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時間外や土日祝の患者の主訴で多いもののひとつが頭部や顔面の外傷だ。
試合で相手とぶつかった、公園遊具から落ちた、…。
このような外傷患者に対する画像検査についてはすでに様々なstudyがある。
いざ画像検査をオーダーしようとしたときに迷いが生じる。
頭部・顔面の単純写真にすべきか、CTにすべきか、である。
まず頭部・顔面外傷における単純写真の意義には否定的な意見が多い。
軽症頭部外傷ではほとんど有用性はないという報告さえある。
受傷が明らかで神経症状があれば一般的にはCTを優先させるべきである。
意味のない単純写真は控えるべきである。
このような流れで頭部・顔面外傷ではCTが主流となった。
実際に頭部CTのみを実施している医療機関や医師が圧倒的だろう。
ここで2015年日臨救医誌に「頭部外傷におけるCT検査のみの危険性」という記事が存在する。
詳しくは雑誌本文を参照するべきだが、結論は以下のとおりである。
「頭蓋骨骨折に対する感度は頭部単純が0.99、頭部CT は0.46 であった。
頭部CT では骨折の幅と角度によって検出されない形態的特徴が存在した。
頭部単純の被曝線量は頭部CT に比べて低く、検査から診断までに要する時間の延長はみられなかった(CT 画像再構成時と比較)。
頭部CT のみの場合と頭部単純も併せて施行した場合の頭蓋骨骨折の見逃しの相対危険度は128であった。」
(出典:2015年日臨救医誌)
以上から、頭部CTが第一選択として問題はない。
でも、頭部単純写真より頭部CTが優れていると誤解して、頭部CTを過信することは危険である。
CTで見つからない頭蓋骨骨折が予想以上に多いのだ。
頭蓋骨骨折があれば遅発的に起こる頭蓋内出血の予測診断にもつながる。
初療時に頭蓋内出血がなくとも頭蓋骨骨折を認めれば慎重な経過観察ができる。
かなりの頭部外傷なのに頭部CTで陰性だった場合、頭部単純写真を撮ってみようという発想が頭をよぎるようにしておくといいかもしれない。
頭蓋骨骨折をCTの2倍の感度で発見できるからだ。
頭部単純写真も捨てたもんじゃない。