社台サラブレッドクラブ全頭斬り2024 51-60 | Thoroughbred World

社台サラブレッドクラブ全頭斬り2024 51-60

51.プールヴィルの23(キズナ)★★★

 

社台ファームがやたらと集めていたLe Havreの仔ですが、その中でも結果を出したのがこのプールヴィル。Le Havreは母父に入って少ない産駒の中から、セリフォスやデゼルを出しており、優秀な繁殖牝馬になりそうです。

とはいえ、本馬は初仔ということもあり小柄なのかなとしたところクラブ発表が337kgから377kgに訂正されました。そこまで小さい印象がなかったので納得ですね。とはいえ、体高が足りず小ぢんまりと映るところは変わらず、背中の甘さや脚を細く見せるあたり気になるポイントが多いです。

 

【ツアーチェック】

馬体重は公表よりさらに上昇しており少しずつ追いついてきているようでした。もともとのイメージとのギャップが大きく盲点になりそうな一頭です。(★2→★3)

 

 

52.スピニングメモリーズの23(キズナ)★★★★★★

 

カタログのページをパラパラとめくっていく中で最初に目に留まったのがこの馬です。母はフランスの重賞馬ですが、それほど目立った活躍馬だったわけではありません。母系はスプリント寄りでピリッとしたところがありそうなので、この馬も短めの距離が良いかもしれませんね。

馬体はピカピカの毛ヅヤと浮き出る筋肉が魅力。膝上、膝下のバランスが良く、重心が綺麗に分散されているように見えます。大きなトモから力強い踏込ができています。前肢は柔らかさこそないもののしっかりとした踏込。いかにもマイル以下ぐらいで活躍するような馬の歩様です。サイズ的にもちょうどよいぐらいの成長度で、王道路線を歩むにふさわしい出来です。

 

【ツアーチェック】

馬体のクオリティは今回の社台ファームの募集でNo,1でした。が、暴れていたのと、担当者不在で詳しい話は聞けませんでした。

 

 

53.ブルーミングアレーの23(コントレイル)★★★★

 

プリンセスオリビア牝系で母も活躍馬、姉のランブリングアレーも重賞勝ちと能力は十分の下地があります。一方で、その活躍したランブリングアレーは7つ上。その間に活躍馬はおらず母も高齢になってきました。ここから活躍馬がサクサク出るとは思いづらいですが…。

馬体は5月生まれということもあってかなり幼いです。トモが高く、これから大きく変わってきそうな馬体ですが、比較的背中が短くてこちらも短距離路線で活躍しそうな雰囲気。歩様は硬めですが、脚は真っすぐ出ており故障リスクは低めに見えますね。

 

【ツアーチェック】

398kg。まだまだ小さいですが雰囲気は悪くなかったです。精神的にも落ち着いていて、距離もまずまず持ちそう。(★3→★4)

 

 

54.エスキモーキセスの23(コントレイル)★★★★★

 

曾祖母に名牝ウイニングカラーズがいる超良血。半兄ペトルズは2月という遅いデビューながら、2戦目でしっかり勝ち上がり。ただし、募集価格1億2000万円という破格だけに、期待値以上の走りができているとはいえません。

馬体はコントレイル産駒の牝馬の中では順調に成長しているほうで、サイズ感もちょっと大きめぐらい。やや曲飛ぐらいが目立つところでバランスの良い立ち姿です。歩様はグイグイ行く感じはないですが、上品さを感じます。もう一つ前肢が伸びるとさらに良いですが、そんなに悪いところはなく平均点の高い一頭でしょう。

 

【ツアーチェック】

ちょっと曲飛気味かなと思っていましたが、それほど目立たず、造りとしては非常に良かったと思います。精神的にもどっしりと構えていて好感が持てました。

(★4→★5)

 

 

55.キトゥンズダンプリングスの23(キタサンブラック)★★★

 

