社台サラブレッドクラブ全頭斬り2024 1-10

1.ジュールポレールの23（エピファネイア）★★★★★★

雨のヴィクトリアマイルで接戦を制し、G１サラブレッドクラブに唯一の牝馬GⅠ勝利をもたらしたのがジュールポレールです。サマーナイトシティからはGⅠ馬が2頭出ているものの、他は全くといったところで当たりハズレが大きいですね。

母からは初仔サイズ足らず、2番仔が募集中止、空胎明けの3番仔となり、ようやくまともなサイズで出てきました。

やや胴長でありながら背中の緊張感が良く、芯の通ったバランスの良い馬体。サイズもちょうどよく、順調な生育状況が見て取れます。返しも鋭く、前進気勢が見て取れる動きもよく、ここで一気に花開いてもおかしくありません。

【ツアーチェック】

動きの柔らかさが際立っていました。担当者からは「首をうまく使って歩くことができる。前肢が良く出るので中距離以上を期待したいが、古馬になったらマイル路線かも」とのこと。

（★５→★６）

2.マスクオフの23（エピファネイア）★★

マスクトディーヴァが大活躍し、今年のPOGで大きな人気を集めるマスカレードボールの弟。父がドゥラメンテ→エピファネイアとなって、この評判っぷりなら値段が上がるかなと思ったのが据え置きでした。本来目玉の一頭のはずですが、なんとなく話題にならないところも含めて、どうも思ったほどの出来にないのかと思わせます。

馬体は遅生まれということあって、全体的に幼く毛ヅヤの悪さが目につきます。2か月近く生まれが遅いので比べるのはかわいそうではありますが、それでもちょっとパワー不足。キ甲が抜けていないのはわかるのですが、それにしても背垂れが顕著でちょっと不安が大きいですね。

3.ランドオーバーシーの23（エピファネイア）★★★

キタサンブラック産駒の兄サトノエピックがダートに替わってから覚醒し、東京ダービーを2着。ひとつ上のナグルファルもPOG人気しており、一気に注目度が高まってきたランドオーバーシー。キタサンブラックでもダートというところでエピファネイアの牝馬というのをどう判断するかでしょうね。

馬体は綺麗なトモの形が目を引く芝馬タイプ。それでも動かすと若干硬さを感じます。ややのんびりした感じの歩き方でスピードよりもゆったりとした距離のほうが合いそうですね。

4.ジュエラーの23（エピファネイア）★★★

活力のあるバルドヴィナの牝系でそのほとんどを青山オーナーが所有しています。母系の代表産駒であるジュエラーももちろんそのオーナーですが、これで4頭目のクラブ募集馬となりました。ただ、母が桜花賞馬とするとちょっと産駒成績は物足りない印象も残ります。

期待されたティールサファイアは骨折で未出走引退、姉のオプレントジュエルも跛行したように上体の重さから脚元への負担が大きそうですね。

馬体は5月生まれでありながら標準サイズですから、将来的にはやはり大きくなりそう。今回の募集馬の中でも肌艶の良さは格別のもので、健康面は非常に良さそうに感じます。若干着地時に硬さは感じるものの、可動域自体は十分。ただ、前肢が内向気味に見えます。

これまでの兄姉の内容からしても脚元への負担は大きそうで、故障で素質をつぶさないことを祈りたいです。

5.アブソリュートレディの23（ロードカナロア）★★★★

輸入後3頭目のアーティットが4勝を挙げる活躍を見せたものの、その後2世代空いてしまい、まだまだイメージが掴みづらい母ですが、2006年生まれということもあり、かなり高齢の部類になってきました。Galileoで打率は高くないけど、ラクレソニエールの下ですから、どうしても募集価格は上がってしまいますよね。

3月中旬生まれとしては平均的な測尺ですが、まだまだ幼い印象。あまり毛ヅヤもよくないですし、これからの変わり身に期待でしょうか。脚は太めで繋ぎはちょっと緩め。となると、動きはもっさりしがちかなと思われるところ、この馬は可動域もいいですし、それほど悪くありません。動画ではトモの容積・形ともに良く持続力がある馬に育ちそうですね。あとは、この馬体でサンデーを持たないので、切れ味がどれほどあるかでしょう。

