Blue wing -12ページ目

#53

「えーっそれでは、改めましてぇ~。メリークリス」


「メリクリ~~~~!!」


「いえ~い乾杯!!」


「ええええ!?!?!?」



純をさえぎり乾杯の合図をするかおり。

それにしても純、毎回反応がイチイチ大きい。



「あれ~? 春紀はオレンジジュースなわけ??」


「もうお酒は飲まないの~」


「でもさ、お酒って美味しいの?」


「うーん。そうでもない!」


「えええ!!!」


「おーいみんな~? 俺の話を聞」


「お菓子食ーべよっと♪」


「あっ里桜服にジュースついてる。」


「えっうわ~~!」


「も~ほらこれで拭きな!」


「ごめんかおり~」


「………」



あまりにスピーディーかつひどい会話に、

とうとう純もあきらめ1人でコーラを飲み始める。



「てかさ…」


「何よ?」


「俺、プレゼント交換するとか吠えてた犬を見たんだけど…」


「あら偶然。あたしもよ。」


「うーん私も見た気がするな~なんかみかんの箱に入って捨てられてる犬。」


「里桜、それはジョーク?」


「へ? なんのこと?」


「本当にいたの?」


「…え?」


「アアアアアもういいですから~ららら~~♪ 俺でっす~それ俺ですよ~~♪」


「うるさい黙れ犬」


「ガビーーーーン」


「ドッグ?」


「英語にすればいいってもんじゃないですよォ~!?」


「純、いいから。もう本当そういうの、いいから。」


「えぇぇ何がァァァ!?」


「ハ~イという訳でささっとちゃちゃっとぱぱぱーっと、プレゼント交換始めちゃいましょう!」


「いえ~~~い!」



いつもより何割か増して、純の扱いがひどいのは、

きっとかおりのテンションの高さが原因だろう。


可哀想に…純…



「ハイハ~~イ! 俺のプレゼントに注目ー!!」


「どうやって交換するー?」


「そうだな…」



またもやあっさりスルーされた純は、

同じくあっさり立ち直り、普通に会話に入って来る。



「あっそれはやっぱ歌うたわないと!」


「ハ? 歌ァ??」


「お~~~!! 俺の話をやっと聞い」


「めんどくさいけどまぁやりますか!」


「OK!!」


「で? 何の歌?」


「歌……かえるの歌とか…?」


「なんでクリスマスにかえるの歌うたうのよ!」


「里桜…相変わらず天然。」


「え? てっ天然!?」


「ここはやっぱ赤鼻のトナカイで!!」


「……え?」


「え?」


「……いや。なんでもない。」


「えええ!?」


「……そうよ。なんでもないわ。」


「えええええ!!! なんでみんなそんな冷たいのォォォ!?」


「気のせい気のせい。」


「それじゃあ始めよっかー♪」



とうとう叫んだ純は、気のせいの一言でスルーされてしまう。


可哀想にィ…純…



「ルドルフルドルフ~~♪」


「は? 誰それ。」


「え~~ルドルフ知らないのォ~今から歌うのにィ~~?」


「トナカイの名前だろ。」


「へぇ~ルドルフって言うんだー!」



無駄な知識を入れてしまったと言わんばかりに、

純を睨みつけたかおりの持っている箱は…ん? 何だか妙にでかい??



「それでは行きますよ~~! カウントダウン! さん、にぃ、い」


「真っ赤なおっはーなっの~♪」


「えぇぇちょっフライングぅぅ!?」


「トナカイさっんーは~♪」


「えっしかも続いてるぅぅ!?」



1人1人が用意したプレゼントが、リズムにのってまわされていく。

この時、誰もが同じことを思っていた…



「純のだけは絶対に嫌だ!!!」


「同じく。」


「激しく共感するわ。」


「またまたァ~~今回はもうすっごいんだからァ!」


「お前のすごいは1番危険だ。」


「うんうん。」


「でもっそのっとっし~の♪」



純の箱は予想通り、恐ろしい大きさだ。

春紀くんはいたって普通の大きさだ。

そしてかおりは…やっぱり大きい!! 大きすぎる!!!



