サンデーサラブレッドクラブ全頭斬り2024 1-10 | Thoroughbred World

サンデーサラブレッドクラブ全頭斬り2024 1-10

1.グランアレグリアの23(エピファネイア)★★★★

 

ディープ牝馬の短距離界最高傑作のグランアレグリア。ほかのディープインパクト産駒の活躍馬とは明らかに路線が違い、スプリント戦線で切れ味を発揮しましたが、当時の動画を見返してみても歩様は可動域が狭く、硬さとトモの強さが特徴だったと思います。

初仔となる本馬は母の募集時と同じ427kgで、管囲以外はほとんど同じ測尺。深い胸が示す通り高い心肺機能を備えたマイラーぐらいのタイプに見えます。歩様もまた、母に似てちょっと硬め。肩関節は水準レベルですが、膝はそんなにという感じです。ディープの初仔は黙って見送りがセオリーだと思っていましたが、このレベルの馬なら杞憂に終わるかもしれません。

 

 

2.タッチングスピーチの23(エピファネイア)★★★

 

キングズレインやヴィジョンメーカーなど募集時から見栄えのする馬を連続で排出するタッチングスピーチ。母系のリッスンからはアスコリピチェーノとミスタージーティーが出ており、勢いが再加速した印象があります。

一方、母系の3代目までにSadler’s Wellsを持つエピファネイア産駒は3歳以上に8頭いて、わずかに1勝止まり。4代目になるとジャスティンカフェやアリストテレスもいます。サンデーのクロスもありますし、ちょっと濃いかなというのはありますね。

サイズはちょうどよいぐらいで、これまでの産駒と同じように少し細身。立ち姿から頭が高く歩かせてやや硬いところが気になりました。もう少し後ろに力がついてくるとよりよいでしょうか。これまでの傾向からして安すぎな印象も残りますね。

 

 

3.ボージェストの23(エピファネイア)★★★★

 

ドゥラメンテの全妹にあたる母のボージェストはこれまでPOG人気もしてきたように人気の繁殖牝馬。クラシックに乗りかけてわずかに届かなかった2頭のブラックタイプがあるように、能力は十分です。一方で、血の宿命か体質や脚元の課題は大きく3-5歳の世代は全頭5戦以下。40口募集でも使えていない馬がいますので、ここはリスク高めです。

タッチングスピーチの23と同じ生まれですが、明らかにちょっと小ぶりな感じはありますが、動きの勢いなどは明らかにいいですね。首の使い方、関節の可動域もよく前進をスムーズに使うことができています。ただ、毛ヅヤはくすんで見えますし、兄姉の体質の弱さはこの馬にもちょっとあるのかなとは感じてしまいます。

 

 

4.デアレガーロの23(エピファネイア)★★

 

ハイアベレージのスーヴェニアギフト牝系。

意外とエピファネイアはつけていなかったようです。エピファネイア×マンハッタンカフェはノーザン系では数は多くなく、サルスエラで案外なのが目立つぐらい。特に長距離になりがちな配合なので少ないのかもしれませんが、この母は1400mの重賞勝ちがあるのでタイプは違います。

馬体は正直生まれを加味するとちょっと成長が遅いように感じます。筋肉量は豊富なので、シンプルにちょっと骨格が小ぢんまりしているかなというのが今のところの印象。数字的にも足りないところが多く、管囲の18.4cmはちょっと悪目立ちします。管囲18cm台前半となると極端に活躍馬は減ってしまうのですが、実は近親のプレサージュリフトが募集時18.3cmだったんですよね。そういう母系と割り切るのも手かもしれません。

 

 

5.フォエヴァーダーリングの23(エピファネイア)★★★★★★

 

フォーエバーヤングの活躍も記憶に新しいところに、なんとエピファネイア×Congratsは今年のダービーを勝ったダノンデサイルと同配合と非常にタイムリーなプロフィールの持ち主。引退となってしまうので、クラシックは戦えないにもかかわらず国枝厩舎に入るというのも期待の裏返しかもしれません。

4月生まれを考慮するならば馬体もほぼ文句なしでしょう。全体のバランスも整っており、トモの容積、筋肉量もOK。可動域もしっかり取れていて、脚もほぼ真っすぐ出ています。管囲だけが若干足りない印象はありますが、どのパーツもアベレージの高い一頭です。

