Blue wing -13ページ目

#52

夢を見た。



彼の夢を…





「…泣いてるの? 春紀くん」


「………」



彼は答えなかった。

ただ下を向き、ポロポロと涙をこぼす…。



泣いてるの?

どうして泣いてるの…?




どうして…



こんなにも悲しいの。









「メリイイイイイイイイクリッスマ~~~~~ッス!!!!!!!!」


「うるさい。」


「同意見。」


「え~なになにィ!? なんでそんなテンション低いわけよ~

 ほらほらお2人さん! せっかくのお顔が険しいですよぉ~~!!」


「…あん?」


「なっなんでもないですハイ。」



いつでもどこでもテンションの高い宇宙人代表!

純は、何かイベントがある度にいつもの百倍、いや千倍、

いや一万……(きりがないのでこの辺にしておこう)はうるさっじゃなく、燃えていた。



「だってぇ~~! だってだってぇぇぇ!! は~い皆さん! 今日は何の日でしょーか!」


「クリスマスだろ。お前自分でクリスマスだって吠えてたじゃんさっき。」


「ほっ吠えっ!?」


「そうそう。とうとう1分前のことまで記憶できなくなったわねこの宇宙人。」



かおりはやれやれといったような顔をする。

春紀くんは本と向き合い、

私はただ黙々と、純の取れてしまったシャツのボタンをつけていた。



「なぁり~お~~! なぁなぁ!」


「里桜は今忙しいのよ。」


「え~~なんでぇぇぇそんなの明日でいいじゃんよ~~」


「里桜は誰のためにやってると思ってんのよこのキングオブ馬鹿。」


「キングオブ馬鹿!?」


「うるさい読書の邪魔。」



あれ? どうしたんだろ…

うるさいはずの大音量な会話がだんだん遠くなっていく……



「キング……なんと良い響きだアアアってコラ馬鹿とはなんだ!」


「もう本当うるさいから本当。みんなの迷惑だから本当。」


「本当って3回も言ったァァァ」


「ねぇ里桜、迷惑すぎて集中できないわよねって、ギャアアアア!!!!!」


「んん……」



気がつくと視界が真っ暗に…

あぁ、睡魔に負けてしまった。



「危ないからアアア!!!本当にイイイイイ!!!!」


「……え?」



ようやく目を開けるとそこには…



「ははは針がアアアアア!!!!」


「うおぉぉぉぉぉ!?!?」


もう少しで目に刺さるところだった!!

危ない危ない…本気で視力を失うところだった。



「何? 里桜、寝不足?」


「うっうん。そうみたい。」


「何ー? 昨日の夜なんかやってたわけ??」


「えっ!?」



いつものように何も考えず純は聞いてきた。

いやいやいやいや言えないですまさか!



「うっそっその、あれだよ! 本! そう! 本呼んでたら夜中になっちゃって~ハハハ!!」


「そっそうなんだ…?」


「うん!!! あははは!!!!」



怪しい。そんな目をしたかおりに睨まれる。


だって…! だって今日はクリスマス!

本人の目の前でプレゼントを選んでたんだなんて言えない!!



「でさー、」


「何?」


「そろそろやらない?」


「やらない。」


「えええええ!!」


「…何をだよ?」


「またまたァ~みんなもう分かってるくせにィ~~」


「うざいから本当そういうのうざいから。」


「今度はうざいからって2回も言ったァァァ!?」


「大事なことだから2回言った。でしょ?」


「そうそう。」



1か月前くらいから悩んでたのに、

結局前日まで決まらなかった。

けど日の出が見える時間まで悩みに悩んで…



「やっと決まったんだ!!!」


「へ? 何が?」


「え!? 口に出してた!?」


「うん。」


「うっ…そっそうだよ!! そろそろやろうよ!」


「おおおおお!!!!」


「……やるか。」


「そうね、里桜が言うことだし。」



焦って出た私の言葉に、

他の2人もやる気を出し始めた。



「え~~何それ俺の言うことは聞かないけど的なァ!?」


「…は? 何を今さら。」


「えっ!?」


「いや、常識でしょこれ。」


「そんな~~~」



外はもうお昼過ぎ。

おやつの時間だ。



…やっと始まった。






私たちのクリスマスが!!!