水森亜土 増補版 (らんぷの本)水森亜土 増補版 (らんぷの本)感想
2010年初版作品が増補版として今年出版されたもの。イラストレーター、パフォーマー、歌手、舞台女優と多くの顔をもつ水森亜土の多才さと魅力が詰まった1冊。才能を伸ばせたのは生家の家庭環境も大きな要素だと思った(日本橋で生まれ育ち、父は建築家、母は画家。子どもの頃から父に連れられて日劇ミュージックホールに通いヌードの踊り子を見ていた。中高を桜蔭学園で過ごし、その後ハワイに留学)。長年の介護生活の話は驚いた。両親、義両親だけではなく、義姉、義姉の友人までみてきているとは。なかなかできることではない。
読了日:11月19日 著者:水森 亜土

夢ノ町本通り:ブック・エッセイ夢ノ町本通り:ブック・エッセイ感想
本にまつわるエッセイ。書評以外に、かつての作家との交流のエピソード等が書かれている。興味深かった章は、「旅の方へ」(旅に関する16冊の本の紹介。『深夜特急』を著わす時のヒントになったエピソードも)、「書店という街よ、どこへ?」(著者が日本で一番の売上のあるという紀伊國屋梅田店に潜入し、その理由を探る)。
読了日:11月20日 著者:沢木 耕太郎

さよなら日和 (講談社文庫)さよなら日和 (講談社文庫)感想
『廃園日和』改題文庫化。遊園地・星が丘ハイランドパークの最後の1日を舞台とした連作短編集。スタッフ側にもお客さん側にもいろいろな思い出があり、実際の遊園地が閉まるときにもそれぞれのストーリーがあるんだろうなと思いながら読んだ。大きな事件はなく、ひとつひとつのストーリーが大きすぎないところが良かった。
読了日:11月21日 著者:行成 薫

リカバリー・カバヒコ (文芸書・小説)リカバリー・カバヒコ (文芸書・小説)感想
公園の遊具のカバヒコ。カバヒコに触れると自分の治したいところが回復するという。何らかの回復をさせたいという思いをもった5人のストーリー。ふわっと軽くてあったかい感じはするけれど、ただそれだけというか…物語に深みがなく、物足りない印象。
読了日:11月21日 著者:青山美智子

ババア上等! 番外編 地曳いく子のお悩み相談室 (集英社文庫)ババア上等! 番外編 地曳いく子のお悩み相談室 (集英社文庫)感想
webで連載されていた悩み相談の回答。物事の見方をちょっとずらして考えるのに良いヒントとなりそう。年相応ではなく、自分相応・自分軸で生きたら良いというのはいいなと思った。人生は意外と短いから、人に会いたくなったらすぐ会うということもコロナ禍を経ての教訓。
読了日:11月22日 著者:地曳 いく子

じい散歩 妻の反乱じい散歩 妻の反乱感想
「じい散歩」続編。今作では英子が要介護状態になり、夫の新平が介護をする生活となっている。3人の息子も変わらず。90歳オーバーの夫婦の在宅生活に息子ふたりが同居というのは困るなぁ。現実には8050、9060の大変な家庭がたくさんあるからまだ新平、英子夫婦は幸せな方かな…。
読了日:11月24日 著者:藤野 千夜

コンビニエンス・ラブ (100min.NOVELLA)コンビニエンス・ラブ (100min.NOVELLA)感想
ボーイズグループGAME BREAKERSの愛生が利用するコンビニの店員マユに対して恋愛感情を抱くストーリー。最後がまさかのゲームオチ…と思ったけど、改めて最初の部分をみると、それらしい書き出しにしてあった。さらりと読了。
読了日:11月25日 著者:吉川 トリコ

八色ヨハネ先生八色ヨハネ先生感想
第2回朝日新聞Reライフ文学賞受賞作。あくまで創作であると念押しをされているが、実際した人物について描かれているようなリアリティを感じた。大学の神学部の教授であった八色ヨハネ先生の生涯について。妻と娘を突然亡くしたことで、生きる意味に向き合わざるを得なくなるヨハネ先生。神学者であっても神の教えと自分の辛さとの折り合いをつけるのは難しいことだろう。挿入された「神義論とイエス」の主要部分は著者が同志社大学で開催されたチャペル・アワーで語ったものだとのこと。
読了日:11月26日 著者:三宅 威仁

椿ノ恋文椿ノ恋文感想
ツバキ文具店シリーズ。QPちゃんが大きくなってる!小梅ちゃん、蓮太朗くんは前作に登場してたかな?忘れているところもあった。ツバキ文具店の先代の不倫話が登場したのには驚いた。ラストで鳩子とQPちゃんの関係が深まったところが良かった。
読了日:11月27日 著者:小川 糸

間の悪いスフレ (創元クライム・クラブ)間の悪いスフレ (創元クライム・クラブ)感想
ビストロ「パ・マル」を舞台とした作品。シリーズ第4弾。コロナや円安など時世を反映した内容の短編7作が収録されている。フランス料理を食べる機会はないけれど、登場する料理とお酒がどれも美味しそう。タイトルにあるスフレが登場する作品。私ならスフレが出てきたときにプロポーズされたら、「それは後でいいから先に食べよう!スフレが萎んじゃう!」と食べるの優先しちゃうな。
読了日:11月28日 著者:近藤 史恵

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