以前から話をしていたフランスの経済学者のピケティ氏が来日して、日本記者クラブで記者会見をしたようだ。
「21世紀の資本」という高い本が世界的ベストセラーで、みなさん目からうろこが~!コンタクトレンズがぁ~!みたいな状態だったらしく、あちこちで引っ張りだこの人気経済学者になった模様。
面白いことに、アメリカの高名なノーベル賞クラスの経済学者の言うことは、全く聞かないか文句ばっかり言っている民主党や左翼連中なのに、ピケティ氏に対してはすごく高く評価しているように見受けられる。
方向性的に共産主義者の志向とマッチしやすいからなのか、ちょっと興味深い。
その彼が声高に言うのは、経済格差を何とかしてなおさないとダメっていうこと。
これは筆者も激しく同感。
消費増税より若者優遇を=格差解消訴え―ピケティ氏会見 時事通信 1月31日(土)15時35分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150131-00000068-jij-int
経済格差の問題を取り上げた著書「21世紀の資本」が世界的ベストセラーとなったフランスの経済学者トマ・ピケティ氏が31日、東京都内の日本記者クラブで会見し、日本は格差が拡大しており、消費増税よりも、「若者に有利となる税制改正」を実施すべきだと述べた。
同氏は質疑応答で、「万人に課す消費税(率)を上げても、あまり良い結果を生んでいない。日本の財政再建は、高所得層に高税を課したり、富を持たない若者や中低所得層の所得税を引き下げたりする取り組みが優先事項だ」と語った。
同書の日本語版発売を機に来日。行き過ぎた格差は、一国の成長に悪影響を及ぼす政治・経済両面の問題だと強調し、制度や政策の見直しによる是正の重要性を訴えた。
欧州で相次いだ多国籍企業の納税回避については、不正抑止に向け、法人税の最低税率を国際的に統一する必要があると指摘。日米欧にルール導入の模索を呼び掛けた。
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言っていることはいちいちごもっともで、そのとおりだ。
法人税は世界で基準を作らないと、グローバル企業の動向で政策が左右されてしまうから大変重要。
若者に対する税制改正も極めて大事である。これについては後述する。
ポイントはここ。
「万人に課す消費税(率)を上げても、あまり良い結果を生んでいない。日本の財政再建は、高所得層に高税を課したり、富を持たない若者や中低所得層の所得税を引き下げたりする取り組みが優先事項だ」
そもそも論的に、なぜ高所得者に高い税率を課したりできないのか?というのがある。
所得格差の発生する理由はすでに色々述べてきたが、あらためて簡単に言うと、お金をもった人が投資に回すことで会社等が大きな規模の事業に手を出せるというプラスの効果を使って、投資を奨励したのが発端だ。
投資によって儲かると、儲かった分を更に投資に回すため、世の中は活性化するものの、投資によって儲かった人は更に儲かってお金持ちになることになった。これが第一の資産の偏り。
お金持ちは、先日起こったお隣のナッツリターン姫が良い例なように、世の中が全て自分を中心に回っていると勘違いしてしまう人が増える。いわゆる成金だ。
お金があると、その露を渇望して言うことを聞くのが多くなるから、財力でなんでもできると勘違いしてしまうのだ。
単純に、商売として付き合っていて売上のために言うことを聞いているだけなのに、王様にでもなった気分になるのだろう。
結果、お金持ちはさらにお金を欲しがるようになる。
すると、「モノ言う株主」になってきて、投資をしている会社の些細なムダも一切許さなくなり、常に改善と利益を上げることを強要するようになり、それができなければ株を売って、その会社の経営を危ぶませることになってしまうのだ。
これが第二の資産の偏りの原因。
株以外の投資でも、本来であれば集まったお金を事業に回したりするために募っていたものが、いつしか、お金でお金を生むマネーゲームの利ざやで生活したり、利ざやを当て込んだ運用が大きな金額になるようになった。この運用の元はみなさんのおさめた保険料だったり学費だったりとさまざまだ。寝かすより運用して運用益を得ようという動きだ。
これが第三の資産の偏りの原因。
こうして、自然発生的に、仕組みの問題として発生してしまった経済格差を、単純に政策や税制で埋め合わせようとすると、嫌な問題が起きる。
先日の、お金持ちはわがままだ、という部分。いらぬお金を払うくらいなら海外に行きま~すと逃げてしまうわけだ。
グローバル企業でも、大きな雇用や地方税を負担してたりするから、うっかり逃げられちゃうと一気に冷え込むことになる。
財力のある人はそういったことを平然とできるようになるため、あまり抜本的な手段を取るとかえってカウンターを食らうことになるわけだ。
これが第四の資産の偏りの原因。
したがって、課税をしたりする政策は簡単にできることなのに、野放図に放置するしか無くなってしまっているのが世界中のトレンドであり、問題になっている部分なのだ。
財力のある人は猛烈にお金持ちで、ほとんどの国民はものすごく貧乏という構図は、日本だけでなく、先進国共通の悩みなのである。
従来の仕組みは、世の中を拡充したくさんの大きな事業を手がけることができる利点を持っていたが、そろそろ次の段階に移行しないとまずい、この格差でたまったフラストレーションの行く先がない、という現状なのだ。
多くの国民は、この怨嗟の声を国やお金持ちに求めるが、このようにどうしようもなく発生してしまっている部分は多々あって、彼らにだけ文句を言ってもどうにもならないとも言えるのだ。合成の誤謬、みたいなやつだね。
政策的な部分だけ言えば、まず消費税はダメ。
ピケティ氏が指摘するように、一定以下の収入の方には大きな税制控除を設けるべき。
金持ちにうっかり課税するとカウンターを食らうため、投資関係の取引に課税する、とかでもいいだろう。つまり、手数料みたいな形でとっちゃう。
どういった手法が良いのかは議論が必要である。簡単な処方箋はない。
しかしこれらも、世界基準で行うようにしないと逃げられて終わりなのできりがない。
きな臭い話ばかりしている世界情勢だが、せっかくG8とかで会談するんだから、そういった問題を前向きに考えてみてはいかがだろうか?と思う。
そういったことを考える機会を政治家レベルの人達にも与えた、という意味ではピケティ氏の功績は猛烈に大きい。
格差是正は、世界平和の重要な基礎になるからだ。
表題の格差解消は可能か?をまとめると、可能であるが世界で足並みそろえないとダメ、ということだ。
了
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