かもめ | モンタギュー家の執務室

モンタギュー家の執務室

ロミジュリから礼真琴をひたすら崇めている星担。地方民なので配信多め。
宝塚とエンタメ全般について綴ります。

休養発表以来、礼真琴の演技がひたすら観たい衝動に駆られてDVD購入しました。

これまでビジュのおぼこい若手時代の作品はあまり食指が動かなかったのですが、、

この初バウ主演舞台、すっっっごく面白い!


ただでさえ難しい翻訳劇でしかもミュージカル演出、これで初主演なんてハードル高いわ。


シナリオはほぼ元の戯曲通り、長台詞の日本人に馴染みにくいマニアックな部分は適度に削り、主要10人にほぼ均等に歌が振られていて、全てのキャストが歌うまとはいかなくても、みな芝居巧者で役としての歌が成立してるから、素直に楽しめた。


またピアノ、バイオリン、チェロなど少人数編成での生演奏がお洒落。以前観たシアターコクーンでの海外演出家が手掛けた演劇でこういうのあったわ。舞台装置もシンプルだし外部の舞台みたい。


他愛無い日常のやり取りが延々と続くけど、それぞれ噛み合ってない所が滑稽だし切なくて、キャラクターの感情を想像せずにいられないし、観る人によって共感できる人物も違うはず。


なかでも天寿光希がハマり役で、もちろん今もお綺麗ですが、この作品での彼女はまさに大輪の花。

作家志望のコースチャ(礼真琴)の母親で女優のイリーナ、コースチャの彼女で女優志望のニーナ、どちらも夢中にさせる売れっ子作家トリゴーリン役がモテ男の説得力充分。


コースチャの大好きなママを独り占めしながら、ニーナまで奪ってしまうこのクズ男は、ニーナの存在を作品のインスピレーションくらいにしか思ってなくて自分を信じて追ってきたニーナを妊娠させた上にあっさり捨てる。


自意識過剰で不安定なコースチャは、自身の才能やニーナとの愛情に疑問が生じると、猟銃で撃ち落としたかもめの死体をニーナに放って寄越したり、(おそらくママとニーナの気を引くため)ピストルで自殺未遂を図るような陰キャなので、将来への希望に溢れるニーナが、人生の次のステージに連れて行ってくれそうなトリゴーリンに惹かれるのは無理もないことだと思います。


若手では、城妃美怜がニーナの可憐さを上手く表現していて素晴らしいし、マーシャ(音波みのり)に片想いする教師役の瀬央ゆりあも哀れでとぼけた雰囲気が可愛かった。


イリーナ役の音花ゆりは大女優の貫禄充分で、管理人役の美城れん、医師役の鶴美舞夕らもとても個性的。


そして主演の礼真琴は『瑞々しい』の一言。

まさにこの学年だからこその魅力で、得意げに演劇論を語っても、なんだか口調が幼くて背伸びした感じとか、ニーナへ愛を伝える真っ直ぐな表情とか、男役というよりも等身大の若者を素直に演じていて、歌は既に完成しているし、当時の評価はどうだったんだろう。とても素敵だった。


カテコの挨拶で、次の大劇場はショーだから歌と踊り頑張る、とにかく踊りたいって正直だな!

奈穂子の立場も考えて!

今の礼真琴を知ってるだけに、頼りないグダグダな挨拶が面白すぎる。


とても難しいであろう翻訳劇ですが、ジェンヌさんにとって退団後の名刺代わりになるし、出演者も観客も成長できるし、若手の別箱でこれからもやれれば良いのにと強く思いました。