髪がふれ合ったときに恋の息がもれた。
何千枚も撮ってきた二人での写真、もっときわどい密着も向かい合いもたくさんあったのに。
こういう、風に。
髪と髪があわくふれ合うような時に不意に胸が甘い糸で撚りあげられたようになる。離れる際にはそっと、そっと声にも顔にも素振りにも出さず胸の奥誰もいない場所から、恋をほうっ・・・・と誰にも、そう髪がふれ合うほど近くにいる相手にも聞こえぬように吐く。
胸の奥誰もいない場所、
兄しか、(血は一滴もつながっていない)
弟しか、(血は一滴もつながっていない)
いない、10何年も深く恋を降り積もらせ埋めてきた。
互いに黒い衣装、カット!の声と共にユノのつややかな腕と胸はチャンミンからすいと流れた。チャンミンの唇は、
再び、
恋の息を「まるで少年期」と、ハッとせせら笑うようにしながら、吐いた。