あんまりそういう人間はいないと思う。基本的に穏やかな気候に花々が咲く季節を嫌う事など、この世の理に反していると言われても仕方ないかもしれない。


何故と言われると少し返答に困る。一番の理由はこの時期に良いことがあった記憶に乏しく、むしろ悪い思い出ばかり目立つ点だろうか。春は別れの時期と言うが、まさにそれが強調されている現状がこの季節を好きになれないのだろう。


様々な花々が咲く姿が、自らの醜悪さをより際立たせているとの指摘も、この季節を嫌う一因だと思っている。特に満開の桜を眺める行為は、もはや犯罪行為とまで言われている。正直な話、これが原因で死ぬかもしれないとここ数年は思っている。多分いづれは醜いという理由だけで殺されても罪に問われない未来が来ると考えているんだよね。日本人は元来美しい生き物らしいから。


醜い生き物が生きやすい季節を探す方が難しいのもまた事実。結局な話、季節問わず生きにくい世の中になったと言われればその通りである。とりあえず今日は死ななかった。明日は死ぬかもしれない。そんな思いを抱えながら、この美しい日本の春という時期を生きなければいけないとは、何ともまた厳しい時代になったものである。