社台サラブレッドクラブ全頭斬り2024 11-20 | Thoroughbred World

社台サラブレッドクラブ全頭斬り2024 11-20

11.カラライナの23(コントレイル)★★★★★

 

今年の社台サラブレッドクラブのフラッグシップ。1億円の募集価格に恥じない造りの一頭ですね。母カラライナは昨年募集のブリックスアンドモルタル産駒、プロメテドールも素晴らしい出来で輩出しました(★6、1位で書いて落ちました)が、一気に募集価格が上がるあたり、牧場の評価もうなぎ上りということでしょう。

黒光りして抜群のバランスを持つ本馬はコントレイルらしい中サイズで軽さをうまく引き継いだ馬体です。やや肩は立ち気味ではありますが、トモの容積が素晴らしく踏込の深さも十分に感じます。前後の連動性が高く、推進力を感じる歩様ですね。距離適性も幅広そうでぜひともクラシックを目指したい一頭です。

 

【ツアーチェック】

筋肉のハリや質感がイマイチでちょっとダラーっとした雰囲気でした。毛ヅヤもそこまでよくなく、動画のような圧倒的な存在感はなかったように思います(★6→★5)

 

 

12.ゼラスキャットの23(コントレイル)★★

 

母はすでにベテランの域ではありますが、未出走2頭、ディープインパクトで未勝利とリスクたっぷりでなかなか狙いづらさがあります。孫世代にデュードヴァンはいますが、本馬の父がコントレイルであることを考慮すると方向性はちょっと違いますね。

馬体は3/8生まれとするならばいかにも成長が足りないです。小さい馬体のなかでもトモ高であり、さすがにもう一回り成長するとは思いますが、それでも追いつかないぐらいのサイズ感。動きの面では可動域が十分あって、むしろ馬体のバランスからは胸が深く見えるぐらい。母が高齢でサイズが小さいのはどうしてもそのあとの伸びしろがないことも考えられるので、ちょっと狙いづらいですね。コントレイルにしては異様に安いことも含めて見送りが妥当でしょうか。

 

 

13.ジュマイエルの23(コントレイル)★★★

 

コントレイル産駒にして募集価格3200万円。異様な安さを感じます。母のジュマイエルはあのレーヴドスカーやスタセリタ、サラフィナが勝ったサンタラリ賞勝ち馬。持ち込みのジュストコルがいきなり3勝を挙げていいスタートを切ったところなので、もうちょっと高くてもよさそうですね。

馬体は完成度が高く、大きめのフレームにバランスよく筋肉がついて非常に見栄えがします。やや繋ぎは硬めではありますが、歩様にそこまで悪い影響は感じません。踏込も深く、可動域も十分です。唯一気になるとするなら右前の内向でしょうか。ほんのわずかで酷いものではなく、ここまで値段を下げる要因にはならないと思いますが。

 

【ツアーチェック】

右前脚に内向ですが、募集カタログよりさらにきつくなっていたように見えました。それが安い理由とも…。

 

 

14.ソウルスターリングの23(コントレイル)★★★★

 

社台サラブレッドクラブの最近のGⅠ馬はこのページのファミリーにほとんど載っているじゃないかというぐらい最も勢いがあるファミリーです。スタセリタは再び海外種牡馬を種付けされ続けているのでさすがに当たりからは遠ざかっていますが、ソウルスターリングはそろそろ走っても良いころ。2年連続ブリックスアンドモルタルからついにサンデー系の王道とのカップリングで一気に花開く予感がします。

馬体は母同様に腹袋がしっかりとして逞しい馬体。4月生まれということもあって、全体的にサイズは出ていませんが、非力ということはなく、大きなトモからなかなかの推進力で歩くことができています。現時点では明白に体高が足りず、ややずんぐり感がありますが、トモ高でもあり、ここからキ甲が抜けて一段成長したときにどこまでの上積みがあるか注目したい一頭です。

 

【ツアーチェック】

迫力があって良い馬でした。上2頭とは違う雰囲気。ここ最近の成長が顕著なようです。

 

 

15.サラフィナの23(キタサンブラック)★★★★★

 

ここ最近は活躍馬がなかなか出ていないサラフィナの仔ですが、ひとつ上のスピリットサージと今年の募集馬を見る限り、見た目には非常にいい馬が連続して生まれてきているように感じます。全兄のブラックヒルが全くダメだったのは残念ではありますが、なんとか巻き返してほしいところ。

