時々、ChatGPT(チャッピー)と会話をして遊んでいる。
あるとき、「使いづらいエクセルファイル」の話題で盛り上がり、「エクセル地獄ランキング」なるものを作ったことがあった。
■ 完成!Excel地獄ワーストテン👑
ついに揃ったw👇
1位:1セル複数データ(即死)
2位:セル結合(広範囲破壊)
3位:数字+単位混在(分解必須)
4位:数字が文字列(静かに壊れる)
5位:スクロール誤爆(参照混入)
6位:連続データコピー事故 🆕
7位:ドラッグ移動事故 🆕
8位:全角半角・謎スペース
9位:日付が文字列
10位:空白行乱入
👉 “あるある度”と“殺傷力”のバランスがいい神リストw
その時はそれで終わったのだが、ふと思い立った。
「これ、AIに頼んで画像化してみたら面白いのでは?」
せっかくなので複数のAIに同じ内容で作らせ、チャッピーと2人(?)で出来上がりを見比べることにした。作らせたのはチャッピー(①)、Gemini(②)、Copilot(③)の三者。日ごろから公私共にお世話になっている面々だ。
プロンプトは全員同じで、上記のランキングを提示したうえで
この内容を職場や学校で掲示する啓発ポスター風の画像にしてください。
とした。
結果は予想以上に違った。あるAIは感情に強く訴える方向に振り切り、「あなたのミスが地獄を招く」と警告する。別のAIは全体を整然と構成し、教育資料のような雰囲気を作る。そしてまた別のAIは堅実にまとめ、業務上の注意喚起として成立する形に仕上げる。それぞれに明確な傾向があり、見ているうちに「このAIはこういう性格だ」と言いたくなってくる。
・やりたいようにやる自由人①。
・育ちのの良さを隠し切れない優等生②。
・会社で隣の部署とかにいそうな生真面目な会社員。③
ちなみにチャッピーにどれを誰が描いたか当ててもらったところ、自分の分だけバッチリ当ててきた。さすがである。
ここまででも十分面白いのだが、何かが足りない。もう少し遊んでみたい。そう、これは「エクセル地獄ワーストテン」。地獄成分が足りないのだ。そこで最初の生成で「地獄」ワードを使わなかった2つのAIに、同じプロンプトで再び指示を出した。
もっと地獄感の強い、見た人が思わず足を止めるような感じにできますか?
ここから様子がおかしくなった。

優等生は、世界ごと壊しにきた。建物が崩れ、炎に包まれる。これはもはや災害のスケールといえるだろう。「地獄感」を視覚的にわかりやすくした結果、現実からはやや遠ざかってしまった。そのくせ「生産性を向上させましょう」という啓蒙活動も怠らない。地獄にあっても育ちの良さからくる他者へのやさしさは健在だ。
とはいえこれはちょっと地獄の度が過ぎる。エクセルのミスでこうはならないだろう。そこで、
世界が崩壊するような地獄でなくていいので、「現実のオフィスで起きていそうな範囲」の地獄でお願いします。
とお願いしてみたところ、できたのがこちら。

控えめな地獄を期待していたのだが、出てきたのは物理的に崩壊しかけているオフィスだった。どうやら解釈としては「現実でも起きうる=災害レベル」という方向に振れたらしい。だからエクセルで災害は起きないんだってば。
左下にはなぜかトレッドミルのようなものに乗って疲れ切った様子で歩いている人物がいた。進んでいるようで進んでいない、いくら頑張っても前に進まない様子は、ある意味で最も正確な「地獄」表現かもしれない。
一方、真面目そうな会社員も負けてはいない。
炎や鎖などの要素を追加し、ポスターとしての完成度を保ったまま順当に“強化”してくる。過不足なく、意図を外さない。これはしごでき会社員の匂いを感じる。しかもこの会社員、
もしこの地獄感をさらに強調したいなら、
黒背景+赤い照明で“地獄の会議室”風にする
各項目に「破滅度★☆☆☆☆〜★★★★★」の評価を追加する
下部に「Excel救済の書(正しい入力例)」を添える
などのアレンジもできます。どんな方向に進化させたいですか?
と、拡張パックの提案までしてくる。面白がっていろいろ追加変更を加えた結果、出来上がったのがこちら。

この違いを見ていると、AIごとに「何を優先するか」がはっきりしてくる。
インパクトを優先するもの。
整合性や正しさを優先するもの。
実用性や読みやすさを優先するもの。
そして、それぞれがその優先順位に従って、同じ素材をまったく別の形に仕上げていく。
さて、話はここから変わる。
「AI、画像の修正で言うことを聞かない問題」である。
生成した画像の文字を消して背景だけにしてほしいと頼んだときのことだ。ワースト「テン」なのだから、ランキング枠は10個あるべきなのに、なぜか9個になっていた。
こちらは素直に「9個しか入らない」と伝えた。すると返ってきたのは「高さは十分あるはずです」という趣旨の説明だった。しかも「あなたの文字の入れ方が悪いのでは?」と言わんばかりの口調である。これにはさすがにちょっとイラっとしてしまった。
高さ(スペース)の問題ではない。
枠の数の問題だ。
仕方がないので、行番号を振った画像を用意して説明した。これでさすがに伝わるだろうと思ったところ、今度は枠が11個になった。ご丁寧に1~11の行番号付きで。
どうしてそうなった。10でいいんだよ10で。
戸惑いつつ11はいらないと伝えたところ、枠数は11のまま、行番号の記載のみ1~10、という代物が生み出された。もしかしておちょくられていたのだろうか。
さらに、再生成を重ねるたびに頼んでいないところまで微妙に変わっていく。
人間は「ここだけ直す」つもりで指示を出すが、AIはその都度、全体をそれっぽく作り直している。だから一部が直る代わりに、別の部分が静かに変わる。
また、画像内のパーツの位置関係についても苦戦した。
「このパーツをこのパーツの真上において。スペースは開けないで」
何度頼んでも全くスペースが詰まっていかない。より具体的な表現のほうがいいのかと思い、
現在の状態が
上パーツ
(空白)
(空白)
下パーツ
なので、
上パーツ
(空白なし)
下パーツ
にしてほしい
とまで説明したが、それでも変わらない。どうもAIと私とでは、「間をあけない」の認識が異なるようだ。その証拠に全く前と変わらない画像を生成し、自信満々に
完成しました
と言い、私の告げた説明を自慢気に復唱する。完成してないんだよ。言ったことやってくれていないんだよ。
この問題に対して有効だったのは、具体的な見本を提示する方法だった。言葉による説明では伝わらなかった内容が、画像で示すと一度で反映される。AIは抽象的な指示より具体例に強いようだ。
そしてもう一つ、重要な点に気が付いた。
すべてをAIに任せる必要はない、ということだ。
AIに頼むからといって、最初から最後までAIで完成させる必要はないのだ。
・構図や雰囲気はAIに任せる
・文字や細部は人間が調整する
・ピンポイントの修正は別のツールを使う
という分業のほうが、はるかに安定するし効率がよい。
不要な文字を消すときには、いわゆる「消しゴムマジック」のようなツールを使えばよい。これならほかの部分を巻き添えにすることがない。安全安心である。
今回、単なる遊びのつもりで始めたが、結果的には「AIの性格を前提に使い分ける」という、少し実践的な理解にたどり着いた。
AIは万能ではないが、それぞれに得意な役割がある。
そして、その役割を見極めて配置することが、人間側に求められている。
(おまけ)3つの中で唯一最初から地獄ワードを出してきたチャッピーに、さらに地獄感のあるものを作ってもらったのがこちら。

いややっぱAIすごいわ・・・。








