測定の「正確さ」と「精度」の限界は以下の様々な原因によりもたらされる。
軽減できるものもあれば、本質的でどうしようもないものもある。

1:誤って校正された装置
これでは正しい値を測定しようがない。トレイサビリティの問題あり。

2:測定者の計算の誤りあるいは読み取り誤差
測定データを正しく取り扱う知識や技術がないと、データは無意味、時に有害となる。

3:温度、湿度、気圧のような周囲環境条件の変化
測定器は周囲環境条件で変化を受ける。放射線計測ではけっこう大きな差になる。

4:メータの指針、時計、間隔、レンズなどの有限の幅
測定機器のどこかに測定を妨げる有限の要素が存在しているわけで、測定対象が何かをよく考えてから測定機器を選択しないといけない。

5:原子、電子、分子、陽子の個々の影響を検出する現実の測定装置感度の限界
放射線測定機器の原理を理解しないと、測定感度の限界にだまされる。

6:測定方法の不完全さ
根本的に測定方法が間違っている。

7:系の最初の状態が正確にわからないこと、あるいは最初の状態が分かったとしても、系の進展を追うことが不可能であること
最初に何もしないで測定機器だけを動かしてデータをとるとき、これを放射線測定ではバックグランドと呼ぶ。
先にバックグランドを測っておいて、それをその後の実験データから引いておかないと、バックグランドを上乗せした値となってしまう。
または、時間経過や実験などにより、バックグランドの値が変動してしまうことが、測定データに大きく影響してしまうこともありうる。

8:ある過程、例えば放射性壊変などの、統計的性質
放射線放出は確率の世界であり、唯一わかることは確率だけである。
放射線計測では「これが正解!」という確定値が出るということは決してありえない。


放射性物質で汚染されたと思われる土壌を放射線計測器で測定することで汚染実態調査をすることを考える。
ある方が「5000カウントの値が出ました!」と報告をあげてきました。
このときこの報告にはまったく価値がありません。

価値あるものにするには、どうすればいいのだろうか?
この人からどのような質問して、追加的に情報を聞き出せばいいのか?
この人にどのような改善策や再計測を命じればいいだろうか?

このように測定は、一筋縄ではいかないということだ。

10個ぐらいは軽々と思い浮かんだでしょうか?



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