「かっかおり?」


「何? 里桜、」


「そのプレゼント…やけにでかくない…?」


「………純の超えた?」


「どっちもどっちってとこだな~!」


「暗いよみっちはーピッカピッカの~~♪」



私の箱は1番小さい。

誰に当たるかな…


一応こっちのプレゼント交換では、

昨日選んだプレゼントは入ってない。

だってこのプレゼントを渡す人は…決まってるから。



「喜びまっしった~~~~♪♪」


「はいストーップ!」


「ギャアアアアアアア!!!!」


「あれまぁかおりさんおめでとうございます!!」


「大当たり、だな。」


「なんでよりによってあたしが!? この宇宙人のォォ!?!?」


「何が入ってるかね~~!」


「うおおおおおお!! 俺春紀のだーーーー!!!」


「え~~~いいな~!」


「はっきり言って春紀のが1番まともそうだわ。」



私は気になっていたかおりからのプレゼントだった。

持ってみるとこの箱…なんか……



「動いてる!?!?!?」


「え? かおり、何入れたんだ…」


「里桜、頼んだわよ。」


「何が!?」


「開けてみようぜ!!」


「うっうん。」



恐る恐る、丁寧に結ばれた赤いリボンをほどいてみる。

その白い箱を開けると、何か黄色いものが…



「わああああ!!!!」


「お~~~~!!!! ひよこ~~!?」


「いいえ。あひるよ。」


「あひるううう!?」


「どこでこんな可愛い生き物を…」


「そう、あれは冬の始まり……」


「なんか始まった。」


「めずらしい! かおりが語りだすなんて!」


「いつも通りのバイトの帰り道だったわ…」









「そこのお譲ちゃん~ちょっと見て行かないかい?」



何? 今時その誘い方、怪しすぎるわよ。

こういう時は無視するのが1番ね。



「あぁちょっと待ってくれよ~これ! 買ってくれないかい、安くするからさぁ!」



安くする。その言葉が気になり、思わず振り返ってみると…









「それがあたしとこの子の出会いよ、」


「一目ぼれして買っちゃったってわけか。」


「で? なんでそれを里桜に?」


「よく考えたらあたしのアパート、ペット禁止だったのよ。」


「えええ!」


「だから里桜、あなたに託すわ!!」


「なっなんて無責任な…」



かおりの話を聞きながら、そのあひるの子を見つめる。

つぶらな瞳、黄色くてふわふわな羽…!!



「………可愛い」


「え?」


「可愛いよこの子!! すっごい可愛い!!!!」


「でしょでしょ!? 分かる!? この気持ちが!!」


「もう可愛すぎる! 分かった! 私、全力で育てるよ!!!」


「ありがとう!! 里桜ならやってくれると思ったわ!!」



かおりと私が騒いでいる間に、

純は春紀からのプレゼントを開けていた。



「わーお!! マフラーだあああ!!!」


「お前にあたるとは思ってなかったわ~」


「うひょー! 赤いチェックのマフラーとか! 春紀くん素敵!!」


「きもいからはーなーれーろ!」


「あれ? 春紀は里桜からの?」


「あぁうん。開けてみよ!」



はっ!! まさか春紀くんにあたってしまうとは!

