「ロスト・バケーション」 | 永田よしのりの映画と唄と言霊と  映画批評と紹介記事など 

「ロスト・バケーション」




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「ロスト・バケーション」




7月23日より公開中

86分

監督 ジャウマ・コレット=セラ

出演 ブレイク・ライヴリーほか

配給 ソニー・ピクチャース エンタテインメント




 かつて、「JAWS」という、あまりに有名なサメ映画があった。その映画の大ヒットを受けて、しばらくはサメが登場する映画が数多く製作・公開されたこともある。

 さて、本作品は今は亡き母親の思いでのビーチにサーフィンにやって来た女性医学生が、サメ(姿形からホオジロザメと思われる)に急襲され、小さな岩礁に取り残される、というもの。

 一息ついてはみたものの、太ももはサメに噛まれ、やがてやって来る干潮により、安全地帯も海に沈む、という危機に。

 はたして彼女は目の前に見えている海岸にたどり着くことが出来るのだろうか?

 90分弱という上映時間が、実に潔い。

 その短い時間の中で、いかにして窮地を脱するか、に焦点を絞って見せる。

 そこに彼女の人生の一端も描き、単にサメに襲われた女性、というだけではない視点も加味。

 人間味も感じさせてくれる。

 スピルバーグの「JAWS」では、まだCG技術は確立していなかったので、実際に実物大の巨大サメを製作して、迫力を見せてくれた(今ではUSJのアトラクションになっている)。

 現代では実物とCGを混ぜ合わせ、どれが作り物なのか、がほとんど分からないようになった。

 サメに噛まれた傷などはかなりリアルだ。

 本作品は一言で言えば、サメに襲われる海洋パニック映画。

 しかしながら、それだけのものに見えないのは、この映画がサーフィンをする者、海で遊ぶ者にとってははリアルに感じるものであるからだろう。

 実によく出来た1本で、心に残る名作! というカテゴリーに入るものではないだろうが、必見ではある1本だろう。

 映画館を出てから、一緒に観た人と語り合える映画なのだから。