トロント・カナダ 50代からの自由な生き方 by ブルー・モンキー

トロント・カナダ 50代からの自由な生き方 by ブルー・モンキー

海外(カナダ)から日常の気づき、素敵な生き方をしている人、気になる社会問題、そして、大好きな映画の話などを書いています。

 

アカデミー賞の前哨戦と言われるTIFF(2026トロント国際映画祭)が、9月10-20日まで開催されました。ハリウッドセレブの来加が年々縮小している感はありますが、それでも話題作が多数上映されました。


今回は何といっても日本映画の存在感が抜群に上がっていました。

 

日本アニメはカナダでも既に確固たる地位を築いていますが、実写と言えば、一昔前まではアート系などを上映する独立映画館で短期上映などに限られていました。でも今年2月から上映された李相日監督の『国宝』や是枝監督の作品などは、普通にシネコンで上映されるようになったし、日本映画はカナダ市場で良いポジションをとっています。

 

 

外国語映画に送られる賞「プラットフォームコンペティション」(※アカデミー賞の外国語映画の選考対象になる)に、日本映画として初めて選ばれた西川監督の『わたしの知らない子供たち(Children Untold)』。

 

こちら、わたしも観ましたが、西川監督と二階堂ふみさんがQ&Aで登壇されるというサプライズで会場は大いに盛り上がりました。

 

西川監督の映画にかける熱い想いが伝わりました。

二階堂ふみさんは想像通りお綺麗でした。

 

華奢で優しいお顔立ちの西川監督は、過去の作品においても、どこからあんなパワーが出て来るのだろうと感心してましたが、今作も期待を裏切らない出来です。

 

戦争孤児の女の子が男の子として生きるというのは、当時としては普通にあったと思いますが、監督自身が当時を知らない分、リサーチに莫大な時間と労力をかけたとおっしゃってました。

その成果は作品の隅々まで活きていると思いますし、主人公の女の子に対して、同性だからこそできる細やかな演出が光っていました。

 

Q&Aでは子役に関する質問が多く、子供の扱いに厳しいカナダらしく、演じるにあたってのメンタルケア―や、撮影前と後の子役の変化などを質問。この辺りも、きちんと対応されたとのことで、さすがです。

 

韓国「辛」ラーメンのプロモーション。カナダ人にも人気です。

 

その他注目だったのが、

・TIFF常連の是枝監督『『Look Back(ルックバック)』

・三池崇史監督『Bad Lieutenant: Tokyo(バッド・ルーテナント:トーキョウ)』

・塚本晋也監督『Mr. Nelson, Did You Kill People?(ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?)』
・今年カンヌで最優秀女優賞をとった、濱口竜介監督『All of a Sudden(『急に具合が悪くなる)』
などなど。

とにかく、レジェンドの三池監督と塚本監督はコアなファンが多く、チケットは発売とともにすぐに完売してしまい、わたしは観れませんでした…。

今後、トロントで一般公開されたらいいのになぁ~。

 
TIFFではワールドプレミアの作品が多く見れるとあってチケットは争奪戦。TIFFメンバーになると先行予約できるのですが、メンバーでなければ、オンラインで発売時にスタンバイして戦闘モードになります。

 

わたしは幸運にもピーター・チャン監督ワールドプレミアの『The Road Not Taken』も観ることができました。

 

こちらも、チャン監督と主演を含む2人の俳優さんがQ&Aを行い、中国系の観客で満席の会場はスタンディングオベーションで盛り上がりました。

 

有名ニュースキャスターの女性が若年性アルツハイマーになり、記憶が無くなっていく中で、夫と娘、両親との関わりの変化を細やかに描いています。「人生の選択」「家族のすれ違い」を、ピーター・チャン監督の鋭い観察眼ともいうべき視点で描かれ、本当に心を打ちます。


ピーター・チャン監督といえば、『Comrades: Almost a Love Story(ラブソング)』を観て感動したのを思い出しました。香港を舞台にしたレオン・ライさんとマギー・チャンさんとの切ないラブストーリー。50代以上の人ならご存じのテレサ・テンさんの魅力的な歌声が涙を誘います。この監督、どうして、こんなに人の「心のすれ違い」を描くのが上手いのでしょう。

 


 

 

西川監督は惜しくも賞を逃しましたが、間違いなく海外でのネームバリューは上がったと思います。

 

街中がお祭り騒ぎだったTIFF。

この映画祭典の終演は、トロントに静かな秋の始まりを告げます。