生きることとは?死ぬこととは?を主人公ゼンとともに考え、ゼンの気持ちの折り合いのつけ方を読者は自分の生活に当てはめて生死について考える。


生きていく中で、自分は何を目指しているのだろうかと考える。生活のために働いているのか、ただ死にたくないから働いているのか、病気になりたくなくて行動しているのか。


働いたり、読書をしたり、スポーツをしたりして自分は日々生きているが、その生活の中で最も生きていると実感するときはどんなときかを読みながら考えてみた。考えるとすぐに分かった。自分が成長したと感じるときや良い方向に変化したと感じるとき、生きているっていいなと実感している。


若いときは、他者と比較ばかりして、勉強ができる、試合に勝ったとかそんなことばかり考えていた。これから老いる自分にとって、ただその価値観だけではこれからの人生を生きていけないのだ。『人間は生きているかぎり、別人になれる。生きている人間に価値があるのではない。その変化にこそ、価値があるのだ。(p341)』これから衰弱していく自分にとって大切なのは誰かより勝つことではなく、変化し気づくことなのだ。その変化こそが自分を自分たらしめ、あわよくば他者の心に残るのだろう。


主人公の生い立ちを暗示しながら、次回作にも期待を寄せてしまう本作品。次回作も生死についての多くの言葉を拾い考え、自分を洗練させた者へと変化させていきたい。


以下、作中の言葉。


いつも大勢の人間がいるところではこのようにお互いを知り合うことが必要なのかもしれない。面倒なことではあるけれど、こうでもしなければ、誰が何を考えているのか、自分に予期せぬ害が及ばないか、と不安になるのだろう。(p42)


死をどうこうと考えること自体が、生きた人間のすること。(p47)


人と人との関係は、その場その場で必ず釣り合っている。貸し借りというものはない。(p168)


一生を全うしたのだ。多少の長い短いはあれ、生きたことには変わりない。(p181)


常に精進をしていなければ、強くあり続けることはできない。それがわかっているからこそ、人は元より諦めてしまう。そのかわり簡単に手に入りそうなものへと走る。(p209)


死んだ人間でも、その志を受け継いだ者がそれを成し遂げる。その人間の価値とは、その人間を知っている者が覚えている限り、ずっと残るもの。(p213)


人間は生きているかぎり、別人になれる。生きている人間に価値があるのではない。その変化にこそ、価値があるのだ。(p341)