1月の読書メーター
読んだ本の数:32
読んだページ数:7761
ナイス数:664

アンソロジー 嘘と約束 (光文社文庫 あ 61-2)アンソロジー 嘘と約束 (光文社文庫 あ 61-2)感想
2024年スタートの1冊。単行本では2019年8月に既読。松村比呂美「自転車坂」、近藤史恵「ホテル・カイザリン」、矢崎在美「青は赤、金は緑」が好みの作品だった。
読了日:01月01日 著者:

青を抱く (角川文庫)青を抱く (角川文庫)感想
2015年に刊行された文庫に、3編のショートストーリーを加えて再文庫化されたもの。男性の泉と宗清の恋愛と秘密の兄弟関係について。著者の初期の著作だと思うが、若いという印象。最近の作品の方が断然いいと思う。
読了日:01月02日 著者:一穂 ミチ

ダイヤモンドの原石たちへ 湊かなえ作家15周年記念本 (集英社文庫)ダイヤモンドの原石たちへ 湊かなえ作家15周年記念本 (集英社文庫)感想
著者の作家15周年記念本。池田理代子氏との対談、これまでの作品紹介等収録されているが、特に読み応えがあったのは、書き下ろし小説「告白のために」。著者の毒気のある本音が出ていると感じられて。出版社にいいように使われて消耗するのではなく、著者自身が書きたいものを書いていってほしい。デビュー10周年記念の47都道府県サイン会ツアーのレポートも面白かった。
読了日:01月02日 著者:湊 かなえ

ジャンル特化型 ホラーの扉: 八つの恐怖の物語 (14歳の世渡り術)ジャンル特化型 ホラーの扉: 八つの恐怖の物語 (14歳の世渡り術)感想
「14歳の世渡り術」シリーズ。ホラーのジャンル紹介と、そのジャンルごとの作品が収録されている。私自身ホラーのジャンルというのはあまり意識していなかったので、参考になった。心霊ホラー、オカルトホラー、モンスターホラー、サスペンスホラー、怪談等。収録作品のなかでは、澤村伊智「みてるよ」、雨穴「告発者」、五味弘文「とざし念仏」が面白かった。田中俊行「学校の怖い話」は定番な気はするけど、怪談話の舞台が学校というのは時代が変わっても通じるものだなと思った。
読了日:01月03日 著者:澤村 伊智,芦花 公園,平山 夢明,雨穴,五味 弘文,瀬名 秀明,田中 俊行,梨

くたびれないごはんづくりくたびれないごはんづくり感想
「調理停年」とあったように、高齢の方向けに無理なく毎日の食事支度をする方法についてのアドバイス。冷凍食品や缶詰等も利用しながら楽できる部分は楽をして、というスタンス。ブロッコリーの生姜ナムル、黒胡椒なめ茸が試してみたいと思ったレシピ。
読了日:01月03日 著者:婦人之友社編集部 

ランチの時間ランチの時間感想
ランチをテーマにしたコミックエッセイ。高級店に行ったときに思わず切符だったら東京から函館まで行ける…と考えてしまうあたりが庶民的で親しみがもてる。なので、実際のランチ内容もそういったものの方が読んでいていいなと感じる。宅配ピザを持ち帰りにして半額で購入して、食べ終わった後に箱の再利用法を考えるというのがミリさんらしくて笑ってしまった。
読了日:01月03日 著者:益田 ミリ

思い出せない思い出たちが僕らを家族にしてくれる思い出せない思い出たちが僕らを家族にしてくれる感想
家族についてのエッセイ。昔のエピソードも現在のエピソードもたっぷり。親戚の集まりなど、今となっては懐かしいというくらいの私からすると、羨ましい反面、必ずしも良いことばかりではないだろうなと思う部分も。2人のお子さん(特に次男)のエピソードが楽しく、可愛らしく、心温まる。妻の宝塚オタクっぷりはその気持ちがよくわかる。著者がなぜ何公演も観劇にいくのか、という疑問に対して妻が「観るしかないねん」と言うの、私が言うときも全く同じ(バンギャ)。そう、観るしかないし、行くしかない。
読了日:01月04日 著者:スズキ ナオ

うるさいこの音の全部うるさいこの音の全部感想
主人公は芥川賞を受賞した兼業作家の朝陽。元々働いている職場(ゲームセンター)や地元で、作家であることが知られて、作中の文章やインタビューから、作家・早見有日としてではなく、朝陽という人間に関心がもたれることに違和感をもつ。一見著者自身が体験したことなのかと思ってしまうけれど、読者がそう思うこと自体が、著者にとって望ましくないことなのかなと思った。
読了日:01月06日 著者:高瀬 隼子

歌われなかった海賊へ歌われなかった海賊へ感想
少し前に著者のエッセイ『文学キョーダイ』を読んで関心をもち、普段はどちらかというと苦手意識をもってしまうタイプの作品なのだが、読んでみた。登場人物の名前に苦戦しつつ、読み進めるにつれて面白くなった。現代→戦時中→現代で、最後の回収もお見事。自由を奪うヒトラーの体制に反対し、危機が迫っても相手に屈さずに闘いぬくヴェルナーの姿に胸が熱くなった。
読了日:01月07日 著者:逢坂 冬馬

苺飴には毒がある (一般書)苺飴には毒がある (一般書)感想
高校2年の寿美子は、幼なじみで毒を吐くれいちゃんが、自分についても毒を吐かれているのではと感じながらも、その付き合いを続ける。新興宗教にハマる母、妊娠をきっかけに大学を中退した姉との暮らすなかで、寿美子は自身の希望する大学進学を目指す。れいちゃんとの距離のとり方は10代のときならきっと難しいだろうなと思う。うまく決別できて良かった。序章で、現在の寿美子が36歳の設定となっているが、本編(高2の寿美子)でのエピソードがその設定の年齢よりちょっと古めの印象。
読了日:01月08日 著者:砂村 かいり

にがにが日記にがにが日記感想
日記なのだが、関西によくいる、誰に語っているのかわからないひとり語りしてるおっちゃんのしゃべりをきいているみたいなところがあって面白い。生活史の調査について。「自分が聞くという体験をしたことを書いている。聞くという体験を通じて、私たちは語り手の人生に飲み込まれていく」というのがいいなと思った。抗不安薬やお酒をたくさん飲んでいらっしゃるのでお身体に気をつけてほしい。後半のおはぎ日記。飼い猫・おはぎを22才で亡くす。「おはぎに対する愛情が、ずっと変わらず常に脳のなかにある。でもその対象がいない」。 
読了日:01月08日 著者:岸 政彦