6.リンディーホップの23（ロードカナロア）★★

母系のルンバロッカはさんざん募集されましたが、ロッカヴェラーノ以外は厳しい内容。ややブラックタイプが薄く今の社台ファームの中では、あまり勢いがない方になりますね。ロードカナロア×ハーツクライはニックスで、早期にトロワゼトワル、ヴァルディゼール、ケイデンスコールを輩出後もコスタノヴァやロードデルレイを輩出。もちろんハズレも出てきていますが、アベレージは高い方だと思います。

4月中旬生まれで馬体はなかなか小ぶり。初仔も千葉セリの段階で437kgしかなかったので、まだ産駒にサイズが出ない時期なのかなと思わせます。全体的に小ぢんまりとした中で、トモの大きさだけは先行しているように感じられますが、それでもパワーがある感じはなく、時間はかかるだろうなと思います。

7.エクセラントカーヴの23（ロードカナロア）★★★

20年以上社台グループに根付いているアンティックオークションの母系。母のエクセラントカーヴは京成杯AHを物凄い末脚で制した活躍馬ではありますが、母系全体の勢いはそれほどでもありません。産駒もブルームスベリーが3勝した以外は低調で、昨年はセレクトセールで2100万円と低価格の取引となっています。

馬体はロードカナロア×ダイワメジャーという感じが全くしない造り。母に似たのか膝下が長く、背中も短めで、トモの筋肉量は豊富。繋ぎはあまり沈みませんが、及第点の動きでしょうか。

ややリスク高めのタイプであるとは思うのですが、成長途上の時のクロミナンスにちょっと似ているようなところもあって、高い評価はできないけど惹かれる部分もありますね。

8.ハーレムラインの23（キズナ）★★★★★

今年に入ってから活躍馬の多い母父マンハッタンカフェの一頭。ただし、キズナ×マンハッタンカフェとなると、サンデーサイレンス3×3となりリスクが高いことからサンプルは1頭しかありません。母のハーレムラインはリステッドを2勝ですが、その中ではともに裏街道というようなところでちょっと評価は難しいですね。

馬体はキズナ産駒によくある骨量豊富なパワーマイラーのような体型。全体に筋肉質でありながらあまり硬さは感じさせずグイグイ歩くようなところは魅力的です。トモの容積・筋肉量がとくに発達しながら、可動域が十分取れているところもいいですね。

やや厚ぼったいところがあり、こういうタイプのキズナを社台ファームがあまり成功させられていないのがやや気がかりではあります。

【ツアーチェック】

ほぼカタログと動画の通り、筋肉質で力強い印象がありました。重心のバランスがいい馬ですね。

9.ダンスアミーガの23（キズナ）★★★

仔出しが良くこの馬で6年連続の出産となりますが、クラブ募集は3年ぶりとなりました。その間にセレクトセールで取引されたキープカルムが今のところの稼ぎ頭なのはちょっと残念ではあります。2勝馬のラウルピドゥを★5評価したように母系の素晴らしさも相まってなかなか見栄えのする馬も出てきますね。

馬体は4月生まれを差し引いてもちょっと成長が遅め。背中が短く、小ぢんまりとしてこれからの馬ではありますが、それにしてもフレームが小さく伸びしろにも若干不安が残ります。踏込はスムーズで柔らかい動きができているのはOK。前肢の球節付近はもうちょっとしっかりしてくるとより脚元は安心できるのかなと思います。

10.ダイワレジェンドの23（キズナ）★★

祖母ダイワスカーレットからは牝馬が連続して出ており、後継繁殖牝馬は豊富。そんな中でもキングカメハメハ産駒で4勝を挙げた母はその筆頭格でしょう。ただ、なかなか産駒に恵まれず、この馬はまだ3頭目ということになります。兄にノヴェリストで2勝のシリアルノヴェルですから、能力はそこそこあるはずです。

馬体は5/16生まれということもあって、さすがに小さく出てきました。生まれのハンデがあまりにも大きく、測尺でもずいぶん差をつけられています。小さくて軽い故動きはスピード感にあふれていますが、これもまた成長とともに変わってきそう。現時点では相当評価が難しい一頭で、いずれにしても完成まで時間を要すのは間違いないでしょう。