ハンバーグ大好きなけんちゃんの夢追いブログ-電磁波
「放射線とは何か?」と質問された時、明確に解答することが可能であろうか?

放射線(radiation)という言葉は、1900年頃までは電磁波(electromagnetic wave)を意味するものとして用いられてきた。
20世紀に入ってから、電子、X線、自然放射線が発見され、これらも放射線に含められるようになった。
電磁波がもっぱら波動として取り扱われたのに対して、新しく発見された放射線は粒子の性質を示していることに気が付いた。
その後、電子回折実験から、粒子性と波動性の両性質を有することが証明されて、粒子か波動かという違いはそれほど重要ではなくなった。
このような経緯から、今日では放射線は全スペクトルにわたる電磁波および原子粒子、原子構成粒子のすべてを意味するものとなっている。

大まかな歴史的には以上のような経緯であるが、これだけでは意味がよくわからない。
そこで理工学的に言うならば、「放射線とは空間や媒質中を伝播する高エネルギーの粒子とか、エネルギーの流れ」と表現できるであろう。
しかしながら、この表現では、通常の光や赤外線もエネルギーの流れなので、放射線に含まれることとなり、違和感を覚えるかもしれない。
たしかにその感覚も理解できるが、広義の放射線という意味では、これが正しい。

ただ日常生活で触れる放射線という言葉は狭義の意味で使われることがほとんどだ。
放射線には物質中でイオン化(電離)を生ずるという共通特性を持つものがあり、これらを電離放射線(ionizing radiation)と呼び、これが狭義の放射線ということだ。
可視光や赤外線はエネルギーの流れではあるが電離作用はないので、狭義の放射線の範疇には含まれないこととなる。
よって、放射線は非電離放射線と電離放射線に分類でき、日常では放射線と言ったら電離放射線を指す。

法律では放射線をどのように定義しているのかというと、「直接または間接に空気を電離する能力を持つ電磁波または粒子線」とされている。
法律では電離放射線のみを放射線と言っていることにお気づきになったでしょうか。

放射線は電離するかどうかという分類のほかに、法律にも記載があるように、電磁波か粒子線かの2種類に分類できる。
この2つの分類については次項で説明することとする。
ここで言及しておく必要があることは、非電離放射線には電磁波の一部しか含まれないこと、である。
そもそも電離という言葉は、放射線が通過する媒質中の原子または分子を電離する能力があることを意味している。
約10nmより長い波長を持つ電磁波は非電離性放射線である。
添付図を見ていただければわかるように、短波、テレビ・ラジオ・携帯電話などの電波、赤外線、可視光、紫外線が含まれている。
電磁波放射線のうち、電離放射線(すわなち一般的用語としての放射線)と呼べるのは、X線とγ線だけであるということだ。
X線もγ線も、携帯電話の電波も、目で見える可視光(いわゆる光)も、航空機や海洋で使わる短波無線なども、実際にはすべて同じもので、違うのはエネルギーの大きさということになる。

エネルギー(E)、波長(λ)、周波数(ν)という言葉が出てくる。
この3者は、以下の公式で関係性がわかっている。
E  = hν = hc/λ
hはプランク定数、cは光速(光の速度)で、いずれも一定の値が入る。
エネルギーと周波数は比例関係、エネルギーと波長は反比例の関係にある。
換言すれば、周波数が大きければ大きいほどエネルギーは大きい、波長が大きければ大きいほどエネルギーは小さい、ということだ。
これさえ理解していれば、添付図も容易に解釈することができるようになろう。

最後にひとつ。
可視光の波長は、図書によって若干のずれはあるが、λ=380nm~760nmであることは、理系一般常識として知っておかなくてはならない知識だ。
この可視光波長域にある電磁波なら、私たちの目の網膜にある視細胞(桿体細胞と錐体細胞)が検出して、脳が光として認識できるということだ。
波長が短ければ紫色系に見え、それを超えると紫外線となり、目には見えなくなる。
波長が長ければ赤色系に見え、それを超えると赤外線となり、やっぱり目には見えなくなる。

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