ただ、この見た目と動きでもフォエヴァーダーリングに全幅の信頼を置けないのは、ピヌスアモリスが忘れられないからですね。

 

【ツアーチェック】

この世代で一番よく見えました。バランスが良く、背中の緊張感が良く、動きはスムーズ。国枝厩舎も解散になってしまうし、プロフィール的には買いづらいんですけどね。(★5→★6)

 

 

6.カセドラルベルの23(ロードカナロア)★★★

 

母のカセドラルベルはオーナーズ募集馬。ベルラップ全妹で4勝を挙げました。とにかく大きな馬、564kgで出走したこともありました。途中で屈腱炎によりキャリア中断を挟みながらですから立派です。

母が規格外だったこともあってか初年度からそれほど大きくないカナロアとのカップリング。でも、やっぱり母に似た雄大な馬体になりました。

膝下が長く大きなストライドで歩くことができていますが、一方でちょっと緩さも感じます。相対的に前が勝っていて前輪駆動の印象もありますね。また、キ甲の幹事からまだ成長余地が残っていそうなのも末恐ろしいところ。脚は真っすぐ出ており、スナップもOK。無事にいけたら…というところでしょうか・

 

 

7.ザズーの23(ロードカナロア)★★

 

出資馬ダルエスサラームの妹。ついに非サンデー系とのカップリングになりました。激しい気性が持ち味だった兄や姉とは違いメンタル面では融通が利きそうなカナロアは合っていそうではありますね。

ロードカナロア×Tapitはなんとなく想像は付きますが惨憺たる成績。父型に芝系を迎えるA.P.Indyの難しさを感じずにはいられません。

馬体は上半身がどっしりしていて、兄姉に通ずる特徴がよく出ています。前から見ても幅がある感じがあります。一方で背中は短めでまとまりはしっかりあります。

問題は右前脚が内向しているところでしょうか。母の産駒成績から脚元はかなり丈夫な部類なので、なんとか持ってくれるのではと思いますがどうでしょうか。

 

【ツアーチェック】

内向がひどくなっていました。脚元の不安アップ(★3→★2)

 

 

8.リリーノーブルの23(キズナ)★★★★

 

母は大きな体で最強世代に立ち向かった、最も父に似た特徴を持ったルーラーシップ牝馬の代表産駒の一頭。ルーラーシップの可能性を知らしめた一方で、募集時から内向していたこともあり、キャリア後半は脚元との闘いを強いられることとなりました。

本馬は2番仔ですが、初仔は現在2歳のモーリス産駒。想像通り大きくなりました。それと比べると募集時の体重は-30kgなので、常識的な範囲に収まっているかなと思います。

馬体はやや曲飛でトモは流れ気味。ただ、歩かせるとキビキビ動いて、その曲飛が深い踏込を実現しています。胸も深く上体はかなり重そうですので、排気量は十分ですが、パンクだけはちょっと怖いかなというのはありますね。

 

 

9.ラフォルスの23(キズナ)★★★

 

母はドイツ産馬。アメリカのダートで活躍したものの欧州寄りの血統構成です。Green Desert持ちはそれほど多くないですが、イティネラートルなどがいますので、それほど悪くはありません。産駒もまだLope de Vegaの仔しか走っていませんので、未知の魅力はありますね。

馬体は立ち写真からして前肢が硬そうな感じが残りますが、歩かせてもそんな感じです。珍しく後ろ重心で立っているかのようなフォルムでトモの容積はありますし、硬いながら四肢の連動性はありますので、キズナですが短い距離で一考というタイプでしょうか。

 

 

10.シークレットスパイスの23(キズナ)★★★

 

母はダートのマイルGⅠを制覇。Storm Catの3×4というクロスを持ちますが、最近はやりのキズナとはちょっとベクトルが違うのかなという気もします。ハピなんかは同じクロスを持っていますね。

馬体はひとつ前のラフォルスと真逆で背中が少し長めの中距離以上というタイプ。前後のバランスに優れ、大きなストライドで無理なく歩くことができています。やや足が太く見せますので、牝馬ながら雄大な馬格に成長しそうですね。芝に行って持続力を生かし、前に行って封じ込める競馬が似合いそうではありますが、繋ぎの短さだけが体とアンマッチな感じがします。

 

【ツアーチェック】

目の周りが黒く。健康面にちょっと不安アリ。(★4→★3)