母のキトゥンズダンプリングスは北米の芝の活躍馬。この北米だけど、芝で活躍…というタイプはどうも日本ではアベレージが低いように感じます。やはり欧州は芝、米国はダートで活躍した馬のほうがレベルの高いところで戦ってきたということなのかもしれませんね。

馬体はキタサンブラック産駒なのにちょっと体高が低い。それでいてひょろっと見せるので、まだまだ子供っぽい体型と言えます。脚が長いわりに踏込は機敏さを感じます。この先どこまで成長できるかがカギですが、兄姉を見ているとそこまで心配はなさそうですね。

 

 

56.ピースエンジェルの23(キタサンブラック)★★

 

祖母ピースバーグの産駒からはなかなか活躍馬を輩出できず、母のピースエンジェルはクラブで募集されたものの、骨折2回で未出走引退。なかなか40口でこの脚元の弱い血統は勇気が持てないですね。

馬体は初仔ということもあって、ちょっと薄いぐらいの造り。キタサンブラックとの配合である程度骨格のしっかりした馬を出そうという狙いだろうとは思いますが、完全にうまくいったとは言い難いです。動きに関しては及第点ですが、この父であればもうちょっとしっかりした馬の方が狙いは立つかなと思います。

 

 

57.スペランツァデーアの23(スワーヴリチャード)★★

 

初年度の予想外の活躍により需要がアップしたスワーヴリチャード産駒。もともと期待値低めだったのに走ったタイプの種牡馬は3世代目が一番配合相手のレベルが下がる傾向にあり、需要>供給のバランスが大きくなりがちです。こちらは社台ファームお得意のサンデーサイレンス3×3ですが、相変わらずアベレージ低めなので、特別狙いたくはなりません。

1月生まれのどっしりとした馬体は立派な腹袋もあって逞しく見せますが、筋肉量が豊富で発達しているという雰囲気はありません。いかにも食わせ込んだ水っぽい馬体で、運動強度が上がると急激に絞れそうですね。

 

 

58.キャンディスイートの23(モーリス)★★★

 

祖母のキャンディネバダからはそこまで活躍馬は出ていないものの、すべて中央勝ち上がりという素晴らしい安定感を見せています。母のキャンディスイートも3勝を挙げた活躍馬。初仔ということもあり、サイズを気にしてのモーリス配合だとは思いますが、モーリス×ヴィクトワールピサはいかにも重さを強調するカップリングに思えます。

馬体はしっかりしたフレームの持ち主、トモがやや高く更なる伸びしろを残しているようにも見えます。そうなるとちょっと重くなりそうな雰囲気もあるんですよね。胸が深いということもありますが、前は脚が短く見えますので、回転の速さとパワーを生かしてダート路線ということになるでしょうか。

 

 

59.ザレマの23(ブリックスアンドモルタル)★★★

 

母サレマの最後の産駒。バレッティなど活躍馬を輩出することもありましたが、その後5頭連続2勝以下と活力の衰えは若干感じます。この馬が19歳時に生まれた仔。さらに、一気にトーンダウンしたブリックスアンドモルタルの仔というのもちょっと勢いを感じません。

四肢が真っすぐできれいな立ち姿。お行儀よく、ゆったりと歩くさまは大型でゆったりとした歩様だった母に似ています。ただ、それが緩慢さにつながるリスクもありますね。

 

 

60.シャンペルゼリーゼの23(ブリックスアンドモルタル)★★

 

欧州のGⅠ母馬にブリックスアンドモルタルの配合。なかなか日本適性の見えない血統構成でちょっと狙いづらいプロフィール。しかも初仔ということもあり比較材料に乏しいですね。

馬体は1月生まれということもあり、初仔にしてはしっかりした造り。肩回りの発達が目立ち、前輪駆動というタイプに見えます。ただし、脚元はかなり硬め。特に右前肢は繋ぎが短くさらにかなり立っているので、これはトラブルのリスクが高めでしょう。