#52
夢を見た。
彼の夢を…
「…泣いてるの? 春紀くん」
「………」
彼は答えなかった。
ただ下を向き、ポロポロと涙をこぼす…。
泣いてるの?
どうして泣いてるの…?
どうして…
こんなにも悲しいの。
「メリイイイイイイイイクリッスマ~~~~~ッス!!!!!!!!」
「うるさい。」
「同意見。」
「え~なになにィ!? なんでそんなテンション低いわけよ~
ほらほらお2人さん! せっかくのお顔が険しいですよぉ~~!!」
「…あん?」
「なっなんでもないですハイ。」
いつでもどこでもテンションの高い宇宙人代表!
純は、何かイベントがある度にいつもの百倍、いや千倍、
いや一万……(きりがないのでこの辺にしておこう)はうるさっじゃなく、燃えていた。
「だってぇ~~! だってだってぇぇぇ!! は~い皆さん! 今日は何の日でしょーか!」
「クリスマスだろ。お前自分でクリスマスだって吠えてたじゃんさっき。」
「ほっ吠えっ!?」
「そうそう。とうとう1分前のことまで記憶できなくなったわねこの宇宙人。」
かおりはやれやれといったような顔をする。
春紀くんは本と向き合い、
私はただ黙々と、純の取れてしまったシャツのボタンをつけていた。
「なぁり~お~~! なぁなぁ!」
「里桜は今忙しいのよ。」
「え~~なんでぇぇぇそんなの明日でいいじゃんよ~~」
「里桜は誰のためにやってると思ってんのよこのキングオブ馬鹿。」
「キングオブ馬鹿!?」
「うるさい読書の邪魔。」
あれ? どうしたんだろ…
うるさいはずの大音量な会話がだんだん遠くなっていく……
「キング……なんと良い響きだアアアってコラ馬鹿とはなんだ!」
「もう本当うるさいから本当。みんなの迷惑だから本当。」
「本当って3回も言ったァァァ」
「ねぇ里桜、迷惑すぎて集中できないわよねって、ギャアアアア!!!!!」
「んん……」
気がつくと視界が真っ暗に…
あぁ、睡魔に負けてしまった。
「危ないからアアア!!!本当にイイイイイ!!!!」
「……え?」
ようやく目を開けるとそこには…
「ははは針がアアアアア!!!!」
「うおぉぉぉぉぉ!?!?」
もう少しで目に刺さるところだった!!
危ない危ない…本気で視力を失うところだった。
「何? 里桜、寝不足?」
「うっうん。そうみたい。」
「何ー? 昨日の夜なんかやってたわけ??」
「えっ!?」
いつものように何も考えず純は聞いてきた。
いやいやいやいや言えないですまさか!
「うっそっその、あれだよ! 本! そう! 本呼んでたら夜中になっちゃって~ハハハ!!」
「そっそうなんだ…?」
「うん!!! あははは!!!!」
怪しい。そんな目をしたかおりに睨まれる。
だって…! だって今日はクリスマス!
本人の目の前でプレゼントを選んでたんだなんて言えない!!
「でさー、」
「何?」
「そろそろやらない?」
「やらない。」
「えええええ!!」
「…何をだよ?」
「またまたァ~みんなもう分かってるくせにィ~~」
「うざいから本当そういうのうざいから。」
「今度はうざいからって2回も言ったァァァ!?」
「大事なことだから2回言った。でしょ?」
「そうそう。」
1か月前くらいから悩んでたのに、
結局前日まで決まらなかった。
けど日の出が見える時間まで悩みに悩んで…
「やっと決まったんだ!!!」
「へ? 何が?」
「え!? 口に出してた!?」
「うん。」
「うっ…そっそうだよ!! そろそろやろうよ!」
「おおおおお!!!!」
「……やるか。」
「そうね、里桜が言うことだし。」
焦って出た私の言葉に、
他の2人もやる気を出し始めた。
「え~~何それ俺の言うことは聞かないけど的なァ!?」
「…は? 何を今さら。」
「えっ!?」
「いや、常識でしょこれ。」
「そんな~~~」
外はもうお昼過ぎ。
おやつの時間だ。
…やっと始まった。
私たちのクリスマスが!!!