昨日は刈谷アイリスホールの「ねじまき鳥クロニクル」を観劇しました。
原作は村上春樹の同名小説。
主人公のトオル(成河/渡辺大和)は妻のクミコに失踪されてしまう。
クミコの兄、綿谷ノボルからクミコと離婚するよう一方的に告げられたトオルはこの出来事に疑念を持ち綿谷ノボルと対決するが、次第に得体の知れない大きな流れに巻き込まれてゆく。
その過程で、近所に住む女子高生の笠原メイ(門脇麦)や満州帰りの本田老人(吹越満)と出会うことに。
果たしてトオルはクミコを取り戻すことができるのか。
観劇にあたって、三冊からなる文庫本を読みました。
小説はトオルの一人称で語られるので、不条理な出来事に巻き込まれるトオルの怒りや戸惑い、恐れがつぶさに伝わる構成。各々のメタファーを理解できずとも冒険小説のような気分でサクサク読み進めることができました。
一方、舞台はトオルが他の人物と横並びに描かれるので心情を推し量るのにも限界があり、また笠原メイや本田老人との出会いや繋がりが省略されるのでストーリーを追うのは不可能。
ただ目の前に繰り広げられる現象を受け取るしかないので、これは観客が原作を読んだ上で演出家の感性を受け取るスタイルなのですね、って途中から気づいた。
よって、なかなかハードル高く集中力を保つのが難しい…。
キャストのパフォーマンスはとてもレベルが高く、トオルは渡辺大和と成河の二人で演じる独特な演出。成河さんはスリルミーで歌える人と知ってたけど、渡辺大和さんもとても上手。
門脇麦ちゃんは声が可愛い。
MVPは吹越満さんの老人芝居。老いぼれた弱々しい声ながらもとても聴き取りやすく不思議な迫力があり、同時にアクロバットな動きまで披露してまさに神業。
お目当ての不思議な力を持つ姉妹、加納マルタと加納クレタの両方を演じた音くり寿も怪演。
ダンスで描かれるクレタが綿谷ノボルに襲われる場面は、見事な表現力で身体能力の高さも発揮。
小説ではこのマルタとクレタが、道先案内人ばりの活躍で特に前半では準主役級の扱い。
舞台では出番が思ったより全然少なくて、この姉妹の扱いの薄さが内容を分かりにくくさせる一因に思えました。
門脇麦ちゃん他のキャストも歌があったのに、音くりちゃんの歌が聴けなくて残念。
難解でも感性にフィットすれば、豊かなものを見れた満足感に浸れるけれど、そこまで到達できない未熟な自分でした。
ところで今週発表された日程見直しの件。
私は割とスレスレな無傷でしたが、本当にみんな怒っていいやつだよ。
見直しは評価できるけど、過重労働が問題視される中で自発的には改善できず、労基が入ったからの処置ぽいのがさ。あんな事があったのに変わらぬ誠意の無さに呆れるばかり。
とりあえず新公が東宝のみになった事で、お稽古にゆとりができて、間接的にパワハラ予防になりそう、、
私はいいと思います。心のゆとり大事。
そしてエクスカリバーやバウ公演はどうなるの。
パガド中止は世間の圧力よりも、肝心の宙組生が駄目なのだと想像した。
前にあった文春の大量退団て何なんでしょうね。
最新の報道によると、今月始めにお話し合いができたのなら悪くないじゃん。
当面、劇団は宙組再生を焦らず待つ(丸投げ?)方針なのかな。それが可能なら一番いい気はする。
ただ、弁護士会見を受けての劇団コメントの「調査に拘らず」も気になる。
弁護士会見で提示された証拠が決定的なものでは無かったので、もうパワハラについては認めない気がしてきた。
返す返すも、正式な第三者委員会を立ち上げなかった事が悔やまれる。
数々の指導が、叱責や罵倒と言えるほどのものであったかはその場にいた宙組生の証言に頼るしかないもの。
報道機関によっては、物的証拠と表現してるのもあったけどあの程度は物的証拠じゃないよね。
火傷の事実は認めてるし。それとも過重労働させながらの指導自体がパワハラって言いたいの?
基準が分からない。
組ルール見直しなど、各組のお話し合いや内部調査結果を、年内に立ち上げる外部有識者を含めた委員会に受け渡し、改善案が公表されるのは来年のずっと先かな。そこは焦らず最善の道へ進んでほしい。