ハンバーグ大好きなけんちゃんの夢追いブログ-光電効果

ハンバーグ大好きなけんちゃんの夢追いブログ-光電効果2
放射線を理解するには量子の理解が必要である。
光を波動性と捉えるだけだと、離散的な値をとる黒体輻射の結果を説明できない。
そこで量子の概念を導入して、光を粒として考える光量子仮説が登場した。
これにより、光を波動と考えても粒子と考えてもいい、という二重性の状態だ。

ここで粒子として考える根拠や証拠となるものは、黒体輻射のほかに何かあるのか?
たまたま黒体輻射だけが量子論の考えに合致する特異的結果を示しているに過ぎないのではないか?

これらのご指摘はごもっともでございます。でもご心配なく。
有名な現象として「光電効果」や「コンプトン散乱」があります。
これらが粒子性を説明する代表的な現象なのです。

まずは光電効果について概略的な部分。
金属に光を当てると、電子が飛び出す現象が「光電効果」だ。
金属内の自由電子は陽イオン(原子核)から引力を受けているためエネルギーをもらわないと外へは出られない。
そのエネルギーを光が与えてくれたというわけだ。
ところが、光電効果の実験でわかったことから、次のような事実は光を波と考えたのでは説明がつかないものであった。
光の振動数をν、ある限界振動数をν0として、
① ν<ν0では光の強さ(明るさ)によらず起こらない。
② ν>ν0なら起こり、弱い(暗い)光でも直ちに電子が飛び出す。
③ 飛び出す電子の運動エネルギーはいろいろであるが、最大の値1/2mvmax2は光の強さによらず、νで決まる。

そこで、アインシュタインは、光は粒子の性質(粒子性)を持ち、1つの粒子(光子)はプランク定数hと振動数νの積で決まるエネルギーを持っているとして解決をはかった。
光子のエネルギー hν

光電効果では光子はこれだけのエネルギーを電子に与えて自身は消滅してしまう。
電子はhνの一部を金属の外へ出るのに使い、残りを外での運動エネルギーにする。
  hν = W + 1/2mvmax2   (式①)
Wは仕事関数と呼ばれ、金属内の電子が外へ出るのに最小限必要なエネルギーで、金属の種類で決まってくる。

hνという光子からの入金があって、電子はそこからWという関所通行料を支払って金属の外に出て、残りのhν-Wをその先の旅の資金として使っている、というイメージですね。

光電効果は式①がすべてだ。
ある振動数νはあるν0以上でなければならないことがわかる。
入金が少なくとも関所通行料W以上ないと、外に出ることもできないということだ。
 hν0 = W
入金が関所通過で使い切ってしまうギリギリの状態のときの、振動数νを限界振動数ν0と表している。
旅の資金は0なので、vmax=0という意味で、金属表面近くのエネルギーを受け取った電子だけがなんとか外へ出られたという状況だ。
光の強さ(明るさ)を増すことは、光子の数を増すことだ。
当然、飛び出す電子の数は増すけれど、1個1個に光子のもつhνに変わりはないから、vmaxは変わらない。
こうして実験結果が説明できる。
さて、電子は目に見えないから、光電効果が起こったかどうかは、添付図Bのように電圧をかけて、電子を陽極板に引き付けて電流としてキャッチして調べる。
また、電圧を逆にかけて大きくしていくと、やがて電流は検出できなくなる。
最大の旅資金を持っていたvmaxでさえも、強烈な逆電圧という逆流によってUターンさせられてしまったということだ。
このときの印加した電位差V0(阻止電圧)は、エネルギー保存則より、
 1/2mvmax2 = eV0
こうすることで、電子の運動エネルギーの最大値1/2mvmax2やvmaxが測定できる。


光電効果をなぜここまで延々と説明したかというと、放射線と物質の相互作用を考えた時に、光電効果は重要な相互作用のひとつだからだ。
というのは、光電効果では金属表面から電子を出すのに光でエネルギーを供給したが、この光は電磁波であるX線やγ線でも構わないわけで、X線やγ線が体内や物質中でどういう作用をしているか?と問われた時の解答の一つとして「光電効果」があるというわけだ。


放射線の理解のためには、何が何でも光電効果は理解しなくてはならない。

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