まぁそんなびっくりするようなものは、入れてないからいいけど…



「おっ手袋だ!」


「あったかそ~~!」


「青で大丈夫?」


「うん。俺マフラーも青だし!」


「お~~なになにィ? もしかして里桜、ねらってたかんじィ?」


「ううん! 何色か迷ったんだけど、私も青好きだから、これにしたの!」


「………。」


「ん? どうしたかおり?」


「いや、忘れてたけどあたし、純のプレゼントが当たったんだった…」


「うっ…大物だな…」


「フフフ…今回のプレゼントはほんっとまじですごい! モーストすごい!!」



超不気味なオーラをかもし出す袋に、かおりが手をかける。

部屋中に緊張感が走った。

もちろんそのプレゼントを用意した、張本人を除いて…



「……ん?」


「何それ? CD?」



袋から出て来たのは怪しげな箱。

と、その上には何やらCD。



「何コレ…俺の歌!!って書いてある。」


「俺のって……純。」


「何~?」


「何だこれは。」


「In English please~♪」


「ふざけないでもらえるかしら宇宙人さん。」


「あっはい。」


「里桜。」


「はい!」



恐ろしい声で呼ばれ、

私は素早くCDプレイヤーにそのCDをセットした。




『ピピッ』



プレイボタンを押す音。

その瞬間、全員がごくり唾を飲んだ。




『……おっれ~~のう――――った♪♪ 

 はい、というわけで、ついに始まりましたこの企画。

 名付けてぇ~~実は隠された才能純くんのお歌を聞かせまSHOW! 

 最初の曲は~こちらで』


『ブチッ』



初めは黙って聞いていた3人だが、

かおりが早くもCDプレイヤーの電源を切った。



「……………」



しばしの沈黙。



「あの…こっこれは…?」



勇気を出して沈黙を破った。



「ごみ。」


「へ?」


「ごみよ。間違えて入っちゃったみたい。そうよね純。」


「ん? んんん? いやっそんなはずは…というか質問になってない!? 

 語尾にハテナがついてない気が…」


「だってごみだもの。」


「えええ~~あとでお家でゆっくり聞いて下さいよ~~

 めちゃくちゃうまいんだからもう!」


「気が向いたらね。」


「おおお!」



そのCDがあまりにも衝撃的すぎて、

みんなはまだ開けていない、大きな箱の存在を忘れかけていた。



「あっもう1つのプレゼントは?」


「開けてみるわよ…」



またさっきと同じ緊張感が走る。

今度は一体どんなおバカな品が飛び出すのだろうか…



「…………。」


「……幻の珍味キャラメルSP★DXパック…?」


「幻の珍味キャラメルって…」


「というかSPとDXどっちも使ってるし…」


「もしかしてこの大きい箱の中身全部これ…?」


「……………」



これもまたまた沈黙。

そしてかおりが…



「ごみね。これもまた間違えちゃったみたいね。」


「珍味って…どんな…?」


「里桜、興味持ってるし。」


「食べてミソ~♪」


「美味しいの?」


「フフフ…君たちは俺の苦労を知らないようだ!!」


「知るか。」


「まぁまぁ聞きたまえ。俺はこの、

 幻の珍味キャラメルSP★DXパック、を買うために…

 寒い冬の朝、電車でわざわざとなりのとなりのとなりの市まで行って、

 3時間並んでやっとこの、幻の珍味キャラメルSP★DXパック、を手に入れたんだぞ!!!」


「ただの馬鹿。」


「時間の無駄。」


「電車代の無駄。」



3人から連続で総攻撃をくらった純は、

少しひるみつつもその、幻の珍味キャラメルSP★DXパック、の中から、

黄色いキャラメルと、緑のキャラメルと、赤いキャラメルを取り出した。



「はい。どーぞ!」


「これ…何味…?」


「ウニともずくとパプリカ。」


「…………」



かおりは突然無言で立ち上がり、

純の前まで行くと、痛そうな音とともに悲鳴が響いた。



「痛ってぇぇぇ!!! 何すんだよ~~~!」


「……ありがとう本当に素敵なプレゼントでしたわ。」



かおりは怖いくらいの満面の笑みを浮かべると、

もとの場所に戻り座った。



「えっえっと、そんなわけで! はい!! プレゼント交換終りー!」


「事故だったな…」


「うん…」



1時間ほどのロングタイムプレゼント交換も終り、

外はもう夕日がのぼっていた。


もうそろそろ星が見える…

冬の夜の星は、奇麗だと良く聞いたことがある。

私は窓から見えるオレンジ色の空を見つめて微笑んだ。



「楽しいね!!」



みんなも笑顔だった。



「ガー!」


「あっ」



ずっと静かだったアヒルが、里桜の言葉に賛成するかのように鳴いた。


4人の笑顔はだんだん大きな笑い声となり、

いつの間にか4人は大きく口を開けて笑っていた。








夢の中で泣いていた君。





ほら、みんな笑ってるよ、



春紀くん…