

 

 

89.クールサンバの23(Frankel)★★★★★

 

近年のGⅠを勝つタイプの40口募集馬は、牝馬、○外、募集番号が後ろの方の関西馬という傾向にあります。今年の募集馬の中ではこの馬が一番ぴったりとハマるのではないでしょうか。Frankel産駒らしくすでに馬体に迫力があり、母も仏1000ギニー勝ち馬ですから文句なしの良血ですね。

馬体は迫力抜群の大きなトモが魅力。前後とも付くべきところにしっかりと筋肉がつき、力強さを兼ね備えていながら、重すぎない構造になっていると思います。返しが強く鋭い歩様で、歩幅も大きくバランスよく歩くことができています。

気になるのは前肢の繋ぎの短さと角度だけ。ここが悪さしなければ大物候補の一頭に名を挙げてくるはずです。

 

【ツアーチェック】

454kg。とにかくよく食べる。目つきが怪しい印象がありましたが、むしろ大柄でどっしりしている感じでした。

 

 

90.ナイセストの23(Justify)★★

 

母系の一族には香港でウインブライトと死闘を繰り広げたマジックワンドがいる血統。母のナイセストやアメリカンファラオの産駒でありながら、芝で活躍しました。が、ここにJustifyとは結局ダート狙いということでよいのでしょうか。

血統の割には中サイズの馬体で、重さはあまり感じない造りをしています。ただ、歩かせると両前脚が内に刺さってくる歩様。でありながら両前脚は外向気味というちぐはぐな感じがあります。ただ、胸前に筋肉がついてこれば解消するタイプの曲がり方だとは思います。

肩が立ち気味であり、前肢のストライドは結局伸びず、トモの容積も若干足りない印象。いろいろ少しずつ足りないといったところでしょうか。

 

 

91.ミッドナイトビズーの23(Tapit)★★★

 

母のプロフィールが書ききれないぐらいの成績。それもそのはずでこの馬の取引価格は550万ドル(=約8億円)と信じられない金額で輸入された繁殖牝馬です。一つ下にはしっかりキタサンブラックをつけられているので、翌年からは物凄い価格で募集になりそうです。

しかし、本馬に関しては、Tapit産駒ということもあり、ダート向きになりそうであるところ、管囲の細さと胸囲が足りず、やや小ぢんまりとした印象が残ります。

トモは特別容積があるわけではないですが、形が素晴らしく、筋肉量も十分といったところ。もちろん現役でも頑張ってほしいですが、いかにもこの馬も繁殖牝馬としての価値を考えた運用になりそうではありますね。