『汚れた血』(仏) | 極私的映画と音楽のススメ

極私的映画と音楽のススメ

印象に残る映画には印象に残る音楽がある。
思い出の名場面に流れていた音楽、言葉などをご紹介



アンファン・テリブルといわれた監督の第二作目。


アンファン・テリブルって、直訳で「恐ろしい子供」という意味のようで

「こんなに若いのに、すごい映画とったもんだ」ってな感じだろーか。


この映画には、あのジュリエット・ビノシュ(イングリッシュ・ペイメントでの

献身的な看病にとたんに恋に落ちた人も少なくないはず??)

や、ジュリー・デルピーらが出演。


映像と音楽がマッチするというのは、1+1が2にはならないほどの効果をもたらすもので、

意外に内容よりも、音楽+映像が印象にのこることもあるんですよね。


たまたま夕暮れ時に町をあるいていたら、どこかの商店のラジオから、

「カントリーロード」が流れてきたときなんて、もう、すぐさま実家に帰りたくなっちゃうもの。



それはさておき、この映画がかもしだす雰囲気は、80年代のフランス=パリのそれなんだけど、

リュック・ベッソン的な、ある種の破天荒さとかはなく(サブウェイなんて「チャンチャン♪」って感じで

おわるし)、どこか退廃的なムードが漂ってる。



若者の苦悩、ちょっとした心の動きなんかと背景が妙にマッチしていて。



それが最高点に達するのが、とある真夜中のシーン。

ある深い闇夜に、深い青を身にまとったジュリエット・ビノシュが外にでてくる。

深い闇と深い青のコントラスト。

粛然としている。

深い闇に深い青が溶け込み、妙に張り詰めた空気。

そこにドニ・ラヴァンがあとを追って出てくる。

その時だ。

激しいピアノの音色とともに、デイヴィッド・ボウイの「モダン・ラブ」が』流れるのだ。

ドニ・ラヴァンはそれに合わせて踊り狂う。

表向きは何も考えてなさそうで、内には溶岩のようにあついものを秘めている

若者の心の叫び、抑圧された魂の鼓動が聞こえてくるようだ。



深い闇と深い青のかもし出す整然とした空気と

「モダン・ラブ」とドニ・ラヴァンの熱い激しさ

両者が絡みあったこの瞬間、この映画は忘れられないものになった。



とはいえ、ラストでのジュリエット・ビノシュのアラレちゃん走りも捨てがたいのだけど。