しっかりとまとまった馬体に顔が小さく、いかにもストライドが伸びそうな馬体。歩幅が大きく、きれいなストライドの歩様でスピード感を感じます。いい意味で血統的な重さを動きからは感じず、切れ味勝負にも負けない馬になってくれそう。もう少しだけともに厚みが出るとさらに良かったように思いますが、成長力十分な血統背景だけに、まだまだ変わり身も期待できるでしょう。

 

【ツアーチェック】

厚みがあってよくなっているように感じました。順当に成長している感じがします。

 

 

16.マジックリアリズムの23(モーリス)★★

 

母系は活躍馬多数。近年の社台ファームを象徴するような牝系のソーマジックを祖母に持ち、本馬が2番仔。初仔のアヴァンポップが出資馬です。姉もスピード能力は評価されながらも馬体重が伸びずに悩んでいましたが、牡馬に替わってモーリス産駒にも関わらず、その状況がさらに深刻になったように感じます。

父のイメージをよく受け継いだ馬体は骨量豊富でパワフルさを十分に感じます。前から見ても幅がありますし、トモの容積も十分。一方、歩様は硬いところがあってストライドが伸びません。その要因はあまりにも低い体高でしょうか。キ甲は確かに抜けていないですが、かといって極端にトモが高いわけでもなく、成長したとしてもかなり時間がかかりそうですね。

 

 

17.カウアイレーンの23(モーリス)★★

 

11年連続11頭目の生産となったカウアイレーン。すでにベテランですが、ここまで連続で産駒が出てくるのは珍しいですね。矢作厩舎所属が多い以外はバラバラで、ここで木村哲也厩舎に所属と黄金世代にぶつけてくることになります。

カウアイレーンの仔はこれで6頭連続で募集時400kgを切る馬体重で登場。もともと晩成タイプの血統で変わり身は十分ありますので、募集時の判断が難しい一族ですね。

モーリス産駒でありながら大幅にサイズが足りず、小ぢんまりと映ります。背中が短くちょっとまとまりがありすぎるので、成長するのか不安ですね。動きは前肢が硬めに見えますが、それ以外は及第点。内向している馬が多かった母の仔にしては脚は真っすぐでその点はよいですね。

 

 

18.ラセレシオンの23(ブリックスアンドモルタル)★★

 

母はまだ中堅に差し掛かったところですが、ここまでの産駒成績が素晴らしく全部当たりと言えるレベル。ブリックスアンドモルタルの牝馬で6000万円という破格の募集価格ではありますが、プロフィールからは十分その資格があるように感じられます。ブリックスアンドモルタル産駒は牝馬でも初年度からアンモシエラを出し、その他産駒の中央での賞金上位を占めているように十分勝負になるはずです。

馬体重が示す通り現時点でもかなり大柄で目立ちます。体高や胸囲があるように上の方はほぼ出来上がっているぐらいの造りでまともなら早期から期待できそうな雰囲気。ただし、繋ぎが短く、右前が内向気味で、これ以上大きくなると弓脚のリスクもありますので、脚元は不安が大きめです。

 

 

19.フローレスダンサーの23(ブリックスアンドモルタル)★★★

 

ブリックスアンドモルタル牝馬の活躍馬は母父がサンデー系かキンカメというのが初年度の特徴。やはり緩さを強調しない組み合わせの方が安定して走るように思えます。本馬は母父ハービンジャーなのであたりません。ただ、同じく緩いルーラーシップで結果を出しているところは一応良い方向に考えたいですね。

4月生まれとするとちょっとオーバーサイズ気味の馬体。肩回りの筋肉の発達が目立ち現状は前輪駆動ですがちょっと動きは硬めで可動域は狭いです。膝下も繋ぎも短くダートもこなせそう。これもまた重くなると弓脚気味になる可能性は残ります。

 

 

20.デルマコイウタの23(サートゥルナーリア)★★

 

母系は超名牝アイドリームドアドリーム。エアで塗り固められたおなじみのファミリーですが、ベラジオオペラがGⅠ制覇をやってのけました。改めて底力を感じますね。ただし、この馬は母父ディープブリランテ。この肌だと一気に成績が落ちてしまうので、ちょっと評価が難しいです。

4月生まれということもあり、やや馬体は小さめ。かなりひょろっとして毛ヅヤも悪く幼さを感じます。トモがかなり薄く完成にも時間がかかりそうですし、どんな体型になるのかも見通しづらいタイプのように感じます。