量子の粒子性及び波動性について理解してきたところで、ここで物理の知識を総動員。
高校物理では、力学、熱学、波動学、電磁気学、原子と単元がある。
すべての知識を投入して、これから「原子の構造」を「計算」で求めていくよ!
原子の構造を計算するポイントは以下の3つだ。
① 粒子性:クーロン力による円運動の式を立てる。
② 波動性:量子条件の式を立てる。
③ 力学的エネルギーよりエネルギー準位を求める。
では、いよいよ計算をスタートしていくぜ!
なお、これから披露する計算は、弘前大学医学科学士編入試験の物理学の問題で実際に出題されました。
原子の中で最も簡単な構造の水素原子で考える。
水素原子では、原子核(水素原子では原子核は陽子1個だけ)の周りを電子がクーロン力を受けて等速円運動をして回っている。(図1参照)
電子の速さをv、クーロン定数をkとすると、
式①(式①参照)となる。
これは電子を粒子とみて立てた式だ。
一方で、電子は波動性も示し、定常波を形作る。(図2参照)
それには1周の長さが波長の整数倍となればよい(量子条件)。
物質波の波長をh/mv、自然数をn(量子数という)とすると、
式②(式②参照)となる。
ここで、式①と②から連立方程式を解くとき、未知数はrとvであり、式は2つあるから、この連立方程式は解くことが可能であるとわかる。
まず式①と②からvを消去すると、rは、
式③(式③参照)となる。
こうして、軌道半径rは、n(自然数)に応じた飛び飛びの値しか持てないことがわかる。
原子モデルで、内側がK殻で、外側に順次L殻、M殻と呼ぶが、K殻とL殻の間には決して電子は入らないよね。
それは、電子が存在していい半径rを考えるとき、式③よりrはnの関数になっているよね。
nは自然数だから、n=1のときはK殻、2のときはL殻ということで、nが自然数しかとらないという飛び飛びになっているから、軌道半径も飛び飛びなんだね。
出てきた計算結果を、よく吟味してみることが物理では絶対に必要です。
では次に、ポイント③だ。
電子の力学的エネルギーEを求めると、位置エネルギーUは式④(式④参照)と書けるから、Eは、
式⑤(式⑤参照)となる。
ここで、vが邪魔なので、式①を使ってvを消去すると、
式⑥(式⑥参照)となる。
次に、邪魔なrを式③を使って消去してみると、
式⑦(式⑦参照)となる。
これでエネルギーが計算できました。
式⑦より、やっぱりエネルギーEもnの関数だから、飛び飛び(離散的)ですよね。
nが分母にあって、かつ-(マイナス)があるから、n=1のK殻のときのエネルギーE1と、n=2のL殻のときのE2とを比較すると、E1<E2だよね。
よって、電子軌道というのは、K殻が最もエネルギー状態が低くて、外に行けば行くほどエネルギー状態が大きいよ、ってことだね。
世の中のすべては、持っているエネルギーができるだけ小さい状態であろうとするから、電子はL殻に飛び込むことはせずに、まずはK殻に入っていく。
そこでいっぱいになったら、次にL殻に入る。
n=1は最も低い状態なので基底状態と呼び、n≧2は励起状態という。
この言葉は放射線や原子力の世界では、めちゃくちゃよく使う日常用語だ。
K殻の電子を、外部からポンとはじいてみたら、K殻の電子が足りなくなる。
すると、高い準位になるL殻から電子が、K殻に落ちてくる。
そのとき、E2-E1に相当するエネルギーが余分となる。
このエネルギーこそが、X線などの電磁波として外部に出ていくわけだね。
X線はどこから出ていますか?とか、どうして出るんですか?と質問されたら、もうばっちり答えられるでしょう。
X線の起源というのは実はここにあるんですよ。
高校物理では、力学、熱学、波動学、電磁気学、原子と単元がある。
すべての知識を投入して、これから「原子の構造」を「計算」で求めていくよ!
原子の構造を計算するポイントは以下の3つだ。
① 粒子性:クーロン力による円運動の式を立てる。
② 波動性:量子条件の式を立てる。
③ 力学的エネルギーよりエネルギー準位を求める。
では、いよいよ計算をスタートしていくぜ!
なお、これから披露する計算は、弘前大学医学科学士編入試験の物理学の問題で実際に出題されました。
原子の中で最も簡単な構造の水素原子で考える。
水素原子では、原子核(水素原子では原子核は陽子1個だけ)の周りを電子がクーロン力を受けて等速円運動をして回っている。(図1参照)
電子の速さをv、クーロン定数をkとすると、
式①(式①参照)となる。
これは電子を粒子とみて立てた式だ。
一方で、電子は波動性も示し、定常波を形作る。(図2参照)
それには1周の長さが波長の整数倍となればよい(量子条件)。
物質波の波長をh/mv、自然数をn(量子数という)とすると、
式②(式②参照)となる。
ここで、式①と②から連立方程式を解くとき、未知数はrとvであり、式は2つあるから、この連立方程式は解くことが可能であるとわかる。
まず式①と②からvを消去すると、rは、
式③(式③参照)となる。
こうして、軌道半径rは、n(自然数)に応じた飛び飛びの値しか持てないことがわかる。
原子モデルで、内側がK殻で、外側に順次L殻、M殻と呼ぶが、K殻とL殻の間には決して電子は入らないよね。
それは、電子が存在していい半径rを考えるとき、式③よりrはnの関数になっているよね。
nは自然数だから、n=1のときはK殻、2のときはL殻ということで、nが自然数しかとらないという飛び飛びになっているから、軌道半径も飛び飛びなんだね。
出てきた計算結果を、よく吟味してみることが物理では絶対に必要です。
では次に、ポイント③だ。
電子の力学的エネルギーEを求めると、位置エネルギーUは式④(式④参照)と書けるから、Eは、
式⑤(式⑤参照)となる。
ここで、vが邪魔なので、式①を使ってvを消去すると、
式⑥(式⑥参照)となる。
次に、邪魔なrを式③を使って消去してみると、
式⑦(式⑦参照)となる。
これでエネルギーが計算できました。
式⑦より、やっぱりエネルギーEもnの関数だから、飛び飛び(離散的)ですよね。
nが分母にあって、かつ-(マイナス)があるから、n=1のK殻のときのエネルギーE1と、n=2のL殻のときのE2とを比較すると、E1<E2だよね。
よって、電子軌道というのは、K殻が最もエネルギー状態が低くて、外に行けば行くほどエネルギー状態が大きいよ、ってことだね。
世の中のすべては、持っているエネルギーができるだけ小さい状態であろうとするから、電子はL殻に飛び込むことはせずに、まずはK殻に入っていく。
そこでいっぱいになったら、次にL殻に入る。
n=1は最も低い状態なので基底状態と呼び、n≧2は励起状態という。
この言葉は放射線や原子力の世界では、めちゃくちゃよく使う日常用語だ。
K殻の電子を、外部からポンとはじいてみたら、K殻の電子が足りなくなる。
すると、高い準位になるL殻から電子が、K殻に落ちてくる。
そのとき、E2-E1に相当するエネルギーが余分となる。
このエネルギーこそが、X線などの電磁波として外部に出ていくわけだね。
X線はどこから出ていますか?とか、どうして出るんですか?と質問されたら、もうばっちり答えられるでしょう。
X線の起源というのは実はここにあるんですよ。