7月3日はソフトクリームの日だそうだ。

昭和26年のこの日に進駐軍が紹介したことを記念しているらしい。

生まれた時にすでにあったとは知らなかった。

 

初めてこの魅惑的な姿に出会ったのは、

阪急デパートの大食堂だったと記憶している。

7歳か8歳か・・・そのへんだったな。

とんがりコーンから渦巻きに盛られた真っ白な

ソフトクリームが、太い針金のようなスタンドに

のせられて目の前にやってきたときの衝撃は、

その味とともに忘れられない。

あの白さと肌の滑らかさ艶やかさ、

そして湯気のような煙のような一筋の吐息を

ゆっくりと漂わす姿は(日本のものじゃない)

と、10歳前の子供に強烈な劣等感をお見舞いしてくれた。

 

ソフトクリームはそういう特別なデザートだ。

アイスクリームでもない、アイスキャンデーでもない、

ましてや、かき氷など足元にも及ばない 絹の甘さ なのだ。

出会ってから60年、おそらく

「ソフトクリームを食べなかった一年」など

一回もなかったと断言できる。

あの、ソフトクリームそのままの形をしたPOPスタンドを

見るたびに足が止まる。

外国の国旗がチキンライスの山に刺さっていた

「お子様ランチ」を食べてきた世代にとって、

ソフトクリームはいくつになっても特別なのだ。

 

時は流れ、食材加工が進化して、今や

ソフトクリームは ワンカップ取りきりスタイル が主流だ。

カップ型の「素」を機械にセットしてスイッチを入れれば

きれいに真っすぐ芯の通った同じ形の一人前ができる。

チョコもあればMIXまだら模様もある。

苺あり、芋あり、ワサビあり、桜あり・・・なんでもありだ。

しかしながら、

あのときの初対面のあの白さと滑かさを超えるものはない。

ただただ冷たかっただけかもしれない。

甘いだけだったかもしれない。

それでも・・・

わたしにとって一番のソフトクリームは アレ なのだ。