ちょっと前になりますが、7月8日カナダ通信会社大手のロジャース(Rogers)による通信障害が発生し、カナダ全土で15時間以上にわたりインターネット、通話、ATM利用、カード決済などができなくなりました。
そのため、緊急電話(911)や病院の予約などが困難になり、買い物も現金払いのみ、でもATMが使えない・・・などなど、とんでもないことになりました。
私もロジャースを使っているので、もう朝からパニック。
インターネットが使えないと仕事ができない!
本当に大変でした・・・
それでも、カナダは公共での無料WiFiが整っており図書館やモール、またはカフェでインターネットに簡単に接続できます。その結果、この日一日のカフェの売上がとっても増えたとか。
とりあえず、私も近くのモールに行って何とか事無きを得ました。
スターバックスの外はWiFiを求めて人だかり
写真:CP 24 WATCH LIVE NEWS(Gina Chung /Twitter より
ところで、このロジャースの件で、奇しくも日本で同月に起こったKDDI通信障害のことが頭に浮かびました。
そこで、今回の通信障害におけるカナダ政府とロジャースの対応について書いてみます。
KDDIの対応と比較してみると、日本とカナダの違いが垣間見れて面白いかもしれません。
通信障害は8日(金曜日)の早朝に発生しました。
そして、同日の夜にはほとんどの地域で復旧。
①ロジャースの対応
・原因についての説明には時間がかかりましたが、復旧完了の地域マップ(オンタリオ州)を 随時発信。(発生当日)
・カスタマー宛に謝罪と原因説明、賠償(3日間のサービスに相当するクレジット)についてのメールを送信(復旧から2日目)
※「3日間のクレジットでは不十分」(←コーヒー一杯分ぐらい)との不満の声があがり、すぐに「5日間分のクレジット」に訂正
②政府の対応
シャンパーニュ産業大臣はロジャースを含むテレコムのCEOを招集。
将来に向けて同様の事態を防ぐため、通信会社同士の相互支援の提供や緊急連絡(911)へのアクセスを可能にする対策案などを、60日以内に提出するように要請しました。
(復旧から2日後)
③メディアの対応
カナダには3つの大手通信会社(Rogers, Bell, Telus)があります。
この3社の下に小さな会社があるのですが、ほとんどこの3社が独占しています。
私が見たCBC Newsではロジャース副社長が出演して、今回の通信障害の「原因」「サイバー・アタックの可能性」「3社独占状況の責任問題」などが問われました。
副社長は、原因については調査中ということもあり大まかなことしか述べませんでしたが、他の2つの質問に関しては回答を避けました。
日本でのKDDIの障害と今回のカナダでの件が、ほぼ同時期に発生したので、
昨今の世界的な情勢からしても「サイバーアタック」の可能性があるのでは?
と、私自身、勝手に心配しました。
ところで、企業の不祥事の対応について日本とカナダ(欧米)では違いがあります。
ネットでKDDIの社長がメディアを集めて謝罪と原因の説明をされているのを見ましたが、
カナダではメディアを集めて会社のトップが何人か横並びになり、深く頭を下げての謝罪会見は、まず見ません。
それよりも、事態解明と解決のスピードが求められます。
今回の件で、ロジャースの対応は賛否両論でしたが、私的には政府を含めてスピーディーだっと思うのですが。
まあ、私個人がそれほど大きな損害を受けなかったための感想ですが、それでもネットのない一日が、仕事やプライベートを含めて、こんなにフラストレーションになる現実をあらためて考えさせられました。
両社で起こった障害の詳しい原因はさておき、あらためて現代のネット依存社会の脆弱性を感じました。
便利さを追求しすぎる社会への戒めかもしれませんね。