社台サラブレッドクラブ全頭斬り2024 41-50

41.レトロフィットの23（パドトロワ）★★

祖母オフジオールドブロックからは超大物は出ないながらもOPクラスの馬を複数輩出。母もまた3勝を挙げていますが、初茜賞は後方待機がハマったラッキーパンチ感はありました。初仔はパドトロワという渋いカップリングですね。

馬体は背が低くいかにもダートスプリンターを目指す体型。そこだけ切り取るとありかなと思えるのですが、毛ヅヤの悪さや立ち姿で弓脚気味なところなど引っかかる点は多いです。路線的に数使ってナンボでしょうから、健康面・脚元に不安があるのは厳しいですね。

42.ノブレスオブリージュの23（Sottsass）★★★

父のSottsassはSiyouni×Galileoととても日本に合わないように思いましたが、全弟のシンエンペラーが今年のクラシック路線で大活躍。特にダービーの内容は素晴らしく、正直かなり驚きました。母はイタリア2勝ですが、近年レベルが下がっていると聞くので、評価はしづらいですね。

4月中旬生まれではありますが、すでに腹袋がしっかりして成長が早く、さすが欧州の馬と思わせる重厚感があります。トモの容積があって、後肢の踏み込みはなかなかのものがあります。一方前肢は硬め。これは繋ぎの短さに起因しているのでしょう。芝でしょうから、もうちょっと長さがあるとより安心できます。

43.オリンピックラスパルマスの23（カラヴァッジオ）★★

○外なのに母父まさかのアグネスゴールド。ブラジルでGⅠ馬を輩出し、その血統が日本に戻ってきたというのは驚きですね。父のカラヴァッジオもすでに日本に導入されていますから、全然珍しくない感じの血統構成になっています。

馬体は膝下が長くかなり緩いつくり。トモがぐらついて力感不足な一方、前肢は硬さが残りなんだかなあという歩様です。わざわざ連れてきた割には募集価格も異様に安く、すでに重賞制覇から14年遠ざかっている厩舎というのもちょっと厳しいですね。

44.カンビーナの23（エピファネイア）★★★★

毎年高額取引または高額募集となるカンビーナの産駒ですが、ここまではファルコニアしか重賞制覇できておらず、すでに本馬は15歳時の仔となってしまっています。長年ディープインパクトが付いていたこともあって、エピファネイアなどロベルト系との配合もこれが初めて。

馬体はフレームは大きいものの、まだまだ筋肉量は足りません。カタログと違って動画だとかなり冬毛が残っていて、幼い印象が残ります。一方、踏込はとてもスムーズで柔らかい動きをします。サイズと出産時の年齢が気がかりですが、4月中旬生まれを考慮し成長の期待を込めて評価はちょっと高めにしておきます。

45.ドバウィハイツの23（エピファネイア）★★

こちらも同じく母は高齢。ブラックタイプは連続して出ており、活力の衰えはこれまでの産駒のところでは見られません。不受胎が一回だけで残りは全部産んでるので、そろそろ落ちてくるころだろうとは思います。

サイズはOKですが、管囲がかなり太く野性味あふれるダート馬という造り。正直全然兄姉とのイメージが合わないので、なかなか評価しづらいです。毛ヅヤが悪くモサモサとした歩様。背中の緊張感もなし。高野先生ならここからパワー一辺倒の馬に育ててくださるのでしょうか？

46.スキアの23（エピファネイア）★★★★

キタサンブラックの牡馬6000万円からエピファネイアの牝馬8000万円へ。ソールオリエンスの登場でまたしてもその価値をジャンプアップさせたスキア。エピファネイアのアベレージがあまり高くないだけに、この価格設定はギャンブル性が高いですね。

ちょっと馬体重が重めではありますが、かなり腹袋がしっかりしているので、絞れてこれば常識的な範囲で収まりそう。ただし、背中が長いので俊敏性は欠くように見えます。

胸の深さ、肩回りの筋肉とトモのボリュームなどのバランスは良く、この辺りはさすが良血馬ですね。前後ともに可動域はOK。芝の中距離以上のタイプでしょうか。

47.サザンスターズの23（エピファネイア）★★★★★

縦縞の名馬はこの母系から。史上初の牝馬1億円ホースが登場ですね。血統がどうだというのは語るまでもないですね。牡馬が走らず、見事に牝馬だけ走る事実も後押ししてくれます。

この母系ですが募集時にサイズが大きかったのがソウルスターリングとスターズオンアース。本馬は月齢考慮ならそれほど小さくないですが、それでも完成度という意味では劣ります。ただ、馬体のバランスの良さ、トモの形など、素質は十分に感じますね。

踏込も深く、スムーズ。返しも強く、真っすぐ出るので安定感があります。

【ツアーチェック】

馬体の迫力は十分でした。が、非日常ということもあってかなり暴れていました。担当者に話を聞けないぐらいだったので、評価は難しそうです。

48.エアワンピースの23（エピファネイア）★★★★

福永先生も期待をしている一頭。母系はアイドリームドアドリームで一族にエアのブラックタイプでびっしりですが、珍しく社台の募集に出てきました。キングカメハメハ系との配合で結果を出していますが、この馬はそれがなく、3つ上の未勝利だった兄と同配合。

馬体は4月下旬生まれらしくまだ幼いものの、細いとか華奢な印象はありません。踏込は前肢が硬め。トモの入りは鋭くやや前後で差があるようです。サイズ的にはもうひとつグイっと成長してほしいところですね。

【ツアーチェック】

こちらも黒光りして迫力がありました。隣でサザンスターズの23が暴れているのに我関せず。

49.クイーンズリングの23（ロードカナロア）★★★★

母はエリザベス女王杯の勝ち馬。産駒からは早々にリステッド勝ちと活力十分でありながら、まだ若いこともありプロフィールからはかなり確率の高そうな一頭。ここ最近は母父マンハッタンカフェの活躍が目立ち、ロードカナロアとの配合では出資馬のクロミナンスが出ています。

馬体は管囲が示す通り脚回りはがっしりしていますが、ちょっと細身で筋肉量はそれほど多くありません。膝下が長くゆったりした歩様で、可動域も十分取ることができています。現時点でとても目立つということはないですが、成長余地は十分に秘めた馬でむしろ大きくなりすぎるかも。

【ツアーチェック】

脚の太さが目立っている馬でしたが、馬体がだいぶ膨らんできて目立たなくなっていました。ここ最近の成長は顕著でお値段なりかな。（★３→★４）

50.デイアウトオブジオフィスの23（ロードカナロア）★★

牝馬のロードカナロア産駒で7000万円募集。しかも初仔と相当にリスキーなプロフィールです。母デイアウトオブジオフィスはGⅠフリゼットSの勝ち馬でBCジュヴェナイルフィリーズ2着。この下はキタサンブラック産駒と相当の期待を感じます。ストームキャットのクロスを持つロードカナロア産駒はややダート寄りでパワーで押すタイプ。

測尺を見る限りこの馬もダート向きのタイプに出そうな印象が強いです。馬体は背中が短く、筋肉量豊富。トモに容積があり力強さを感じます。

ただし、やや前脚が内向気味だったり、返しがあまり強くなかったりと気になる点も少々。もし本当にダートでということであれば牝馬で7000万はなかなか回収が難しそうです。