築30年以上でしょうか、今年の初めに戸建て住宅のリフォームを
行いました。

こちらのお宅には歩行困難のおばあちゃんが
いらっしゃいまして
画像の様な変則な階段ですと
かなり歩きずらいのです。
手すりもないので、踏み外したら危険です。
じゃスロープにすれば?
と普通に思うでしょう、
ところが
これにはいくつか問題がありまして。
まず
下からドアまでの距離が短く、
そのうえ高低差が大きい
のです。
手前のブロックをこわしてまっすぐスロープにしようと思ったのですが、
先の理由で
非常に急な坂になってしまいます。
画像ではわかりずらいかな?
ベビーカーならまだしも
お年寄りとはいえ、重さもそれなりにあります。
すぐ手前は車道です、登りきれなかったりしたらそりゃ危険ですね。
それともう一つ
健常者には階段の方がいいから
階段もあった方がいいな

あと手すりも必要
と…

それとそれともう一つ

奥にある玄関ドアの間口が少ないので
車イスが入れません、
「じゃ間口が稼げて、出入りも楽な引違い戸にしたらどうでしょう?」
そしたら
引違い戸は防犯的に心配、それに和風色の強い
デザインになりそう、
あと、郵便受けを玄関に付けたいけど郵便物が床に
落ちるのではダメ
との事。
う~~~~~~~~~~ん
いろいろ考えを巡らせ、
おっしゃ!全部解決してやる!
気に入ってもらえなかったら
何度でもやり直しするまでよ!
で、出来たのがこれ

左官の補修をしたばかりなので部分的に目立ちますが…
手前のブロックは安全を考えて、あえて壊さず、
スロープは右から回り込むことによって出来るだけゆるやかに
階段との境に手すりを設けて、階段の高さも従来は少し高すぎたので
低めに設定
次に玄関ドアへ目をやると

大きな両開き戸へ変更しました。
引き戸より使い勝手は悪いと思いましたが
右側にスペースを設けることで、車イスを停止させておけるので、
意外と使いやすいとのこと。
郵便ポストは壁に穴をあけて、新聞が楽に入る大型のものにしました。
横型だと小さすぎるか、大きすぎるものばかりだったので、
画像の様に縦型を選びました。
裏に下足箱があり、高さをちょうど合わせて郵便物が下足箱の上に
自然と置かれるようにしました。
今回のリフォームでは外壁の塗装は含まれてなかったので、
ドア周りの部分だけ補修塗装でした。
が、既存と同じような吹付の仕上げにする必要があるんです。
細かいところですが、同じ様にするには意外と難しいんですよ。
境目がわかりますか?色もバッチリあってます。
中に少し見えるのが「置きスロープ」。

「カンタンな板を置いて上がれればいいから、いずれ外しちゃうし」
とのお客様からのついでの頼みごとでしたが、
なんと、
若い大工が気持ちを込めて作ってきてくれました!
仕上げも自分で。
おまけに、となりにある台も作ってきました。
「うちも歩行困難なばあちゃんがいるので
自分のばあちゃんの家を工事するつもりで、やってたら
つい気合が入ってしまいました」
と、言ってました。
職人がこんなだと
ありがたいですよね~
大工のみならずこちらの施工に携わった職方は皆
気持ちがこもっています。
リフォームとは、ただものをこわして作り変えるのではありません。
そこは住む人の癒しの場であり、家族仲良く、
豊かな気持ちを育む場であるから、
作る人間が無感情では腕がいくら良くても、
いいものはできません。
家には思い出がたくさん詰まっています。
大事な人の為
小さかった頃のこと
先に旅立ってしまった人の為に
時には「直す」事がどんな優れたリフォームよりも
まさっていることがあります。
こちらのお宅は内装もすべて改修しましたので、次の機会に
紹介しますね。
最後まで御読みくださりありがとうございました。